4-19 覚醒、そして、さようなら
あの後、弟たちを先に送り出すと、俺は一人で魔神の繭を拘束して、何とかしてへし折ろうとしていた。覚醒状態じゃないからなんとも言わないが、こんなのでも昔は魔神を倒してたんだぜ。
「にしたって多いな?!乖離でかなりの量を出してるはずなのに、いや、どこかに穴があるのか?」
空間魔法で全体を探索すると一部部分が魔力が弾かれるとところがあった。その部分に意識を強く持ち、ついでにとばかりにその部分にだけ闇魔法で魔力抵抗を下げて行くとそこに槍を空間魔法で直で差し込むと一気に汚染された魔力が溢れてくる。それを浄化しながら自分の身体の中に循環させながら、綺麗にした後、星脈に接続するとすぐに、浄化を内部でしながら、魔神がいる場所まで魔力を通す。
「ここか?いや、これは!!」
その時だった、本当に少しだけ油断していたのだ。俺だってここで油断するような男じゃないんだけど、さっきからの連戦でのこれをやられるとさ、流石に困るよな。俺にだって、核はあるんだよ。それに従ってやってるっていうのに困ったもんだぜ。魔力探査だってサボってないのにな。
「よう?どうだ。守よ」
「カハッ!」
背後から現われたのは黒い外套に血塗れの鎌に、隠者のマントに、竜殺しの短剣を一気に刺して来やがった。俺が普通の竜なら危なかったけどな!ナメンジャねえよ!血が口から出たからなんでもったい。でも、問題がある、神核自体に鎌が当たりやがった。しかも竜殺しの武器も含めてだ。このままだと魔法自体の制御と星の循環が。
「よお、久しぶりだな。『死神』ケルン」
「お前もな!」
俺は挿しっぱにしたままにしとかねえと、魔力孔が吹き出て一気にあの世行きだ。それは今は流石に困る。まさかあの神剣『死神』の名が関する武器を持った状態で前に殺したはずのケルンが出てくるはずなのによ。このままだと魔神の繭が、せめてこれだけでも先に破壊して。さっきまで汚染された魔力を強引に変換して、神力に変えて、森羅万象(世界)の一部の権能を使うと、一気に星から力を借りて、魔神の繭にの中にある魔神核を目指す。そこには相当量の呪いと汚染された魔力があるが、今はそんなことは言ってらんねえ。だから、腹を決めろ。魔神一体でどれだけ犠牲が出たのか思い出せ!!
「やらせるかよ!守!!」
「...悪いが、お前は奈落に落ちてろ。幻想幻手:雨の剣」
背中から手を増やすと、そのまま無理矢理姉貴の森羅万象<水>に接続して、色々代償を支払いながらお得意の武器を手に取ると、そのまま次元魔法と空間魔法で強化した結界と、兄貴の世界魔法、世界移動でどっかの異世界にたたき出す。
「空の太刀・奈落!!」
「っ?!死の鎌・断罪!!」
俺の身体にケルンの鎌が当たると、すぐに幻想幻手が切られると、スピードで負けたけどな、これは仮にも幻だぜ?
そのまま俺は、千切られた腕をすぐに幻に変換すると、本物を本物に引っかかったケルンの身体が隙だらけになった状態に奈落を打ち込む。そして、その腕を引き連れたままゲートの中に落ちるとそのまま俺は、爆裂魔法で死ぬ気でゴリ押すとケルンはゲートの中に落ちていく。
「っっくっそ!!覚えてろよ!まあいいや、起きろ!初代魔神の最高四天王ゲール二ア!!」
そう言うと、一気に俺の今までの積み重ねた物が全て吸い込まれていく。名前も知らない魔神のしかも、四天王だと?魔王形式みたいでやってんじゃねえぞ。畜生、このままだと、力を持って行かれて、完全顕現させることになっちまう。今起動のスイッチが押されたような状態で、クソ、とにかくこの星を保護しろ!!!
「七虹輝く盾!!」
全力で爆発に備えながら近くにいたホロを今、エヒナたちがいる安全な地域まで何をやってるのかしらねえけど、とにかく逃げやがれ、後はこっちに任せろ!!
七虹輝く盾を使って、まず結界の保護と周囲に溢れないように、いや、これじゃ間に合わねえ。他の修繕が上手くいってねえ。どうする、このままだと結界が決壊して、すぐにでも汚染された魔力が外に出て見ろ、精霊、妖精、竜は淀んだ魔力を喰らうと、暴れる原因や、邪に落ちる。しかもここは『楽園』という概念を元に創られた星。まず反転したことを考えても。
『ちょっと!!兄ちゃん?!急に転移させないでよ!』
『どうしたの兄ちゃん。なんか変な魔力がこっちまで来てるけど」
二人からの通信がしっかりと聞けてるってことはまだ大丈夫だが、カバリオが土を介して、こっちに気づいてるみたいだが、しょうがねえ。残ってる魔力はあと二割程度、さっきの戦闘で、五割持って行かれやがった..。汚染が俺にも来てやがる。
『いいか、もしも俺に何かあったら、お前らがエヒナと朱雀、この星の皆を守れ、俺は今から『覚醒』するから、その空間ごと浮遊城として、元の世界にお前らを送る。いいか、返答は受けつけねえ。それといざとなったら『覚醒』しろいいな!!』
『え?!それって!』
『え?兄ちゃ、ちょ急に!』
『任せた!!』
次元魔法で無理矢理つないでいたパスを全部吹っ飛ばしていって、あの三人につけていた魔法剣もすぐに追加の魔力を入れておいて、更に剣にしっかりなるように魔剣に変えておく。まあ、渡すのが早くなっただけだ。これ以上は、兄貴と、お前らでなんとか出来るだろ?
「...ああ、マジか、これは」
現われたのは、本来であれば、他の神獣だったら、例えば、土王竜だったら茶色な漢字でこの水晶玉みたいな核の色で、あの姉貴、水王竜だったりで、俺の場合は、そうか、だから黒いのか。だから、白と黒で別れたんだな。
「森羅万象<封>神体封印解除!!」
「からの、『覚醒』!!」
森羅万象にて、封印を司る神獣の一体の力を引き出し、それを引き金にもう一体の自分を取り込んで行く。そして失われた記憶を取り戻し、それを踏まえた上での動きをする。
覚醒すると、すぐに動けずに、今まで内に秘めていた『神獣』本来というより最後の形態になる。俺の場合は、ああ...やっぱりか。今まで予兆というか、注意されてたことがようやく腑に落ちた。
俺は、既に死んでいた。...急なことだなと思うけど、覚醒の影響で俺の身体は崩壊と、再生を繰り返し、本来の能力を使用して、なんとか自分の身体を構成していたようだ。幻想竜の能力、どうして世界樹竜だと言われていた俺が幻想竜の力が扱えたのか。
「幻想竜だったのか、俺自体が、魔法で歪ませて、世界樹竜になったんだな」
まあ、要するに、今まで俺は、幻想竜だったのに、今記憶が混濁してるけど、なぜか世界樹竜になる必要があった訳だ。それであの時兄貴が俺が黒くなってることに気づいた訳だ。うん、そういうことね。
幻想竜→世界樹竜になる必要があった。ということは原型が幻想竜で、これは仮初ってことか。
「まあ、まだ現世にいられる内にとっととこいつを倒すか」
「魔剣・聖剣抜刀」
あっちの世界から、俺が生み出した剣を円環にして背中に移動させる。凄い魔力の供給に驚きつつも、徐々にあの日覚悟したことを思い出す。そして、どうして二人が消えて、太陽、月、黄昏が必要だったのかも。
「召喚魔法・神獣召喚『不死王鳥』
不死王鳥を召喚すると、俺の背には太陽の紋章が輝く。不死王鳥の権能で、すぐに再生が止まると、形が安定し、その他の装備も着々と現れる。
右肩には大きな古い鏡のような物が現れると、一気に天気が変わり、雲一つない空に変わる。そして、左肩には金色の鐘、おそらく星刻の塔のところにあった物と同じ、黄金の鐘が現れる。
そして、背中の腕が普通に生えて来ると手には幻想幻武で作った剣と、神盾である黒盾まであった。
っと、考え込んじまったが、今目の前にいるのは、紛れもなく、魔神の一体。名前は知らんが、強いんだろうな。
姿は、髪は白く、真っ黒な目でこっちを見ると、すぐにどこからか、禍々しい髑髏の杖を取り出すと、俺に攻撃を仕掛けてくる。それを天鏡で反射しつつ、魔剣と聖剣の円環で切り裂く。
『あの、お兄様あれ、魔神よね』
「おん、力貸して」
『分かった。その変わり約束は守ってよ』
「分かってるよ」
妹の力を借りつつ、魔神の使う理外の力を妹の力を使いつつ、焼き尽くして行く。太陽の力を展開しながら幻想幻武の武器を投擲しまくり、影魔法でそこから次元魔法と深淵魔法で拘束し、完全にヒットさせる。
『魔神かー。予想通りだね』
記憶の整理が段々ついて来て思い出したが、ここまでは全部狙い通りだ。後は、まあ、交代であいつがなんとかするだろ。
そんなこったで、魔神が生まれたての癖に反転を使いやがって、俺はただの幻想竜に戻されそうになるが、背中にある36本の槍を全部展開して、全てを翼に変えると、それを無効化する。
「幻想変形:理王喰エルッサ」
神獣の一体の力をちゃんと扱うために使ってるぜ。喰った権能を使って、それをすぐに武器に込めて、身体をすぐに変形させて、それを砲台にして、太陽属性と、神聖属性を交えて魔神を狙う。
「神聖太陽魔法・陽聖圧縮砲撃砲!!」
「こ、こ、こんなの」
魔神が障壁を展開すると、幻想現武で、実体をそこに置いて転移魔法で移動すると、本命を囮にして上から剣で殴る。
「な、なんて戦い方をするんだ。この竜は」
「あ?!なんだ魔神がなんか言ってるぞ!」
「理外の技に対応して来るなんて」
ついに魔神が本気を出し始めることがわかるぐらいに、世界を反転させ始めると、逆にこっちも反転を使い基に戻す。生まれたてにしちゃあ出来てる方だな。
っと、そんなに構ってられる時間がないようだ。覚醒したことにより、兄貴たちに秘密にしてたことが色々ばれ始めて、後で怖いことになるんだろうけど、俺は今ここにいる俺が最後だから。
「来い!欲望の魔人ども!!」
呼び出したのはあの時の暴食のスライムと、その他のキメラや、おそらく触手だらけのあいつは色欲とかだろう。憤怒はまだ出てないみたいだが、問題ない。
「真雷魔法・紫電炎化」
身体を雷と、炎で一瞬で距離を詰めると、全員剣で一層し、円環で切り刻み、その間に受けるダメージは弟の能力の大地の鱗で防御して、そのダメージを反射させる。そして動きが止まったところで。
「空の太刀・奥義・月華水月!!」
「理外魔法・淵海」
縦方向に宇宙のように広い深淵を広げると、俺はすぐに転移で避けると、背後から欲望の魔人を縛りつけながら影魔法で串刺しにすると、血魔法で固定し、更に上から火魔法と闇魔法で死ぬまで燃える炎で焼くと魔神を地面に叩きつける。
「やめろ!お、俺を殺したらどうなるか!!」
「..あ?知らんわんなのこっちはまだやらなきゃいけないことがあるんだわ」
『ん?聞いてない。ただでさえ消えるの聞いてないのに』
「次元魔法・魔法袋」
あの日、星刻の塔でもらった時、俺は気遣われていたことも思い出した。この神剣を超えた二振りの剣を完成させるには、他の神獣たちが必要だし、これを完成させるには、太陽と月の核が必要で、もう一つは黄昏だったが、それは、セシルが命を張ってくれたお陰だった。
あの日、最後に見たセシルは俺が作り出した幻影で、分かっていたのに見えないフリをした。逃げてはいけない事実から目を逸らして、俺はそれでも前に進まなくちゃいけない。
「星刀:天照・星照」
その二刀を取り出すと、それを魔神にぶっ刺して、俺がこれを完成させる。魔神の『反転』の力と、俺のこの最後の託された36本の力をこれに注げば、終わる。
『え?兄さん、何を』
「創造魔法・神刀・村正」
『え?!もしかして』
そのまさかだよ!っと叫びながら、俺は自身の背中の残りの槍を全部取り出して、刀を地面に刺して、それを周りに置き、結界を構築する。最後の儀式だからな。
「乖離・別離『太陽の紋章』」
『兄さんの?!聞いてない!こんなの計画に!!』
「ああ、言ってないからな、だから、後は分かるだろう?もう時期お前の旦那も起きるから、説教されてる暇もねえんだ」
刀を鞘から引き抜いて、残った、12の神獣たちの力をそれぞれ、入れて、鞘にも他の24の神獣たちの能力を入れる。制御基盤は全部セシルがやってくれた。これで後は中に全部入れて、魔神てめえも俺たちの計画の一端なんだせいぜい頑張れよ。
刀と鞘に対して、それぞれ現状空いているところにそれぞれ、残っている力を込める。失敗は許されない。魔神から直輸入の『反転』の力と『魔神』という存在値、その他の神獣たちの権能を入れれる器があればあとは俺の問題だ。
問題は、ここまでが計画通りだが、俺が死んだということで誰から無意識な妨害を受けること。そして、仮にあの魔法剣が上手く起動しなければ、次はないということ。
俺に、緊張が走る。汗が出て止まないが、それでも今回はそれに対して集中する。次元魔法で意図的に周りの音をかき消して、結界魔法で外部の音を完全に遮断し、音魔法で音を消す。
自分のこの幻想魔法で創った、身体には、俺の成果が全て入っている。バックアップはあるが、生憎取りに行く前に尽き果てる。
術式を刻め、なんのためにこの日を待っていた。並行して、この世界の竜たち、犠牲になった者たちを蘇生し、身体には過ぎる力を行使することで、再生は止まる。核に傷が入ったタイミングで無理だったが、無理やり機能を使ったせいだ。
身体の術式と核を融合して、核を完全に術式に変換すると、残りが幻想現武で補う。そして、時間を巻き戻すことで完成させることが出来た。これで星に魔神は生まれないし、エヒナや、朱雀、ホロ、カバリオ、竜たち、精霊、ドワーフたちも大丈夫だろう。
「我、世界を循環せし者、この世喰らいし竜となり、新たに創造せし者、新たな星、元の星と成りて、全神獣の力を持ってここに星々を紡ぐ!!」
身体が崩壊して行く、魔剣も、聖剣も元の使用者に帰りながら、俺は今もあの国で待つティアの顔を見る。唯一誤算だったのは、...いや、きっとあいつなら分かってくれる。少しだけだったけど、楽しかった。兄貴も姉貴も、弟、妹も蘇った。後は準備が整ったから戻って来いよ救世主。
身体が透き通り、身体が崩壊を辿る。黒くなっていた身体は段々と木のような皮になり、俺の意識は元の場所に戻って行く。だけど、まだやることがある、あの時の二の舞にはさせない。
『神棺・レスト』
今残った残りのカスみたいな力しかない神獣たちの力をここに残す。後は、エヒナや朱雀、ホロ、カバリオたちが分かるはずだ。俺が残せれるのはここまで。ルリアもヨルも、あの二人もすまない、君たちを利用してしまった。
結界が崩壊してついに姿が現れると、眼前には、時神がいた。以前と違って、白い外套にフードを被って、白銀の鎌を持って俺の前に立っていた。
「本当はこんなことのためにお前を行かせた訳じゃない。だが、あれを誘き出して、三聖女の覚醒を促すにはそれしかなかった。我らではあれには勝てない」
『..は、最後になっ...やく..認め....か』
「ああ、ここからだ。ここからが勝負だ」
『頼んだぜ、親友』
そう言うと、空の身体は空中で段々と身体が豹変し、まるで硬い幹のようになるとそのまま地面に落下して行く。以前のように黒くなく、まるで木造のような形になり、地面にはまるで重い物が落ちて来たようにそこにはポツリと穴が空いていた。
『....あ....ナ』
最後の声は届いたのか、それは誰にも分からなかった。




