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【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
エーリュシオン竜人国編

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ご覧いただきありがとうございます。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


Side:ジロ


……この竜!絶対ゆるさない!


僕はその手に魔力を集中させ、少し離れた部分の竜の背を、全力の炎で攻撃する。空気を読んで直接の攻撃は控えていたのに!マリ姉の優しい気持ちを台無しにしたこいつに遠慮はいらない!

そう思って2度、3度と炎を叩きつける。その背は黒く焼けただれていく。


『ぐぉぉぉぉん!』


その咆哮とともに竜が一度浮かび上がった。すでに容赦をなくした他の4人の攻撃で翼も体も傷ついていたその竜は、飛び立つことなく少し離れたところへそのまま落ちる。衝撃で落ちそうになるが、近くの毛をがっちりと掴んで堪えて見せた。


その時、衝撃で目が覚めたのかマリ姉が小さくではあるが声をあげた。


「マリ姉!」

「ジ、ジロ……今、どうなってるの?」

僕はマリ姉の声に少しだけ安堵して状況を話し出した。


「そう、私は魔力を吸われすぎてまたみんなに迷惑をかけちゃったんだね……」

「そんなことないよ!マリ姉は頑張ったんだから!僕たちこそ抑えきれなかったんだよ。ごめんねマリ姉!また守れなかった!」

何度もこうやってマリ姉が危険な目に遭ってしまう。自己嫌悪で自分でもしっぽが下がるのを感じる。


「そんなことないよ。ジロはいつも私を助けてくれる……ちょっとまってね。後少し……大丈夫な気がする……」

そういったマリ姉は、また魔力を高めその全身から魔力が溢れ出る。さっき枯渇したばかりなのに……危険じゃないのかな?僕はその場でマリ姉に声を掛けながら見守っていることしかできなかった……


Side:マリアント


ジロがまた助けに来てくれた。危険な時にはいつもジロが真っ先にそばにいてくれる……大丈夫。少し寝ていたからまた魔力が回復しているのを感じる。そういえばモモさんが魔力は枯渇することで増えるって言ってたっけ……


目の前のジロがしっぽを下げて落ち込んでいた。


「そんなことないよ。ジロはいつも私を助けてくれる……ちょっとまってね。後少し……大丈夫な気がする……」

周りでは暴れる聖竜様を抑えようとクロたちも頑張っている。私は全身の残った魔力を巡らせると、体全体をつかって竜の背に向かってまた魔力を注ぎ始めた。


魔力が流れていく。吸いとられそうな感覚。でもさっきとは違って少しゆっくりと馴染んでいく感触。自分に絡んでいる固く尖った毛が柔らかく解れていく。良かった。なんとかなりそうだ。

少し顔を上げると、大人しくなった聖竜様が首を回してこちらを見ているようだった。そしてまた私は意識を手放した。遠くの方でまたジロの声が聞こえている気がする。またジロに心配かけちゃったかな?


ごめんねジロ……


◆◇◆◇◆


「ここは……」

私は意識を取り戻すとともに、自分が暖かな空間にいることを認識した。顔の前には最近話題のモモさんのモモ。そして上を向けば知らない天井。私は……


「そうだ!みんなは?聖竜様は?うわっ」

モモさんの手をどけて起き上がった私は、目の前が暗くなり脳が揺れるような感覚に陥った。目の前がちかちかしている。


「マリ姉!起きた!マリ姉が起きた!」

その声ともに先ほどから横にいたであろうジロが私に抱き着いてきた。今はダメかも目が回ってる。


「ちょ、ちょっとジロ!今はごめんちょっと私ダメかも!」

「えっあっ!ごめんね!」

謝りながら私から手を離すジロ。


「ふぅ」

少し深呼吸して呼吸を整える。そしてつぶっていた目を再び開けると周りを見渡した。


すでに体を起こしていたモモさんが、こちらへ抱き着きたそうにしているが、さきほどのやり取りを見ていたのであろう。瞳を潤わせながらこちらを見ている。他にもレオがいるがまずはモモさんだ。


「モモさん!心配させちゃったよね、ごめんね!」

そういってモモさんを抱きしめた。


「そうじゃ!まったく……いつも無理をしおって、あんなにバカげた魔力を放出するなんて自殺行為じゃ!ワラワは……ワラワ……」

「うっ、ご……ごべんで~」

肩をつかまれ顔を見ながら私に苦言を呈したはずのモモさんは……ダメだ、もう泣こう。モモさんのこんな顔見たらもう堪えることは無理!私は涙が止まらない顔をモモさんに押し付けた。


◆◇◆◇◆


「えーと……ジロも、レオも……お待たせ……」

「マリ姉!」

「マリ姉ちゃん!」

少しばかりの時間を、モモさんとの涙の抱擁タイムに使ってしまった私は、ようやく落ち着いた心でモモさんと離れて二人に声をかけた。

我慢してくれていた二人もようやく私に飛びついてきた。あっ、いたっ!ちょっと勢い良すぎですけど?まあ今は我慢しなきゃだね……


「二人もごめんね。心配かけて……」

私の言葉にブンブンと顔を横に振るジロと、私の足に被っている布団越しに顔をこすり付けるレオ。そして私は現状がどうなっているかまだ把握できないでいることに、我慢ができなかった。


「あの、モモさん……私って今どんな状況?ここはどこ?……後、一応聞いておくけど、あそこで正座している人って、誰?」

私にくっついているジロとレオのことは置いておいて、まずは聞かねばならないのだ。私が寝ているベットから一番離れた扉の横に正座で座る、色白イケメン男子のことを……


「ああ、あの竜じゃな」

「はぁ」

ですよね。頭に角はえてるもんね。色白ですもんね。そりゃーモフりましたよ?でも、私の中ではまだついさっきの出来事で……少なくとも一晩は寝ていたということですよね?私、迷惑かけすぎじゃない?


「マリネエは10日も寝ていたのじゃぞ?」

へー。そうなんだー。モモさんの予想外の言葉に、私は返答することを忘れてしまう。

お読みいただきありがとうございます。毎日投稿しておりますが。今日でやっと一ヵ月たちました。何年も連載を続けておられる方は本当に凄いのだと実感します。

私も短いですが、なんとか毎日更新を続けてまいりますので、お付き合いいただければ幸いです。明日も17時更新となります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

読者様のお力が必要なんです!


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