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皆様のおかげで100話まで書くことができました。ありがとうございます!

そしてあの日の夜です。※83話参照


Side:ジロ


あの日の夜……


マリ姉もアッシュールとの修行を終え、何だか知らないけど二人一緒にアダドの部屋に押し込まれた。


マリ姉はかなり戸惑っているようだけど、正直僕は長い間マリ姉と離れてたから本当に嬉しい。思わず口元が緩んでしまう。


そんなマリ姉は「あついね」って言いながら胸元をパタパタとさせていた。マリ姉の匂いがとても心地いい。思わずクンクンと鼻を動かしてしまう。大好きな……ご主人様の匂い。


「ジ、ジロ……この部屋結構狭いね!ここでみんなで寝てたんでしょ?狭くなかった?」

「みんな結構外で寝てたりしたよ」

やっぱりいつもと違うマリ姉がいつもと違うしゃべり方で僕に投げかけられた質問に答える僕。なんたか僕まで緊張しちゃうかも。


「そ、そうなんだ……」

また戸惑いながらも返ってきた言葉。


沈黙は生まれる。


ずっと会いたくて……ふれたくて……でも邪神に負けた僕は絶対に強くならなきゃいけないと思ったから、ぐっと我慢してその我慢した分を修行にぶつけた。マリ姉を守らなきゃいけないから!


そして僕はまだ戸惑っているマリ姉を抱きしめた。


「うわっぷ」

マリ姉の声……胸元に息がかかる。とても心地が良い。


「マリ姉。寂しかった?」

僕はとっても寂しかったから思わず口から発せられた言葉……マリ姉は僕と会えなかったからって寂しいとか、そんなことはないんだろうけどね。


「寂しかった」

僕は戸惑ってしまう。


そしてマリ姉はが泣いてしまっているのが分かる。震える肩を壊れないように優しく優しく……

そしていつもマリ姉がやってくれるように頭を撫でる。僕が甘えたい時にはいつもこうして頭をその小さな手で撫でてくれるから……


「大丈夫!邪神が来てもマリ姉は僕が守る!そして絶対に倒して……みんな一緒に、幸せに暮らそう」

僕の今の気持ちをいっぱい込めて『邪神を倒す』と宣言する。

マリ姉に、安心してほしいから……


僕の言葉に少しだけ肩をビクリと震わせたマリ姉は、さらに泣いてしまった。マリ姉の声を上げて泣いている。どうしたら良いのだろう……

やっぱり僕じゃ頼りなかったかな?不安にさせちゃったかな?どうしたら安心してもらえるだろう?


どうしたら良いか分からないけど頭を撫でる手は止めなかった。本当にどうしたら良いか分からなかったんだよ?だからマリ姉からしてもらった嬉しいことナンバーワンの頭をナデナデを続けたんだ。


暫く撫でていると、泣いてる声が聞こえなくなり、僕の胸に心地よく温かい息を感じる。


「マリ姉、寝ちゃった?」

寝てたら起きないように、と小さな声で聞いてみる。


マリ姉からの返答はない。

だから僕はそっと腕の力を緩め、マリ姉の顔を見る。


「寝てる」

僕はぽそりとつぶやいた。


僕はその寝顔を見て安堵した。とっても幸せそうに見えたから……そして僕はマリ姉の頬の涙よ指でぬぐう。大丈夫。それはペロペロしたりしないよ?前に怒られたからね。


マリ姉を起こさないように横抱きにした僕はベットにゆっくりと寝かせると、布団をかけてしばらくその寝顔を見ていた。


そうだ!と思った僕はマリ姉がやってくれたように布団のかかっているお腹をポンポンとゆっくりしたリズムを刻むように優しく叩く。これも気持ちがいいんだよね。前に人化を解いて一緒に寝た時に僕のお腹を枕にしながらやってくれた。


「マリ姉もやっぱり気持ちいいんだね」

少しだけマリ姉が笑っている。


僕は幸せな時間を楽しんだ。


でも僕は……僕たちはこれから邪神を倒すために必死にやらなきゃいけないんだよね。絶対に……絶対に負けない!大丈夫。僕たちは負けない!


「ジロ……」

僕は不意に呼ばれた名前にドキっとしてしまう。


起きちゃったかな?そう思ってマリ姉の顔に視線を戻すと、むにゅむにゃと何やら口元を動かしている。目はつぶっている。寝ている……よね?


僕はいつも以上にマリ姉を愛おしく感じて……

その頬に軽く自分の唇をあてた。


あのテレビというやつの中でやっていた。人間が愛をささやく時の……キスってやつなんだよね?

その行為に、僕もドキドキと心臓が高鳴った。


そうか、こういう儀式でドキドキを高めて、そして番うのか……


ごめんねマリ姉。勝手にキス、しちゃって。

でもいつかマリ姉が起きている時に、こうやってドキドキしあって……そして……


思い返せばこの世界でマリ姉と再会し、同じ人間の様な姿になったからかしばらくは顔を見つめ合うだけでちょっとドキドキしちゃっていた僕。

最近は慣れてきてくっつくことも平気になったけど、マリ姉はいつもドキドキとしているようだから、なんでだろうって思ったけど……少しわかった気がする。まだ心臓がうるさい。


そう思っていたら……


小屋の外に何かいる気配を感じた。

ひっそりと動かないし害意はないのは分かっている。というかモモだろう。心配だったのかな?僕はマリ姉が起きないようにそっと外に出た。


「モモ?どうしたの?」

ちょっとモモがモジモジしている。どうしたんだろう。


「うむ……いやなに、一応何か困ったことがあれば相談に乗ろうと思ったのじゃが……寝てしまったのかの?」

「うん。マリ姉は寝ちゃったよ。ちゃんとベットに寝かせて布団もかけたよ」

「う、うむ」

モモの様子がおかしい。


「それでその……早かったからの、マリ姉とはいたせたのかの?」

「いたせた?何を?」

なんだか分からないけどモモが少し赤くなっている。


「何もないのであれば、まあ良いのじゃ。事を行ってないならそれはそれじゃな」

「事をって……あっ!」

思わず少し大きな声を出してしまった僕は自分の口を両手でふさぐ。


そして小屋の中のマリ姉を確認する。


「良かった。起きなかった」

「うむ」

「マリ姉は少し泣いてから寝ちゃったからね。何も、何もしてないよ」

「そうなのじゃな」

僕は自分の顔が赤くなるのが分かる。キスしたことは何となく言い出しにくかった。マリ姉が寝ている間だったから……モモに何か言われたくない。


「じゃあ、後はモモに任せちゃおうかな?僕は……ちょっと体うごかしてくるよ」

「うむ。あとは任せて良いからの……発散してくるがよい」

ん?モモは何を言っているのかわからないけど……とりあえず「わかった」と言って森深くへ移動する。


よし!少しだけ暴れちゃおう!


僕は目の前にいる竜種の群れに拳をぶち込む作業に没頭した。

お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。これで『vs 邪神編』は終了です。明日より最後となる『マリの日常編』が始まります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

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