27
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
「そしてマリ様、でよろしかったでしょうか?」
獣王様に突然名指しされ戸惑う私。
「あ、はい。マリアントと申します。マリ、とお呼びいただければ……」
そう言いながら、この世界ではまた使ったことはなかったが、前世の知識にあるお嬢様っぽい動きでスカートのすそをつかむ動作をしてお辞儀をした。そしてその後、スカートじゃなかったなと思い直して恥ずかしくなりうつむいた。
仕方ないよね。いきなりだったし……慣れない事はするもんじゃない……
「う、うむ。人族の世界の挨拶などは詳しくない故、礼儀知らずであれば申し訳ないが、その点は容赦を頂きたい」
「はいそれはもう。私も不作法なのでかまいません」
まだ恥ずかしさがとれず蚊の鳴くような声で絞り出した私。
「それでマリ様は、レオ様の主様ということで良いのでしょうか?」
「えーと、そんな感じでいいのかな?レオ」
「そうだね!マリ姉ちゃんは僕の大事な人だよ」
くっつきながら可愛いことを言ってくれるレオにきゅんとなり、現実逃避で頭を撫で続けている私。
「できればこの後、ニャルスたちと一緒にお時間を頂ければ良いのだが、構わないでしょうか?」
「はい。それは大丈夫です」
礼儀はすでにあきらめ普通に返答する。もう無理はしない方が良いと悟った。
「ではこちらへ、皆の者はあとは通常通りでたのむ」
その獣王様の声に各々が返事をして動き始める。私たちは獣王様の従者と思われる人に案内され、奥の部屋へと通された。
「こちらへお座りいただき、お待ちくださいませ……私、見ての通りの兎獣人、ピョンロンと申します。何かあれがなんなりとお申し付けを」
「は、はい。ありがとうございます」
少し緊張しつつ、そのピョンロンさんに軽く頭を下げる。
私が少しだけジロジロみてしまったのは仕方のないことだろう。兎で燕尾服のようなものを着ているため、一瞬どっかの夢の国を想像したが、まったくそう見えないマッチョなピョンロンさんだったから……
◆◇◆◇◆
美味しいお茶を頂きながら待っていた私たち。30分ほど待っていたら突然ドアがバタンと響かせ開いたのでビクッとしてしまう。
「おまたせにゃー!」
勢いよく入ってきたニャルス。後ろにはニャイダと獣王様、それともうひとり、綺麗な猫獣人と思われる女性が入ってきた。多分ニャルスのお母さんかな?と思っていた。
そしてその面々が、目の前の席に座ると獣王様が頭を下げた。
「まずは娘を無事連れ戻してくれてありがとう。感謝する。私がこのディアーナ獣王国の王、レレオ・マールスである」
「どうも、ご丁寧に。改めましてマリアントです」
緊張しまくりの私。
「そして私がニャナン・マールスです。ニャルスちゃんを守ってくれたありがとうございます」
「いえいえ。私なんて何も……」
「あら、あなたのおかげでニャルスちゃんと、ついでにニャイダも強くなったと聞いてますよ?」
「それはまあ、そんな感じで……」
なんだろう。緊張する。獣人とは言えここまで大人としゃべることがなかった私は戸惑っていた。
「で、本題なのだが……本来なら感謝の宴をといったところなのだが、ニャルスが逃げ出してたせいで、決闘の儀式が滞っていてな……それが終わるまでは宮殿内に滞在いただければ幸いなのだが……」
「それはまあ構いません」
「そうか。それは良かった」
獣王様がふーと息を吐き出し椅子にもたれかかった。
「取り急ぎ明日の正午、決闘の儀式が王宮横の格闘場にて開かれる。先ほどのダルニャと……このニャイダのな」
「あ……そうなんですか!」
てっきりニャルスとダルニャの決闘なのかと思っていた私が、驚きと共に二人を見る。二人とも照れて下を向いていた。あら可愛い。近所のおばちゃんのようなほっこりした気持ちになり、ニャルスに声を掛けた。
「ニャルス、良かったね」
「うにゃ~」
だめだ。会話にならなそう。
「私たちがこの部屋に来る前にね、またダルニャがやってきたのよ!決闘はいつやるのか、って!そしたらね、なんとニャイダが『まずは俺とやってもらおう!』ってね!
すごくない?あのニャイダがよ!私もう嬉しくなってね!その場で明日やりましょう!勝った方がニャルスちゃんのお婿さんよ!って言っちゃったのよ!」
「ママ?その、恥ずかしいにゃ、やめてほしいにゃ……」
ニャナンさんのハイテンションな説明にまたまたほっこりしてしまう私。なんかいいよね!ドキドキしちゃう。
とりあえずその後の流れの説明を受けた私たちは、その場で運び込まれが夕食を美味しく頂き、猫獣人の侍女に案内され大きな部屋に通される。途中ふわふわ揺れるしっぽを撫でまわしたくなったのを必死で堪えいていたのは内緒である。
今日はここでニャルスとニャイダも含めみんなで寝るのだとか。いくつかあるベットは少しずつ距離が離され、レースのような天幕でおおわれていた。親しい関係のゲストがまとめて泊まる部屋らしい。
獣人族の習慣は人とは少し違うようだ。とは言え私は洞窟生活でこういったことも慣れているため抵抗はなかった。
私は、モモさんとダイ、ユズと一緒に同じベットに入る。左からダイ、モモさん、私にユズである。右からは子供の体温の温かさを感じ、左からは豊満な塊を感じながらの就寝となった。
コガネさんはレオと一緒に、ニャルスとニャイダは当然ながら別々のベットに入った。ジロは「何があってもマリ姉は僕が守るからね」と耳元で囁いたあと、クロと部屋をでていってしまった。
私は、少しだけドキドキした心臓を抱えながら深く眠りについた。
お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。
期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!
そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!
もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。
読者様のお力が必要なんです!




