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ご覧いただきありがとうございます。本日一回目。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
「起きたんだねマリ姉」
「ひゃ、ジ、ジロ。お、おはよう……ジロの方こそ、ケガはない?」
私を後ろ抱きにしているジロ。背中にぴったりと温かい温もりを感じる。きっと膝をついて抱きしめているのだろう。耳元にかかる吐息に声が上擦る。
「うん!もちろん!元気いっぱいだよ」
「そ、そう。それは良かった……ということで、そろそろ手を離してくれるかな?あとクンクンするのやめてね?私今汗臭いし……」
私を抱きしめる手の力が少しだけ強くなる。
「マリ姉の匂い……」
「はうっ!」
ジロの温かい息と囁く声を耳元に感じながら動けなくなっていた私は、少しして、その温かい腕から解放された。どうしよう。ジロがこんなテクニックを使うようになってしまったら私は……
私は意を決してジロに注意しようと振り向いた。そこにはジロの太陽のような笑顔が待っていた。
「ジ、ジロ……だめだよ?女性に急に抱き着いたりしたら……」
「アッシュールがマリ姉が喜ぶからやれって」
「くっ」
やはりあの女の仕業か!伊達に年はくってないな!こんなところでハイスペック感を出すとは!一度きっちりと話をする必要があるな。そう思いながらなんとかこの話題を終わらせることを考えた。
「そ、それより……そろそろ晩御飯ってことでいいのかな?」
「うん!すぐに食べれるよ!」
そう返事を返しながら、私を横抱きにして新設された木の椅子へと運ばれる私。クロ作と思われるクッションが乗っているのでとても座り心地も良い。
そして私が座り心地を確かめている間に、目の前には焼き立てと思われる湯気がたっている分厚いお肉が出現した。
「そうだよね!こういう時にはお肉だよね!」
私は豪快に齧り付こうと箸を握って口元へ……と思ったがさっきまで寝てたしな。と思い直してゆっくりと一口齧り付く。口の中いっぱいに広がるお肉のうまみ!やっぱり竜肉だよね!
結局私はその美味しさに負けて食べまくった。
体が栄養を欲しているのだ。これはきっと酷使した魂を修復させるための儀式だ!あんだけ過酷な戦いだったのだ。そりゃー次から次へと出されるお肉が私の胃袋に流し込まれるのも仕方のないことなのだ。
そんな言い訳を繰り返しながらも、気づけばみんなが集まり食事を堪能していた。
胃袋が落ち着きを見せたぐらいからみんなの様子を改めて確認すると、どうやらみんなが無事というのは嘘や気休めではなかったようで、それぞれが美味しいであろう料理に笑顔を見せていた。
アッシュールさんだけはこちらをみてニヤニヤとしていたので、やっぱり後でしっかりと問い詰めないといけないな、とあらためて強く心に誓った。
そしてお腹が満足して動けなくなった私の横には、ユズとユキがぴったりとくっついている。温かくて気持ちが良い。後ろにはモモさんが座椅子のように包んでいてくれる。それはいいけどユキは少し顔を洗ってから来てほしい。
口の周りについているタレが私の肩にもついて良い匂いを放っている。というか私も一回顔を洗ったり、できれば一度お風呂に入りたい。汗臭いままの私はモモさんに懇願することにした。
「モモさん。お風呂ってどうなってるの?」
「うむ。それなら新しくあの小屋を作ってそこに設置したからの。ワラワも後で汗を流すから一緒に入るといいじゃろう」
やはりか!小屋といっても屋根がない。そんな建物だったから予想はしていた。元々露天風呂を作っていた場所だったし!私は『今すぐ入りたいのだ』とモモさんい目で訴えかけた。
だめだ。伝わらない。
だが首を傾げるモモさんは可愛い。
「モモさん!お風呂、今すぐ入りたい!」
「うむ。食べたばかりで辛くはないかのう」
「大丈夫!」
「ではそうするかの。ユズ、ユキ、お主たちも行くじゃろ?」
モモさんの問いかけに当然のようにうなずくユズとユキの二人。
「じゃあ、レッツゴー!」
私は二人がくっついたままの状態でお風呂まで歩いて行った。途中でジロが取り出した着替えを受け取ると、思い出したように『アイテムボックス』に収納する。なるほど。こう使うのか……
あの男から返してもらったスキルを発動させ、その動きを確かめるように立ち止まってから手の中に着替えを出したり仕舞ったり……便利すぎる。これでいちいちジロから下着とか出してもらう必要もない。
後で着替えを全部出してもらおう。そして非常食としてあのスープと出来上がった焼き立てお肉も収納しておこう。備えは大事。
そして新設されたお風呂の入り口、カーテンを横に開いて中を確認する。
「広いね!」
「そうじゃのう。レオも頑張っておった様じゃからの。うむ。良い出来じゃ!」
私は設置されている板の間の上で横に備え付けられている棚にある篭に、着ていた服を脱いでぶちこんだ。そしてそのままお風呂へざぶんと飛び込んだ。
両隣でも同じようにざぶんと音がして、私に大量のお湯がかけられたので、ユズとユキも飛び込んだのだろう。あまり躾には良く無かったかな?まあ今日ぐらいはいいだろう。
「まったく。何時までたっても子供じゃのう」
「今日ぐらいは大目に見てよ」
自然と笑顔になった私は、ゆっくりと入ってくる色っぽいモモさんを見ながら許しを願った。
私は、またモモさんに後ろに回り込まれるとそのまま膝の上にのせられる。柔らかいお肉な座椅子に包まれる。心地よい時間が流れる。この幸せが何時までも続くように一応アトちゃんに願った。不安はあるが……
「やっと……終わったんだよね……」
「そうじゃのう……」
まずはこの結末を楽しもう。
そんな穏やかなお風呂タイムも、途中でユズとユキが激し遊んでいたようで、お湯が何度か飛んできて油断ならなかったが、きっと隣の少し怖い顔になったモモさんが後できっちりと躾てくれるだろう。
温かいお湯とぷにぷにのモモさん椅子を堪能する、
とりあえずは危機的状況は去ったのだ。そんな事を実感しつつ今生で一番大変だった一日が終わってゆくことに幸せを感じていた。
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