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最後に評価など頂けれは嬉しいです。
夜にもう一度更新します。
「いやーいっぱい食べたね。食べ過ぎた!」
私は少し膨れたお腹をさすって満腹感に酔いしれていた。
「ほんと美味しかったね。マリ姉もいっぱい食べたもんね。僕も嬉しいよ!」
笑顔でそう言うジロはどうやら私の膨らんだお腹を見ているようだった。やめて恥ずかしい。
「そ、そろそろ戻ろうか?それとも狩り行く?私も少し体動かしたいかなって思ってたんだー!」
食後の運動も大事だよね?
私はレオの「ボクも狩り行くー!」という声を聞いてスッと立ち上がる。
結局、みんなで一度砦まで戻り、そこから狩りには行かないというクロとユズを残して、森に入ろうということになった。
最近クロとユズが仲が良い。ユズはクロの作った布を使った装飾にはまっているようだ。女の子らしい良い趣味だと思う。私は……ボタン付けぐらいならできるかな?まあ適材適所ということでいいのでは?
そんなことを考えていた私が、目的地である砦の方を見てみると……
「なに?あれ……」
私の目には、砦の上の聖竜様が起き上がっているように見えた。
「ねえ……聖竜様が起き上がっているように見えるんだけど……」
「そのようじゃのう」
「なんだか様子がおかしいみたいだな!」
私の言葉にモモさんとクロが反応する。
「どうするマリ姉、なんだか危険な感じがするから、このまま逃げちゃった方がよさそうだよ?」
真剣な表情のジロが私を見つめている。でも逃げていいのかな?折角ここで暮らしても良いって思ってたのに……ナヌークさんだって快く受け入れてくれたのに、どうなってるか分からないけど、このまま放置はないよね?
「とりあえず、このことは珍しい事なのかどうか、ナヌークさんに聞いてみようかな?」
「じゃあ僕も行くけど……危なくなったらマリ姉抱えて逃げるからね!」
「わ、分かった。その時は守ってね。ジロ」
「当然!」
ジロが良い笑顔で答えてくれた。
「マリ姉ちゃん!ボクだっているのを忘れないでよ。ボクが守るんだからね!」
「守るのならワラワが適任じゃな」
レオとモモさんも余裕の笑みを放っている。安心する。ダイとユズも私の足に抱き着いてくるのでその頭を撫でまわす。それをコガネさんはにっこりと見ていた。あっ、クロはこっちを心配そうに見ていたが、目線が合うとプイっと顔をそらしていた。
またツンデレかな?
さっきまでの不安も消え、なんだか楽しくなってきた私は「よし行こう!」と砦まで駆けだした。
◆◇◆◇◆
やっとのことで砦から100mといった位置まで近づくことができた私。
近づくほどに恐怖化が芽生えてくる。聖竜様はなんだか唸っているようだし、体からは黒いオーラのようなものが漏れ出ているのが見えた。あのオーラみたいなのって私のあのオーラと同じ感じなのかな?
そう思いながらもなんとかここまでたどり着いた。
「ナヌークさん!聖竜様はどうなってるんですか?これも普段どおりって感じですか?」
砦近くに茫然と聖竜様の方を見ているナヌークさんを発見した私は声を掛ける。その声にナヌークさんが気づいてこちらに駆け寄ってきた。
「マ、マリアント様……これは、その、私も初めてこんな状況を体験しているのですよ。本当に申し訳ない……先ほど急に砦内に地鳴りのような声てともに地面が揺れまして、急いで出てきたところです」
「そうなんですね」
しょんぽりとしているナヌークさんに私もどう声を掛けて良いか分からなかった。
「もうこの国は終わりかもしれない、私もどうしたら良いのかさっぱりで……私たち竜人はこの地で死ぬことを臨みますので、どうか離れておいていただけますか?そして駄目そうなら、獣王様に警戒するように言伝をおねがいします」
「わ、私たちにも何かできることはないですか?」
何とかしたい思いを伝えるが、ナヌークさんは黙って首を横に振るだけであった。
その時、私は不意にジロに抱かれて宙を舞っていた。
なんだか久しぶりのジロの腕の中……お姫様抱っこはやっぱり素敵だね……って違う!周りを見ると砦の一部は破壊されていた。そこにある聖竜様の足でごっそり地面もえぐれている。
はっと思ってもう一度周りを確認すると、みんなその場を無事離れれたようだった。ダイとユズはコガネさんとモモさんに抱きかかえられ、ナヌークさんはクロが抱えているようだ。
何人かいた兵士は横に吹っ飛んでいる。近くに茨が生えていたので、モモさんがあれで守ったか飛ばしたかしたのであろう。さすがモモさん。
「あ、ありがとうジロ。もう、いいかな?」
私は照れながらジロにそう伝えると、笑顔でそっと私を下ろしてくれた。ジロの温かみが離れてしまったので若干の寂しさを感じる。そんなことを考えている場合じゃなかったことを思い出し、聖竜様の様子を確認する。
「やっぱり……あの黒いオーラみたいなのが原因なのかな?」
「多分それであろうの。魔力が漏れ出して止まらないといったところでじゃ……このままじゃと、あの竜は死んで終わりというところじゃて」
モモさんの言葉に絶句する。このままではこの国も、周りの国も、そして何より守り神として何万年もこの場を守ってくれた聖竜様を何とか助けたいという思いがあふれてくる。
でも私なんかに何ができるのだろうか?あの黒いオーラをなんとかできたら?白いオーラで包んでみる?でも多分今はだめかな?まだモフってない……私の『もふり』スキルが発動するのは、魔力を籠めてモフってからだ。
「どうしよう……何かできるのなら、何かしたいんだけど……」
私は、砦をその足でガシガシと崩そうとしている聖竜様が、苦しそうに藻掻いているようにしか見えなかった。
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