4-20 神獣覚醒
side エヒナ
あの後、私たちは、すぐに気づいた。空の魔力と反応がすぐにまるで幻のように、氷が溶けるようにすっと消えたことに。私はすぐに竜の谷で朱雀の胸ぐらを掴んでも何も解決しなかった。その場にいたカバリオも急に大きくなって、すぐに何か起っていることだけ分かった。神獣達が急に自分の意思と関係なく『覚醒』をすることがないことも以前から聞いてる。さっきからカバリオにも話しを聞こうとしても全く取り合ってくれない。
「カバリオ!どういうことなのこれ!!」
「...謀られたんだ。兄ちゃんに。それも会った時からじゃなくて、あの日からずっと!」
姿が変わった、カバリオは自分の足を大きく振り上げると地面が割れる。そして他の竜たちが怖がっているのがすぐに分かる程だった。今のカバリオは以前の姿と違って、まるでカバみたいな姿から背中には無数の剣柱が聳え立ち、まるでカメのように硬い甲羅を持っていた。足には硬い鱗と、より大地に近づいたような魔力、そして、あふれ出す神力と土の権能。これが完全な覚醒だなんてことは人目見たら誰でも分かる。
姿は竜の里にいる竜王よりも数倍大きく、竜の谷がかなり高いとは言え、それをより越えて、最早一つの最高峰の高さを持つあの山のように高い。そしてそんなのが少し足を振り上げれば簡単に地面など割れるし、立っていられなくなるほど地面が揺れる。そして、空間が振動して、周りを飛んでいた竜たちも空気が揺らされて、そのまま墜落する者まで現われる。
それに気づいたカバリオはすぐに竜の谷の壁から無数の手や植物をすぐに創造すると、竜達を見事にキャッチして見せる。そして、ゆっくりと下ろして、すぐに土の権能で癒やすとどうやら頭が冷えたみたいだ。
「...竜の皆さんや他の種族の皆さんごめんなさい急に!」
「崩れた場所は全部僕が治します」
そう言うと、また詠唱も無しに神力を使い、壊れて家屋や、壁、道、地割れなども一斉に修復していくと、自然の魔力が谷中に広まる。身体がリラックスして凄く心地いいけど、そんなことはともかくホロさんは?空がこっちに来てるって言ってたけど。
「土王竜様どうしましたか?」
「ごめん。どうやらホロが降ってくるみたいだから少し移動するよ」
「分かりました。それまで、この炎竜王の我にお任せください!!」
「ごめん。すぐ戻ってくる。大地転移」
そういうとこっちを全く見ずにすぐに地中にまるで水があるかのように土の中を一切掘らずに移動をする。そして残されたのは私達二人だった。
『と、とにかく、怪我した人はいませんか?木属性と水属性の人以外なら簡単な治療出来ます!!』
「私もとにかく怪我してる人の処置をするわ」
全くと言って良いほど本当に似てるわ。人のことを置いて勝手に進んで行く辺りが特に。それに、今回のことは、少しだけど嫌な予感がする。なんだか分からないけど、どことなく。
***
「はー。ったく、あの駄竜も、弟子も何してるのやら。あの駄竜があんなことがあったことを話す訳ねえだろうっつうの」
「...って、二人どこに行った?」
私はあのバカ弟子を見失うとすぐに動き出した二人を見る。すると昔の記憶が幾つか蘇って来るような気がして舌打ちすると、そのままここを出ようと空間に孔を開けようとする。
「神祖様、行ってしまうのですか?」
「...イワクテスか」
「ええ、すっかり老竜となって最早風前の灯ですが」
石から急に声をかけて来たのは、かつての弟子の一人で、元岩竜王イワクテスだった。かつての輝き誇ったまるで岩のような鱗はもうなく、自然の一部となっていた。おそらく竜特有の魂の匂いというもので私を感じているのだろう。
「..力を貸していただけませんか。今私たちの里は崩壊の一途を辿っています。このような老いぼれた弟子の最初で最後の我儘を聞いていただけませんか?」
「...、それは、」
「...別にいいんです。少なくとも貴方が動かなくてもみんな勝手に動いて行きます。でも、それではいけない。貴方は一人ではないから」
相変わらず嫌な弟子だ。こうも師匠の心の壁をズカズカと乗り越えて気負って。嬉しい反面、おそらく最後の会話になることを分かりながら、少しだけ話をすることにした。
「世界樹竜様は、きっと貴方にも願っているはずです。かつて貴方にしたことを見れば確かにそうかもしれません。けど、あのお方はそんなことは忘れていないし、最善を尽くしたと思います」
分かっている。私と兄は元々同じ身体に宿った人格の一つだった。それを兄のお願いで、まだあれになっていなかった、あの駄竜に力を借りて二人の人格を切り離して別々の人として生きていくという願いを伝えると、失敗して、ひどく兄は傷つきしばらく表で出ることができなかった。
それが原因ではないけど、私はそのことがキッカケで、あの空を憎んでいる。兄を怪我させたこと、下手したら人格が死んで兄が死んでしまうことが怖かった。あいつは昔から何を考えてるのかよく分からないし、誰かを頼っているようで誰も頼ってない。
だが、あいつは最後にやり遂げた。そこだけは賞賛に値すると思う。バカ弟子の兄はやはりバカか。クソ、全く持ってこれじゃあ私が動くのが分かって言ってるだろ、この生意気な小僧が。
「分かった。出来る範囲でやるわ。ただあの駄竜は赦さない」
「...貴方がいればきっと、....最....いい.....のに」
そう言うと、完全に身体が自然の魔力と同一化すると、完全にただの岩となって、生命を終え、この星の輪廻へと帰る。それをしっかりと見つけると、すぐにその岩を少し叩くと、急いで翼を広げると二人の元へ向かう。
***
一方、竜人族の里では、守たちは普通に生活をしていた。それは、守が異世界射撃をした後の出来事だった。突如、各地で誰がどこにいてもすぐに分かるほどの甚大な魔力がまるで急に現れたようで数分間だけ世界が揺れる。
「これは一体」
「なんですかこの揺れ」
「母様と父様か?」
そう言うと、まるで魔力が世界中に舞うと、とある気配が強まる。世界中に魔力の渦のような物が現れ、まるであの時のような感覚を守は感じる。しかし、そこに笑みと、悲しみが同時にやって来ており、喜んでいいのか悲しんだ方がいいのか分からないでいた。
「レイリー。妾の父と母の魔力を感じるのじゃ」
「ということは、雷王狼様と不死王鳥様が」
二人が戻って来るのかえ?それだったら凄く嬉しいのじゃ。けど、どうしてか分からんが、胸がざわつく。まるで何かが足りていないようなそんな感じが。
『すまねえな。修行最後まで見切れなくて』
「え?」
まるで風が吹くように、空さんの声がすると、胸のざわめきが加速する。これって、もしかして。
「レイリー!今すぐ教会に行くぞ!」
「わ、分かった、ヨルとルリアも呼ぶわ!」
もしもこの予感が外れていなければおそらく空さんは、しかも、世界樹竜様が死ぬなんてあり得ない。あり得ない!
それから急いで、ヨルとルリアとレイリーを連れて急いで教会へと向かう。その道中で街には困惑した竜人たちが慌て始めているのが分かった。
「困惑を抑えたいけど、理由が分からないと」
「..行くしかない」
そうして、急いで古びた教会の前まで行くと、上にあるはずの光の柱が完全に無くなっていた。誰にも管理されていなかったとは言え、来るまでは絶対にあったはずなのに。
「お姉ちゃん。空さん」
「...分からない、でも、空さんは死んでないと思う」
「ティアさんを呼んでよ」
「...ティアとアイラスは今は別の場所にいるからすぐには帰って来れない」
二人は一体どこに、いや、それよりも父様と母様の気配を遠くに感じるのに、念話に応じてくれない。空さん一体どこに行ったの?それとも本当に。
「まさか、あの世界に行った時に何かあった?」
「...とにかく急いで竜帝様に報告をしないと」
その時だった、いきなり地面が揺れだすと、そこで起きたのは、地面が崩れて地面から現れたのは水竜王だった。水が地面から溢れ出すと、一気に洪水のようになり、竜人たちを飲み込んで行く。
「森羅万象<水>」
「水よ静まりなさい」
すると、突如として現れた水王竜が現れると、再び水が引いて行く。そして、水から現れたのはあの人だった。
「姉さん!?」
「ナンジャと!?」
今、レイリーあれを姉と言ったのか?あの竜王の欠片を竜の肉体を捨てた竜人が扱えるはずがない。妾だって、まだ神獣の状態を維持するのが厳しいのに。
「アルメラ様、お久しゅうございます」
「...久しぶりね、そいつの皮に入って楽しいかしら?」
「いやいや、怖いなー、まさか、弟子の身体を使ってるだけですよ」
そう言うと、水竜王から出て来たのは、全身が水で出来たレイリーとよく似た少女だった。妾ですらあのような者は見たことがない。それにしたって、どうしてあんなにレイリーと似ておる。竜帝からそのようなことは一度たりとも聞いたことなどなかった。
水王竜様が怒ってらっしゃる。あのレイリーの姉だと?!そんなこと言われたら気になるのが妾じゃが、状況が状況じゃ。今はこっち優先。
「水竜王が死んだ後に私密かに収集してまして、こうして竜帝の血を引いてるのでわりと適合しまして」
「錬金術か」
「ご名答、ただちょっと違うかな、私は遊戯神の加護を得たのでそれもあると思いますけど」
「あの、クソ神!!」
遊戯神?って一体、かなり昔にあったと言われる神魔戦争のことを言っている?いや、でもそんな話しは一切、お父様やお母様は何も。
そして、完全にキレた 水王竜様がレイリーの姉を攻撃すると、水が一瞬で干上がると、そのままアルメラ様が人化する。そして、空間に手を差し込むと、そこから空間が割れると、そこから現われたのは二刀の短剣だった。そして、空間が割れたところからまるで空間が液体のようになると一瞬で水竜王が警戒するのが分かる。
「レイリーいますぐ竜人たちを避難させなさい、最悪の未来は私が消す」
「森羅万象『天鏡』、神羅万象『水鏡』」
両肩に二つの鏡が現われるとすぐにそこに 水王竜様とレイリーの姉が中に入ると一瞬で反応が消えたことを考えると別の場所に転移したことが分かった。そして、私はすぐにレイリーと一緒に竜人たちの避難を済ませるために動き始める。
レイリー何か知っておるのか、あの者のこと、それにしたって、 水王竜様のさっきの怒りよう絶対に過去に何かあったに違いない。それに、今は、神獣は私しかいない。ということは私がこの里を任されているのじゃ。最愛の者を守り、お父様やお母様に報告するまで流石に死ねん。
「アルメラ様があれを出したということは、おそらく」
「...後で話しを聞かせてくれ」
「うん、ごめん」
そう言うとレイリーはきっと話したくない理由があるのだろうそれを隠すように竜人族たちをすぐにまとめあげると、地下に掘ってある地下街に避難を開始する。大昔に守さんが作ったらしいからきっと大丈夫だと思うけど、相手はおそらくレイリーのお姉さんだけではない気がする。しかも、この空さんと守さんがいないタイミング。絶対に何か仕掛けて来るとしたらこのタイミング以外ない気がする。
「...空さん、一体どこに」
「ちょっと、そこの神獣のガキ、酒と女寄越しなさい」
なんじゃ妾が誰か分かって言っておるのか?セナじゃぞ、太陽が如き光を放つ母様と、雷鳴が如く駆ける父様の娘じゃぞ!その妾を愚弄するか愚か者め。
影から出て来たのは、空の酒瓶を持って軽くヨダレを垂らしながら歩く黒髪の女がいた。そして悪態を吐きながら、私に酒瓶を渡そうとしてくる。
「女だー酒告げー!!」
「今はお主のようなやつと絡んでおる状況じゃないのじゃ」
「ああ、あれのこと?アルメラならなんとか出来るでしょ」
「ん?知っておるのか?」
なんでアルメラ様のことを知っておるのじゃ?!それに、この気配は一体。...いや、でもそんなはずわ。
「...神祖の吸血鬼」
「...ッヒク、そうだけどー?まあなんでもいいけどあれなんとかしたほうがいいんじゃない?」
「何を言って」
その瞬間に一瞬で理解した。そこに現れたのは、悪意に落ちた竜たちだった。名は邪竜や、賢竜と言った名ばかりの最強の竜種たちだった。しかもそれの竜神クラスや、竜帝クラスまでもが群れで動いていた。
「マズイ!急いで結界で、いや、人手が足りぬ」
「...私は手伝わないよ、だってあいつの約束が本当か分かんないし」
「あいつって誰のことじゃ!」
「言わない、それに、あなたが神獣のガキならあれぐらい余裕で倒しなさいよ。あなたの両親はそれぐらい簡単にやってたわよ」
...妾はまだ神獣として未熟なのじゃ。滅多なことで神獣化できんというのもあったが、何より形が決まっていない。雷王狼としてか、不死王鳥二人の力を持っておるが、どちらの力もまだ碌に。
「...それに、そこの二人もいるだろう?」
「私、邪竜相手に戦ったことないよ」
「私も」
確かに、妾も実質戦闘はほぼしたことのない素人じゃからのう。せめてやはり神獣化が上手く出来れば。というのは言い訳じゃ、ここままだとレイリーに嫌われてしまうな。それに、妾は仮にも最強の神獣の一角世界樹竜様に剣を教えてもらった身。
「...紫電一刀流、名はセナ!参る!!」
「え?!セナさん?!」
すまんがな、竜人族たちがいる国は妾にとって最早愛すべき里で、街じゃ。それに、両親が守った場所を守らなくて、何が娘じゃ!神獣ですらないわ!!
「日式・天の羽衣」
「虚式・虚の羽衣」
「待って!」
すると、下から来たのは、竜人族の姿の上から、炎のように燃える羽衣と、暗い闇のように燃える羽衣を着たルリアとヨルが来ていた。
「状況分かっておるのか!そなたらでは」
「分かってるけど、あれは危険な魔物なんでしょ?」
「あれぐらいなら私だって切れる」
どうやら二人とも覚悟が決まっておるようじゃった。二人の覚悟は受け止めたが、空さんから聞いていた魔道王の遺産のレプリカとは言え、どうなることやら。いざとなれば、とも考えるが。
『どうやら困っておるようだな』
「エルハデスヤ?!」
『あれらは邪竜、賢竜か、しかも群れ、何を考えておる、あんな物一体でもおれば今の人間族の国ではひとたまりもないぞ』
急に現れたのは、アイラスの父であるエルハデスヤだった。姿はキメラに似てはいるが、それとは全く違い精霊と竜の間らしいが。正直言って妾もあれぐらいカッコよくなりたい。
『水王竜様は?』
「レイリーの姉様と共にどこかに」
『せめて結界でも貼りたいが、あのものどもの攻撃を防ぐことが出来る結界など』
「闇魔法・深淵結界」
さっきまで酔い潰れがいたところから魔法を使用した者がいた。その者から天高く闇が広がると、そのままドーム状に里全体を包み込み、邪竜たちの群れが外に出られなくなった。
この自称、神祖の吸血鬼という話も案外本当なのかもしれんなと思いながら。すぐに私たちは行動を開始する。被害を出さないようにチームを分けた、私はこの飲んだくれと、エルハデスヤはルリアとヨルの援護を頼んだ。
「飲んだくれよ、さっきのは助かったのじゃ」
「...あれにあなたたちが勝てると思わないんだけど」
「...それでもやるしかない、ここは妾の故郷じゃ。例え命に変えても守らなければならん」
「...っ、どいつもこいつも」
妾がそう言い、火の翼を展開して、上空に上がる。おそらくじゃが妾は二つの能力を継承しておるから二つそれぞれ別で使えばいいんじゃないの。雷と火を纏う方もあるけど。
「紫電一刀流・雷火」
早速近づいて、邪竜たちに突撃する妾だが、一瞬で邪竜たちに見つけられると思ったよりも大きく。森の木々よりも遥かに高く、まるで現実感がないが、それでも守る。
雷で強化した刀に火魔法で更に攻撃力と爆発力を上げると、バチバチという音と、燃えるような音と、燃えるような匂いがすると、邪竜の鱗に傷が入っていた。邪竜と賢竜の攻撃がこちらに来ると、刀で受けずに炎の盾で自分を守る。
ヨルとルリアのお陰もあって、かなりの多くの邪竜たちがこちらに敵意を向けてくれているが、それもきっと時間の問題。一体倒すだけでもかなりの魔力を消費する。持久戦は出来ないのじゃ。それならと思うが妾に本来の神獣の力である真魔法は使えない。それがあればまともに攻撃が入るのじゃがな。
「ネツァフ、日式:剣&杖」
「ネツァフ、虚式:剣&杖」
二人の力は確か、魔道王の力の模造品という話しらしいのじゃが、あれもなぜ分けたのじゃろうな。日式、虚式。意味はおそらく母様たちに聞けば分かるじゃろうが、ここは手伝ってもらうしかなさそじゃ。
「セナさん!邪竜の相手は任せて」
「空の魔法剣がまだ残ってるから大丈夫」
「...じゃが」
「大丈夫。私がルリアを守る」
あれ?これ妾一人で相手することになってないか?神獣じゃが妾まだ使いこなしてない。それに空さんも妾のこと買いかぶりではないか?ティアとアイラスには付けておるのは知っておったが、妾だってかなりキツイんじゃが。
「はーおえ、瘴気をまき散らしやがって。酒がまずくなろうだろう」
「お主はさっきのだらしない女?!」
「...うえ、吐きそう。ちょっとそこの狼鳥女。あいつ倒すから強力しなさい」
「...敵なのか?」
「...敵かもだけどね」
とりあえずは目的の一致というわけか、それは良いとして。この者。凄い危険な気がする。完全に信用しきるとマズいことになりそうじゃ。それに、妾のことを一瞬で誰の娘か分かる辺り、相当高位の種族なのが分かる。おそらくじゃが。
「血液魔法・ディストバレット」
「雷魔法・雷帝の雷」
とにかく急がんとレイリーや竜人たちが心配じゃ。それに、さっきから守からの連絡と念話が途切れておる。おそらくこっちに向かって来てくれておるものじゃと思っておるが。
そうこう言いながら、あの飲んだくれのお陰で相当数を減らすことが出来たのじゃが、問題があった。この女無差別に攻撃してくるのじゃ。血液がまるで弾丸のごとく邪竜の眉間を打ち抜くとすぐに酒を飲み始めて吐きながら余裕を持って対処していた。妾も負けじと刀で応戦したり、魔法で応戦するが殲滅力の違いが顕著に表れる。
「妾だって!!」
「うえ、吐く、おぇぇえ」
汚な!と思いながら上から降る雨に乗じて雷を浴びせると一気に感電を始めてかなりの量を倒すことが出来た。そして、その中でも目視で確認できる三体のデカい竜がいた。
おそらく一体目は邪竜で、二体目は、分からん。三体目は、賢竜じゃろうな。しかし、あの二体目の正体が分からん。分からんというよりは見たことのない竜じゃ。
「...んぇ、めんどくさいのが一匹紛れ込んでおるな。まさかじゃがあれは、前任の黄昏の竜なのか」
「アイラスの?」
「...まああれとやり合うのは嫌だから頼んだ。邪竜と賢竜はやる」
そう言うと今まで飲んでいた酒瓶を相手の竜に投げると、空間に手を突っ込み、真っ黒な刀を取り出す。そして、それを握ると真っ先に邪竜と賢竜との距離を詰める。
「解放、闇魔法・零の孔、虚の太刀・冥華」
そう言うと、知らぬうちにブレスや周囲の魔力が闇の孔に吸い込まれていく。そして、吸い込まれている内に血液魔法で繰り出した弾幕と、闇魔法の拘束により、そのまま黒い斬撃が走るとすぐに切り刻まれて刀を仕舞う際には、もう既に倒れていた。
「あれが、刀の最奥なのか」
妾でもあれが出来るようになるまで一体どれだけの研鑽を積めばいいのか分からん。じゃが確かに見えたのは普通の動作に闇魔法で刀を覆って、更に、血液魔法を使用して、吸血鬼特有の血液の強化+悪天候という条件と無駄のない所作。
刀を仕舞うとこちらを向いて指を指すと目の魔に恐ろしいほど黒く染まった大きな竜がそこにはいた。
迎撃しようとすると既にブレスを吐かれており、妾は地面に叩き付けられる。寸でも間に合わず、直で攻撃を受けたと思うと、身体に相当量のデバフがかけられていることが分かった。身体は重く、魔力回路の一部が接続されていないというよりこの場にないような。
そんなことを痛みに耐えながら、ドワーフたちに作ってもらった刀を杖代わりにすると、妾は民家の壁にもたれる。
あれが、両親たちが戦っていた中でも普通というレベル。レベルが違い過ぎるのじゃ。妾にはまだ厳しいかもしれん。じゃが、妾は腐っても神獣の一体。こんなところを他の神獣たちに見られる訳にはいかんのじゃ。
妾はここで勝負に出る。




