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本日17時にも更新します。
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「なるほど。結局、ニャルス姫が、許嫁のダルニャさんを嫌っていて、でも定期的に行われる決闘でそろそろ負けどうだから家出したと……」
「そうなのにゃ!」
私の言葉に胸をはるニャルス。
「だいたいダルニャはうざいのにゃ!やれ獅子族は最高、猫族は弱いとか言って……それなら獅子族の奴と結婚したらいいにゃ!」
「ニャルス姫は猫族なんですか?」
「パパや獅子族でママは猫族にゃ!だからダルニャが求婚してるのは王という地位のためだけなのにゃ!そんなの願い下げなのにゃ!」
「なるほど……」
文句を言い続けるニャルスにニャイダはオロオロしているだけだった。
「だいたい!結婚するならニャイダみたいなのがいいのにゃ!ニャイダは私に決闘を申し込まないから全然話が進まないにゃ!」
「いえ……私は姫の従僕ですし……」
「ニャイダは私が好きじゃないのかにゃ!」
「いやいや好きです!大好きです!あっ……」
勢いに任せて告白してしまったであろうニャイダは慌てて口をふさぎ下を向いてしまった。尻尾は足に挟んで落ち込んでいるようだ。
「ニャイダならうまく負けてあげてもいいにゃ……」
頬を赤らめるニャルス姫……私は何を魅せられているのだろうか。
「僕は……ダルニャには勝てません……姫を娶ったところですぐにダルニャに負けて取られてしまいます……」
しゅんとするニャイダを他所に、私は我慢ができなくなって口をはさんでしまう。
「あの、決闘で勝った方が王になれるという仕組みなのですか?」
「そうにゃ……」
「獣王国ってそんな殺伐とした国なんですね」
「そんなことはありません!決闘で婚儀が決まるのは王族に絡む時だけです!平民は平和に暮らしています!まあ強さは正義という風潮はありますが……」
「そうなんだね……」
少しだけ空気が重くなってしまった。
「じゃあ二人ともマリ姉ちゃんに『もふ』られたらいいんじゃない?」
「「「えっ?」」」
レオの言葉に獣人二人と私も驚いてしまう。何をいってるのレオ……
「マリ姉ちゃんにもふもふされるとね、強くなれるんだ」
「いやそれ魔物限定じゃない?」
『もふる』とか『もふもふ』という言葉は、この世界には無いようで、私がみんなに説明していた言葉だった。確かにもふった結果、みんな人化した挙句、パワーアップもしていたし、なんならこの間の黒オーラ事件の後にはさらにパワーアップしたようで……
その影響でジロはより強靭な肉体強化と炎が段違いの熱を凝縮させていた。クロは作れる糸の強度や量、風魔法の威力も何倍にも上がっていた。コガネさんは尻尾が7本に、モモさんは5本に増えていて、それぞれの魔法の強度が桁外れと言っていた。
レオも同様で、同時に操れる石というより岩となってしまった大きな弾丸が大量に飛んできてやばいとジロが言っていた。
でもそれって魔物限定では……と思っていたが、どうやら体毛のない、もしくは薄い魔物、たとえばスライムや一角兎などの魔物については、もふっても魔力の流れる感じにならなかった。
だからといって獣人はもふれるとは限らないのだけど、と私は思うのだがレオは大丈夫!と自信満々になっていた。
「じゃあ私が試すにゃ!」
そう言って前に出たニャルス姫の頭を優しくなでる。
……あー出てるわー魔力……
私は、気持ちよさそうに顔をゆるませ、そのまま地面に仰向けに寝そべる姫を、しゃがんで唯々撫でる……
「みゃー気持ちいみゃー。もうここに住むみゃー。全部どうでもよいみゃーお嫁さんにしてみゃー」
そんなことを口走るのでそっと手を止め、ジロの後ろに隠れる私。可愛い……けど何かやばい感じがする……私の中の何かが警鐘を鳴らしていた。
そしてしばらくしてから「みゃっ!」と声をあげて起き上がるニャする姫。
「すごいみゃ!力がみなぎる感じでもう暴れだしたくなるみゃ!」
「いや暴れるのは無しかな?」
私にそう言われてシュンとする姫。
「でもすごいみゃ。できればニャイダにもやってほしいのにゃ……」
「ま、まあいいけど」
私は少し身構えるニャイダの耳に手を伸ばして……なんか躊躇するよね。ちょっと野性的な体つきで、それでいて優しそうなイケメン(ケモ耳付き)。ケモ耳イケメンは見慣れているはずなのにやはりドキドキしてしまう。
「は、早く!一思いに……お願いします!」
覚悟を決めた表情で歯を食いしばるニャイダの耳に、手を触れもふる……指先から魔力が流れうのを感じる。あっやわらかい……
「み¨みゃ……」
少し声が漏れ顔が赤くなるニャイダ……そしてしゃがみ込む。それに合わせて仕方なく私もしゃがんで頭を撫でる。またちょっと声を漏らしながらコロリと寝そべるニャイダ。私は少し背徳感を感じ、自分の顔が赤くなっていくのを感じる。
しかしまだいけるはず!と謎の自信に導かれ、ニャイダのふわふわした毛並みの腹筋を撫でる……
「くみゃ!私は、姫様の従僕!こんみゃ……くっしては、ならにゃい……みゃみゃみゃ!くっ、いっそ、このみゃみゃ……わたしが、この女にけがされて……」
「マリ姉ちゃんは僕のだよ?何言ってるの?」
私がもうこれ以上もふってはだめ危険!と思っていた頃に、急に割り込んできたレオがニャイダに殺気を飛ばしていた。
ものすごいスピードで飛び上がって姫の後ろに隠れるニャイダが、はあはあと荒くなった息を整えながら泣きそうな目をしてこちらも見ている。
「ま、まあこれで強くなったりしてればいいんだけど……」
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