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本日より新章です。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
Side:???
エーリュシオン竜人国。
森と山に囲まれ、豊富な資源を有する竜人の国。
8割の竜人と残りはエルフ、獣人、そしてドワーフなどの稀な種族が住んでいる。その国の一番奥、西の山に掛かるように建てられた砦である『聖竜殿』には、神と崇める聖竜様が住んでいた。そしてその砦には、国を動かすための要所が集められていた。
そんな聖竜殿に常駐しているこの国の主、長老であるナヌーク・アイテールが、この国を動かしていた。
ナヌークは大きな体の竜人であるが、性格は温厚で種族の繁栄のため努力を怠らない竜人であった。他の竜人からの人望も厚く、もうかれこれ200年以上はこの国の主として活動をしていた。
しかし、最近この竜人国、というよりも聖竜様のご様子が芳しくない。
この竜人国が国としての形を成されていなかった数万年前から、この場に君臨していると言い伝えられている聖竜・アマル・ディア・エーリュシオン様の体調がすぐれないご様子なのだ。
普段からのんびりとお眠りになっており、静かな寝息を立てているのだが、ここ数十年は時折苦しそうに息を荒らげることもあるご様子であった。
ここ1年ほどは、時間の輝く白銀の毛並みにも陰りが見えているようにも見えた。
とは言え、数万年の時をこの国に存在し、その存在感でこの国をお守り頂いた聖竜様。このお方に何かあればもはやどうしたら良いのか、皆目見当がつかないというのが当然のことであろう。
考えられないことであるが、もし仮に聖竜様に何かあれば……
その、ありえないであろうことの為にも今まであまり深くかかわってこなかったアテナイ王国という人族の国や、今まで多少なりとも交流のあるディアーナ獣王国という獣人族の国とも連携しなくては……そう思うナヌークであった。
Side:マリアント
「やっとついたー!」
私は、山沿いの森を抜けた大きな道を進み、エーリュシオン竜人国の建物が建ち並ぶところまでたどり着いた。建ち並ぶ建物のスケールが若干大き目な印象を受ける以外は、アテナイ王国とも大差ないように見えた。
ただ、アテナイ王国やディアーナ獣王国のように周りを取り囲む壁などは無いようだ。
「竜人さんってやっぱり見た目強そうに見えるよね」
大きな通りにチラホラと竜人族の者たちが行き来しているのを、興味津々で見ている私。その体はやはり大きな人が多い。どの人も強そうな雰囲気を醸し出している。ここなら、誰かが悪さをしても笑顔で撃破してくれそう。
そんな身勝手な妄想をしている間に、レオたちが串にささったお肉を露店から買ってきたようで、笑顔で手渡された。うん。とっても美味しい。ここに永住でいいかも?と早くも食べ物でこの国に篭絡される私。
どうなるかは分からないけど、まずは長老さんに会わなくては!そう思い私は、目の前に見える巨大な砦を目指してさらに足を進めていく。
◆◇◆◇◆
「あのーこちらに長老様がいらっしゃると聞いているのですが、この手紙をお渡しいただくことはできないでしょうか?」
大きな砦の前で、入り口を守っている兵に手紙を手渡した私は、今かなり戸惑っている。
巨大な砦よりも何よりも、遠目から見えていた砦の上の銀色の塊は、屋根か何かではなかった。近づくほどに目がおかしくなったのかと何度も目をこすった私は、やはりその視界に間違いはなく、それが聖竜様であることを理解してしまう。
本当に大きな体。聖竜様は銀色の鱗に覆われ、いかにもドラゴン!と言わんばかりの見た目をしていた。静かに寝息を立てていたと思ったら、時折寝顔をゆがませて、ぐるると苦しそうに鳴いていた。
悪い夢でもみているのだろうか?
そんな考察をしている間に、先ほど手紙を渡した兵が戻ってきて私たちを中へと案内してくれた。
「失礼します」
兵のノックの後、部屋の扉が開かれる。
「お連れしました」
短い言葉の後、そのまま部屋に入らず引き返していく兵士に小さくお礼を伝えいると、真っすぐに向き直しその部屋の主を見る。大きいですね……
「きょ、今日はお時間を作っていただきありがとうございます。マリアントと申します。よろしくお願いいたします」
ペコリと頭を下げる私。もう以前のように履いてないスカートのすそをつまむ、などといった愚行を行うことはない。
「これはこれはご丁寧に。私はこの国の代表を務めております、ナヌーク・アイテールと申します。といっても大したことはしていないのですがね。獣王様からの手紙を拝見しました。こんなところで良ければ好きなだけ滞在頂いてかまいませんよ」
その大きな体を小さく見せるかのように丁寧に挨拶してくれるナヌークさんに、お墨付きをいただき、どうやら暫くの間の滞在が許されたようだ。当面はどこかの宿屋でにも泊まろう。もしそのような場所がないのであれば近くの森にでも寝泊まりしたらよい。
洞窟暮らしを懐かしく思う。
私はナヌークさんに、ついでとばかりに宿の場所を聞く。
「宿もございますが、どうせなら客人としてこの砦に寝泊まりしませんか?ここには余っている部屋が売るほどありますので……」
「そうなんですね。ありがとうございます。お世話になります」
折角のお誘いなのでありがたく受け取る。
「そう言えば、この上にいらっしゃるのが聖竜様なんですよね?」
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