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邪神と女神の子として生まれた俺、当たり前だけど最強です!  作者: 龍牙零夜
第一章:誕生、最強夫婦の子
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第三話:神の子、使用人雇います。


「暖かな春の訪れと共に、私たちはメリア学院に入学を迎えることができました……」


 白を基調とし黒と水色のアクセントが施された学院の制服を着て何故こんな大勢の前で式辞をしているかというと……。


「新入生代表、レイヤ・ブラッド」


 そう、俺は学院の試験を主席合格してしまい、代表挨拶をしなければならかったからだ。


 ため息を吐きながら壇上を降り自分の席に戻る。すると今度は学校代表挨拶だったが興味が無く、寝てしまった。目が覚め時間を確認すると、


(良かった。5分ぐらいしか経ってない)


 ちょうどよく代表挨拶も終わるとこで壇上を見てみると、やはりというか何というか生徒会長ユリス先輩がいた。


 俺の視線に気づいたのか、目が合った。俺の顔を見ると何故かユリス先輩は少し怒っているようでもあり、嬉しそうな表情を浮かべていた。寝てたことがばれたか?


 入学式が終わると各クラスに移動した。クラスはいくつかあり、上からS・A・B・C・D・Eの五クラスになっている。クラスによって制服の色が違いSクラスは白、Bクラスは(あか)、Cクラスは青、Dクラスは緑、Eクラスは紫となっている。男女の服装も違い、男子は膝元辺りまであるコート、ズボンに対して、女子はジャケットにスカートだった。コートやジャケットの下はクラス、学年関係なく黒に統一されているらしい。男女関係なくネクタイをするのが学院の規則らしく学年ごとに色が違い、1年は濃い青だったが、2年は紅、3年は深い緑らしい。


 俺は一番上のSクラスに入ることになった。中入ると席は特に決まっておらず自由席だった。そのため俺は窓際の日が当たる一番後ろの席に座った。


 クラスには俺を含め15人。14人がクラスメートであり、他のクラスに対して少人数だった。教師は恐らく20代後半。若くて顔は良いが性格に難ありそうな顔つきだった。


「先ずは、入学おめでとう。このクラスの担任、ヒュース・フォウ・アレイドだ。お前達は他より優秀な生徒であるが、まだ子供だ。慢心せずに色々なことに挑戦し学べ。学ばない奴は私のクラスに要らない為下のクラスに落とす。それが嫌なら勉学に励むなりしろ。私からは以上だ」


 いい先生だな。学ぶことの大切さを分かっている。人は考えることを止め、学ぶことをしなくなったら終わりだ。


「じゃあ次は一人ずつ自己紹介してくれ。名前・得意な魔法・クラスに一言。廊下側のお前から」


「はい。サリア・メイビスです。得意な魔法は炎魔法でアウリスも炎系統です。これからよろしくお願いします」


 あいつ同じクラスになんだ。へー、脳筋ぽいのに頭いいんだな。だが、自分のアウリスの情報を言うのは感心しないな。


「カリア・ジル・アイキュリーだ。得意な魔法は風魔法だ。平民などと馴れ合うつもりなどない。せいぜい平民は俺の御機嫌取りでもしていろ」


 あいつも同じクラスか。相変わらず器が小さい奴だな。そう思っていると目が合った。


(うわー、今にも飛びかかる形相で睨むなよ。試験の日のことは自業自得なのに)


「シド・ジル・メリアだ。得意な魔法は雷魔法だ。王太子だが、この学院では身分は関係ない。気安く接してくれるとありがたい」


 青髪、黄金の瞳の好青年は顔は良く、貴族の中で最も高い位の王族だがまともだ。なるほど。貴族全体がヤバい奴なんじゃなくて、普通の貴族もいるってことだな。王族がまともならカリアみたいな奴らが少数であるんだろう。


「リビア・ジル・ロキシーです。得意な魔法は光魔法です。シド殿下と同じく王族ですが、普通の態度で接してくださるとありがたいです」


 金糸のようなサラサラな髪を後ろに流し、碧眼の瞳は宝石のように輝いていた。流石王族というべきか人形のような美しい体型。それだけではなく、一つ一つの所作も美しく周囲の目を引き、声はまるで鈴を転がしたようなよく響く綺麗な声だった。


 次々と自己紹介をしていく中で一人、気になる人物がいた。


 名前はノア・ランゼット。得意な魔法は水魔法。透き通るような髪は湖のような水色で、長い髪は肩と腰の中間位まであった。光が当ると髪は輝きを放ちとても綺麗だった。少し幼さを残す顔つきだが、15歳とは思えない身体付きで俺と同じ、左右の瞳の色が違った。右眼はヴァイオレット色で左眼は碧眼だった。どこか妖艶さを感じる彼女はサリアやリビア、ユリス先輩とは違うタイプの美女だった。一人称が()なのは気になるが。


 色々気になることは多いが、俺が一番気になったのは魔力量だった。人では有り得ないくらいの魔力量であり、その量は神に匹敵する。普通の人なら魔力量が多すぎて死に至るのに、彼女の身体は何故かとても健康的だった。


 そんな事を考えていたらいつの間にか俺の番になっていた。


「えー、レイヤ・ブラッドです。得意な魔法は炎魔法です。気軽に声をかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」


 特に炎魔法が得意なわけではないが、試験の時に炎魔法を使ったから炎魔法にした。一番得意なのは、強いて言えば闇魔法だろうか?


「今日はこれにて以上だ。明日から授業が始まるか準備をしておけ」


 ホームルーム終わるとすぐさまにノアは帰ってしまい、聞きたいことが聞けなかった。まぁ、後で聞いてみるか。やることないし、寮に帰って寝るか。学院には寮があり、クラスごとに違いSクラスの生徒は一戸建ての家が一人に付き一つ貸し出される。そして俺は主席合格者。なんと主席合格者には館が貸し出される。


 Sクラスの生徒は家を使うため使用人を3人まで連れてきていいらしいが、主席合格者の俺の場合100人まではいいらしい……が、俺に使用人は一人もいない。今までは毎年王族が主席合格者だった為使用人がいないということありえなかった。貴族でもない俺には使用人は当然一人もおらず、合格発表後の入学式までの3日間、この広い館で炊事・洗濯・掃除を一人でこなさなければならなかった。幸い金はある為学院経由で、使用人を幾人か雇うことにした。


 館に着き鍵を使いドアを開けるようとするが、既に開いていた。学院経由で雇った使用人がもういるのか?ドアを開け玄関を見ても誰もいない。館はとても静か……いや、音がする。俺は耳がいいため分かったが……これは、二階か?


 音が聞こえる場所に来て、ドアを開けた。するとそこには、ホームルームが終わったらすぐさま帰ったノア・ランゼットがいた。しかも何故か着替えていて、着ようとしているのはメイド服だった。


 その瞬間、俺の思考は止まったがすぐさまドアを閉めることだけはしていた。


 見てしまった……。ノアの真っ白な素肌に、大事な場所を隠すための下着。水色の下着は、ノアにとてもよく似合っていた。


 いやいや、ちょとまて!何で叫び声一つも上げないんだ?いや、そもそも何であいつがいるんだ!?ま、まさか、あいつが学院経由で雇った使用人か?でも同い年だし、しかも学生だぞ。ありえないと思うが、さっきメイド服っぽいの見えたしな……。


 扉の前で考えていたら、着替え終わったのかメイド服を着たノア・ランゼットが出てきた。見間違いじゃなかった。ノア・ランゼット本人だった。


 取り敢えず一番気になることを聞こう。


「なぜ俺の家にいるんだ?」


 ノアは屈託のない笑顔で


「そりゃあ僕が君の専属使用人だからさ」


「は?え?」


 今、聞き間違えじゃなければ凄いことを聞いたような……


「すまん、もう一度言ってくれ。君が俺のなんだって?」


「だから、専・属・使・用・人だって言ったんだよ。ご・主・人・様」


 頭が痛い。同じクラスの女子が専属使用人だって?笑えねー。しかも、もうご主人様呼びとは。


「何で学生のお前が使用人になるんだよ!おかしいだろ!!」


「まぁまぁ、ここじゃなんだし紅茶でも飲みながら話さない?ご主人様」


 あざといが、ノアのご主人様呼びはとても良くむずがゆいが癖になるものがあり、とても危険だ。


 リビングの椅子に座りノアが淹れた紅茶を飲み落ち着く。普通に美味いぞ、この紅茶。見た目によらず料理とか得意なのか?


 まぁ、それより


「あのさ、後ろに立ってないで座ったら?」


「いや、使用人はご主人様の斜め後ろに控えるのが基本だからね。僕はここで大丈夫だよ」

 

「いや、このまだと俺、誰もいない所に話しかけるやばいやつに見えちゃうから。な、頼むから座ってくれない?」


「もー、しょうがないご主人様だなー」


 ノアは椅子に座ってくれたが、やばいぞ。短いスカートのせいで中が見えちゃいそうで気が気じゃない。


「それで、何か聞きたかったんでしょ?」


「あ、あぁ。まず何で学生のお前が俺の使用人なんだ?」


「あれ、学院から何にも聞いてないの?」


 特に何にも言われなかったな。


「ああ。何も聞いてないな」


「なんかね、学院じゃ使用人を用意出来なかったんだって。で、学院は急遽(きゅうきょ)校内に貼り紙を貼ったんだ。使用人募集中って書いた貼り紙を廊下や教室に。それを見た僕はちょうどいいと思ったんだ。僕は元々、生活費を稼ぐために休日は町で働いてお金を稼ごうとしたんだ。だけど、使用人募集中の紙を見てこれなら毎日働けてお金もたくさん稼げるからいいかなって思ったから応募してみたんだよね。そしたら合格出来て無事使用人なることが出来たんだ」


 最後にピースサインをして事のあらましを楽しそうに話してくれた。


 しかしどういうことだ?学院が一人も使用人を用意出来なかったとは考えにくい。学院の権力なら使用人二十人くらいすぐ用意できるだろう。まぁ、考えられる事は妨害か。貴族でもない者が主席合格すれば、当然面白く思わない人間がいるのは当たり前だからな。


「まぁ、事のあらましはわかった。確認なんだが、本当にいいのか?俺の使用人なんか?館を一人で管理するなんて大変なんてもんじゃないと思うが……断るなら今のうちだぞ」


「大丈夫。僕こう見えて家事とかとくいなんだ。だから君さえ良ければ雇ってくれないかな。お願いします」


 最初のふざけた態度は一切なく真剣に言ってきた。まぁ、女と一つ屋根の下……思うところがないわけではないが幸い部屋はたくさん余っているし……


「わかった。お前を、ノア・ランゼットをレイヤ・ブラッドは正式に雇う。けど、いくつかルールを決めよう」


「ルール?」


 はてな顔で聞き返してきた。ノアの身体が揺れた為スカートも揺れ一瞬、水色のパンツが見えた気がしたが、気のせいだろ。うん。


「ああ。ルールがないと互いに困ることがあるしな。一つ目。学院では名前で呼ぶこと。ご主人様ではなくレイヤと呼んでくれ。いらぬ誤解をさせて面倒くさくなると嫌だからな」


「了解、ご主人様」


「二つ目。さっきお前は毎日働くと言ったが、月に最低でも5回は休んでもらう。体を壊したら元も子もないし、何よりも、せっかく貯めた金が使えなかったら意味ないしな」


 するとノアは頬を膨らませ不機嫌な態度をとる。ちょっと可愛いな。何か不満があっただろうか?


「どうした、休みが少なかったか?少ないなら増やすが」


「休みは充分過ぎるくらいあって嬉しいんだけど、ご主人様。お前ではなく、ノアと呼んで欲しいです。僕はお前ではなくノアです。決してお前とか言う名前じゃないんですよ」


 ああ、そういうことか。


「それはすまなかった、ノア」


 ノアというと満面の笑みで頷き、元の表情に戻った。


「それと、給料は月最低でも金貨一枚は払う。だが、ノアの仕事の内容次第ではどんどん給料は上がるから頑張れよ」


「えーと……それは、本当ですか?」


 急に汗をかきはじめ、言葉遣いもかしこまった感じになったノアが恐る恐る聞いてくる。


「ん、何がだ?」


「僕の聞き間違えではければ……その、い、今、月に金貨一枚は貰えるって……」


「そう言ったが、金貨一枚じゃ足りなかったか?」


 金は充分にあるし、今のところ一人で俺のご飯を作ったり、屋敷の清掃などもあるため最低でも金貨一枚ぐらい払わなければ割に合わないだろう。


「いや、そんなことはないんですけど……。僕の仕事ぶりを見ずに決めていいんですか。もしかしたら幻滅するかもしれないんですよ」


 なんだ、そんなことに不安がったってたのか。


「安心しろ。別に幻滅なんかしないし、そもそもノアはさせないだろう。この紅茶を飲めばわかる。この紅茶は一朝一夕でできるようになるものじゃない。試行錯誤した結果だろう。この紅茶を飲めるだけでも雇う価値は十分にある。だからこれからよろしくな、ノア」


 俺は笑って言った。ノアを安心させるように。


「あと、別にかしこまった話し方しなくてもいいぞ。自己紹介の時みたいにくだけた話し方のほうがなんか安心するからな」


「わかったよ。でも(ここ)ではご主人様って言わせてもらうよ。ところでなんだけどさ、さっきから僕のスカートの中ちらちら見すぎだよ。ご主人様」


「ぶっほ、えほえほ」


 俺は思わず飲んでいた紅茶を吹き出してしまった。ば、ばれてたか。


「す、すまん。見ないようにしてたんだが……その、目が行っちゃったんだ」


 わかってる。自分でも見苦しい言い訳をしていることは。何を言えばいいか考えている俺を見ていたノアが笑った。


「あはは。もう別にいいって、怒ってもないし。もともとエッチな命令とかされるかもと思ってたし」

 

 笑いすぎて涙目になったノアがとんでもないことを言ってきた。それを聞いた俺は、


「いや、今さっきのことでこんなこと言うのもなんだが、俺は絶対にそういう命令はしない」


 これだけはわかって欲しかった。だから真剣な顔つきで言ったのにまたも笑われてしまった。


「冗談で言ったのに本気にしちゃって、可愛いいなご主人様は」


 冗談だったのかよ!なんだ、内心では凄く焦ったのに損した。だが、ノアの顔は最初より安心した顔になった気がした。気のせいかもしれないが。


 その後は少し話をして夕食を取った。SクラスとAクラスの生活必需品は学園が全て負担してくれている。そのため高級品をふんだんに使いノアが料理してくれた。ノアの作ってくれた物はどれも美味しく、優しい味だった。


 ノアが後片付けをしている間に俺は風呂に入る。風呂はとても広く造られていて百人は入れそうなぐらいだった。風呂から出たらノアに風呂が空いたことを教える。使用人用の風呂もあったが、この屋敷には二人しかいないためお湯が勿体無いとノアが言うので交替制で風呂に入ることにした。


 風呂から出た後、特に何もする事が無いためリビングで本を読んでいると風呂上りなのか、髪が濡れたままのノアが入ってきた。髪が濡れたノアは何か、色っぽく見えた。ノアは髪が濡れたまま紅茶を入れようとするので、


「先に髪を乾かした方がいいんじゃないか?そのままだと風邪ひくぞ」


「ん-でも、乾かすとなると時間かかるし、その前に紅茶を入れちゃうよ」


「しょうがないなぁ。ちょっとこち来て座れ」


 俺は本を閉じてノアを座らせる。座らせたんだけど……なんか俺ひざの上に座るんだけど。え、何で?


「ノ、ノアさん。何で俺の上に座るんだい?」


「だってご主人様が座れって言ったから、てっきりひざの上かなーって。あれー、もしかして違った?」


 こ、こいつ。絶対にわざとだ。ノアの顔はニヤニヤしていて悪びれる様子が一切感じられない。いいだろう、その挑発に乗ってやる。さぁ、自分の浅はかな行動に後悔するんだな。


「ごめん、ごめん、冗談だってー。もー怖い顔してー。いま退くよ」


 退こうとするノアの肩を抑え立たせない。そのままひざ上に乗せたままにし、


「いや、別にこのままでも大丈夫だ。さ、ジッとしてろ」


 俺はノアの髪に、風魔法と炎魔法を織り交ぜた合成魔法を使い温風を放つ。


「何これ!?あったかくて超気持ちいいんだけど!!」


「なら良かった。ところで(くし)とか持ってるか?ついでに髪も()かしてやるよ」


「え。いやー、そこまでしなくてもだいじょぶだよ。そもそも今櫛もってないし、それに髪も乾いただろうし、そろそろ退くね」


「おいおい、そんなに早く乾くわけないだろ。まだここにいろよ」


 今度は俺がニヤニヤしながら言う。その反対にノアの顔は朱くなっていた。ここで畳み掛ける


「あれれ、ノアー。顔が朱いがもしかして、自分から乗ったのに恥ずかしいのー。恥ずかしいならしょうがない。退いてもいいよ」


 ノアはプルプル震えながら


「ま、まさかー。そんなわけないじゃん。どうぞ、続けてくれて構わないよ」


 だよな。こう来ると思ってたぜ。自分から仕掛けたからには引けないよな。そして仕上げだ。


「じゃあ、櫛がないから手でやるか」


「そ、その前に、ご主人様は女性の髪を梳かすことができるの?」


「ああ、できるぞ。昔、母さんの髪を毎日梳かしてたからな」


「そ、そうだ。未婚の女の子の髪を男の子が触らせるのはどうかと思うなー」


 苦し紛れの言い訳に思わず笑ってしまった。そしてニヤニヤとした笑みで、


「くくく。おいおい、何言ってんだよ。なら未婚の女の子が男と一つ屋根の下の方がやばいだろう。ということで、観念して俺に髪を梳かせろ」


「うー、わかったよ」


 俺はノアの髪に手を食い込ませ梳かしていく。指と髪が擦れる度にノアの髪から甘い匂いがして、今度は俺の顔が朱くなってしまった。幸い向きてきに見られることはないが、もし見られたらとても恥ずいな。


 髪も乾いた為、温風を止め梳かすのも止める。


「ほら、終わったぞ。気持ちかっただろう」


「うん、とっても。今までこんな事無かったらとても気持ち良く感じたよ」


「そこまで喜んでくれるなら毎日やってもいいぞ」


 絶対にやりたく無い。実際は心臓バクバクでかなりやばかった。まぁ、さっきまでノアも恥ずかしがってたからもうないと思うが。そんなことを考えていたら売り言葉に買い言葉で、


「じゃあお願い」


 え?


「い、今何て言った」


「だから毎日お願いって言ったんだよ、ご・主・人・様」


 や、やられたー!!くそ、ノアの顔見たらしてやったりっていう顔だ。はぁー、まぁいいか。


「わかったよ。その代わり終わったら毎回紅茶を入れてくれ」


「了解」


 その後はノアの紅茶を飲みながら談笑し布団に入って寝た。ちなみにノアの寝室は隣りになった。




      ーーノア視点ーー

 

 布団に入ると今日の出来事を思い出す。


 最初は凄く不安だった。今まで使用人経験がない為どうなるか不安で、不安で怖かった。しかも仕える相手が男と知った時、僕はより一層怖くなってしまった。


 だがその不安はご主人様と話しているうちにすぐ消えた。僕のご主人様は使用人にあるまじき態度を取る僕に何一つ不満や怒りもせず僕を見ていた。僕がからっかっても、今度は逆にからっかってってきて、何だかそれがとてつもなくうれしかった。それにレイヤ様は顔は……まぁ良いし、羽振りもいい。なんせ月に金貨一枚も払ってくれる。どこか大人っぽいのに抜けてるしところは可愛いなぁ。そして何より真っ直ぐ僕を見てくれて普通は恥ずかしくて言えないであろうことも、目を逸らさずに言ってくれる。


 今まで誰も褒めてくれたことのない紅茶を美味しいって言ってくれた。お父さんとお母さんの為に色々頑張って淹れていた紅茶をお父さん達が褒めてくれたことは一度も無かった。どんなことをしても叱っても、褒めてくもくれないお父さんたちとは違い、褒めてくれた。僕はそれがとても嬉しくて、やっと努力が報われたと思ったら泣きそうになってしまった。


 もう一つ嬉しかったことがあり、僕のことを一人の人として見てくれたことだ。僕は自分でも美人だということを自覚している。そして体型も男にとって目を引くものだということも。そのため町では常に不快な視線を感じ、何かしたわけではないのに女子からはいつも冷たい目で見られた。


 けど、ご主人様は違った。少しエッチだが僕を、僕自身を見てくれて、外見だけを見てくる上辺だけの男達とは違った。


 もしかしたら……レイヤ様になら話しても大丈夫かな。僕が……。いや、やめとこう。あって間もないのにこれを話すにはリスクが高過ぎる。


 まぁ、今日はもう寝て明日また考えよう。それにしても、ご主人様、髪を梳くの上手だったなぁ~。気持ち良すぎて変な声が出ちゃうところだった。明日の楽しみが一つできちゃった。あー早くご主人様に会って色々な話がしたいなー。






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