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【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
アテナイ王国編

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本日二度目の更新です。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


「ま、まあこれで強くなったりしてればいいんだけど……」


赤くなった顔を覚ますように手でパタパタする私。そしてニャイダは自分の体を動かしながら確認をしているようだった。


「はっ!そういえば……力がみなぎる!これなら!これならダルニャにも負けない!」

「そうなのみゃ?それならニャイダは私に決闘を申し込んでくれるかみゃ?」

「えっ?いや……それは、その……」


煮え切らない態度のニャイダにがっくりと肩を落とすニャルス。


「ならしばらくここで修業でもしたら良い。ジロとクロに鍛えてもらうのもまた良いであろう?」

「そうだね。私もそれはいいと思う」


モモさんの提案に乗っかる私であったが、皇太子の手紙のこともあってどうせならこれに便乗して獣人国にでも行った方が良いのでは?と打算的な考えもあった。しかしそれはジロたちとも相談しなければいけない。折角拠点として整備も整ってきたのだし……


「いいにゃか?」


ニャルスの言葉に、当然私は断る理由もなく受けいれる。そしてしばらくはニャイダの修行を兼ねた共同生活が始まった。

獣人としての知識でより美味しい血抜きの方法や、アテナイ王国とディアーナ獣王国の国交がほぼないことなどの話は、私も興味深く聞いていた。なんでこの世界のことに疎い私。魔物であるジロの知識がどれだけ合っているかも分からないのだ。


二国は多少の交流はあるものの、ほぼ没交渉というのだから逃げ込むのは丁度良いかも!と思ってしまった。他の仲間とも相談したが獣王国内に家でも借りてのんびり暮らすか、なんなら向こうにもある死の森の一角を同じように改築していけば、なんとかなるだろう。そういう話でまとまった。


私は、次の目的地を獣王国に見据えて修行の日々を送った。


◆◇◆◇◆


「姉ちゃん!あっちいこー!」

「だめだよダイ!あまり遠くにいったらママに怒られるよ!」

「大丈夫だよ。あっちは街の方だし強い魔物は出ないんだよ!」

「もう!知らないからね!」


今、ダイとユズは洞窟から少し離れて探検中。

街の方まで進むなら強い魔物は出てこないと教わってはいるが、当然のことながら二人でのお出かけは許されていない。


ユズは姉として弟のダイをほっておくことはできず、一緒に街まで木々に体を隠す遊びをしながらたどり着いていた。そしてこっそりと街の様子を窺っているダイ。その様子を少し離れて窺っているユズ。


先ほどからダイは街の端の方にある屋台の串カツに目を奪われていた。自然とたれる涎。見かねたたユズがそばまで寄ってハンカチでその涎をふき取った。

そんな時、屋台の方から男が一人歩いてきた。その男は手に持っていた串を、ダイに差し出した。


「ボウス、食うか?」

「えっ!いいの?おじちゃん!」

「ああいいぞ!じゃあちょっと一緒に向こういこうな。まだ他にもあるから、おじさんと食べようぜ」

「えっ!他にもあるのか!すげー!」


男がダイに串を渡すと、そのまま手を引いて街中へと連れていこうとする。ダイはすでに串についた肉をほおばっていた。私はあわてて二人を引き止めた。


「ちょっと、ダイ!すみません。私たちは街には入りません。ごめんなさい……お肉、ありがとうございました」


そういってダイの手を握る。


「おいおい!肉だけ食ってさようならってのもないんじゃないか?」

「な、なにすんだ!」


男がダイを手を強引に引っ張っているようだ……が、その手はダイによって捻りあげられ地面へとそのまま叩きつけられた。

私はそれを見ながら額に手を当てた。やってしまったと……


「ダイ!逃げるよ!」

「お、おお!」


街で問題を起こすと怖い人たちにつかまると聞いていたので、私はダイをひっぱるように森へと逃げ帰っていく。すぐに森の中へと戻るとほっと一息ついた。

その後は問題なく洞窟まで帰り着く。


「ダイ!今日のことはママたちには内緒だからね!」

「わかった!」


本当に分かったのか心配だがとりあえず今日は何事もなかった。そうだ、そういうことにしよう。

そしてまた何もない日々がやってくる。


◆◇◆◇◆


「よし!行こう!」


私たちは住み慣れてきた洞窟を出て獣王国へと向かう。

すでに必要な荷物はジロが収納に収めている。


「なんだかちょっと名残惜しいよね。結構長く住んでたし……」

「そうじゃのう」


ちょっとだけ寂しい気持ちをモモさんと共有する。男性陣は早く行こうとワクワクが止まらない様子。まあいいけど。


「じゃあ道案内は任せるからね」

「どんとこいにゃ!」


ニャルスは胸をはるがちょっと心配。でもニャイダさんが居るから大丈夫だろう。そして獣王国へ向けて歩き出す。

少し歩いた時、クロとレオが何やら話した後、なんか凄い笑顔でレオが話しかけてきた。


「マリ姉ちゃん!ちょっと僕忘れものしちゃった。クロと一緒に行ってくるね。すぐ戻るから先に行ってていいからね!行こうクロ!」

「おお!」


そういうと凄い速さで来た道を戻っていった。二人ともなんか悪い顔してるが見なかったことにした。


私たちは森の中をどんどん進む。目的地の獣王国は北西の方らしい。あの洞窟は結構な広さのある死の森の南端。中央に向かって強い魔物が生息しているという。実際、猿や蜥蜴、蛇に熊といった魔物がかなり襲い掛かってくる状態だった。

ジロとコガネさんが、散歩中に石ロコを蹴飛ばすようにサクサク倒していったが……


暫く歩いていると、凄い良い笑顔をしたクロとレオが戻ってきた。当然のように手には何も持っていないが、私は何を忘れたのはか聞かなかった。まあ色々とあるのだろう。

そんな中、人間が入り込めない危険な土地と言われる死の森の中心部を、軽々と走破していく私たち。


「なんだか強くなりすぎちゃって張り合いがないよね?」


そんなことを言うレオに周りのみんなが同様にうなずいていた。人化して強くなり、そして私の黒オーラ事件でさらに強くなりと、みんなかなり強くなっているようだ。これなら旅の安全は心配無用であろう。


そして何事もなく5日ほどで獣王国と思われる建物が見える場所までたどり着いた。少し高台になった森の中から見下ろす目の前には、城壁に囲まれている煌びやかな街並みが見える。


本当はこのまま街に定住できるか確認したいところだが、乗り掛かった舟である。まずはニャルスたちの問題をかたずけてからゆっくりしよう。そう思っていた。


お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

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