25
新章です。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
「うわーあれが獣王国なんだね。結構整備されているように見える。正直森の延長かと思ってた」
住み慣れた洞窟を後にして、私とジロ、クロ、コガネさんにモモさん、ダイとユズに獣人であるニャルスとニャイダを加えた一行は、5日ほどで何事もなく獣王国と思われる建物が見える場所までたどり着いた。
少し高台になった森の中から見下ろす目の前には、城壁に囲まれている煌びやかな街並みが見える。
「マリはたまに言葉に棘があるにゃ!まあ王宮は森につながってもいるにゃ!」
失礼なことを言っている私にニャルスがつっこみを放っていた。そのニャルスの言葉に再度確認してみると、奥の方に見える立派な宮殿のような建物と森が隣接していた。
本当はこのまま街に定住できるか確認したいところだが、それはニャルスたちの問題をかたずけてからゆっくり、と言う話になっていた。その為、まずはニャルスたちにその王宮へと案内してもらうことになっている。
少し歩いて城壁の入口近くまでやってくると、野性的なモフを携えた虎獣人と思われる門番の男がこちらへ走ってきた。そしてニャルスの前で膝まづく。
「おかえりなさいませ!ニャルメス様」
「ただいまにゃ!」
「早速で恐縮なのですが……戻りましたら獣王様がすぐに来られるようにと通達が来ておりまして……」
「わかったにゃ!元々すぐに行く予定だったにゃ!」
「ありがとうございます!で……後ろの方々は……」
そう言って私たちの方を訝しげに見ながら尋ねていた。
「この方達は姫様の恩人の方々です。護衛として来ていただきました。今後私たちに帯同して頂きます。失礼のないように!」
「は、はっ!承知いたしました!不作法をお許しください!」
ニャイダの言葉にこちらへ向かってビシっとした敬礼を向けるその男に「気にすんな」と頭の後ろに手を組みながら返答するジロ。その方が不作法なのでは?と思いながら私も「いえいえ気にしないでください」と頭を下げた。
当の虎獣人はそんなことは気にしない様子で、畏まりながら城壁へと案内してくれた。
「では私はこれで……」
もう一人いた護衛が「おかえりなさいませ!」と挨拶をした後、案内をしてくれた方と共に敬礼をしながら私たちを見送っていた。
やっとディアーナ獣王国へ入ることができた。
街中はにぎやかな様子で、多数の獣人たちがお店を広げていたりする。店先にオープンなテントのような屋根がついた店舗がならび、様々なものを売っているようだ。
その中でおいしそうな匂いにつられ、私が鉄板の上で焼かれているお肉のお店の前で止まってしまった。
「おっ人族のねーちゃん!買ってくかい?肉汁がたっぷりでうめーぞ!」
「あっいや私がちょっと今、持ち合わせが……」
そう言えばお金を持っていないことに気づいた私は、慌てて両手を前に出して言い訳をしていた。恥ずかしい。
「マリはお腹が減ってるのニャ?」
「こ、これは姫様!……そちらの方は、姫様のお知り合いで?」
店のおじさんが急に緊張で背筋がビュンっと伸びる。
「客人にゃ」
「そ、それでは宜しかったら人数分お出ししましょうか!」
「たのむにゃ」
そう言うと人数分と思われる胴貨を数枚、ニャイダが店主に渡す。貰えるとは思っていなかった店主が震える手でそれを受け取っていた。ほどなくして、紙の袋に入ったお肉を手渡された。
ニャイダの案内で近くの椅子に腰かけると、みんなでその味を確かめる。厚めに切られたお肉がミルフィーユのように束になっている。それにタレが絡んでいてかなりの匂いを放っていた。味は甘辛でもう絶品だった。
ひさしぶりのちゃんとした料理である。美味しくないわけがない。
他のみんなも高評価のようで、レオやダイ、ユズはガツガツといった感じですぐに食べ終えてしまった。
お腹に満足感を感じた私は、さっきの店主にお礼を言ってその足をまた王宮へと足を進めていった。
「おかえりなさいませ!ニャルメス姫様!ニャイダル様!」
王宮の門を守る獣人たちが声をそろえて出迎える。
私はちょっと恐縮しながらも、ニャルスたちに付いていった。
広い庭を抜け豪華絢爛な建物に入ると、中もやっぱり金ぴかなエントランスには、侍女と思われる女性たちがずらりと勢ぞろいして出迎えてくれた。
「「「「「おかえりなさいませ!ニャルメス姫様!」」」」」
うん。やっぱりお姫様なんだね。
そしてひときわ豪華な扉を両脇の獣人たちが開いていく。そして私たちはそのままニャルスたちについて入っていく。
そしてニャルスが少し高いところにある玉座に座っている獅子獣人と思われる獣人に向かって「かえってきたにゃー!」と走っていく。あれがきっとニャルスのお父さん。この獣王国の国王なのだろう。
「おー、よく帰ってきたなニャルメス……して、後ろの者たちはなんだ?新しい従者候補か?」
「恩人にゃ!」
「恩人?」
ニャルスのパパさんは訝しげにこちらを見る。そして私の顔を見て少しだけ顔を顰めた。
「なにやら人間の女がいるようだが?」
「マリは人間だけどいい奴にゃ!」
そしてそれに反応するようにジロとクロ、レオが少し前に出て私を守ろうとする。モモさんは私を後ろから抱きしめてくれる。頭の上のやわらかいものが少し重い。
「う、うむ……失礼した。であるから、その殺気を飛ばすのは止めていただきたい……」
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