表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神と女神の子として生まれた俺、当たり前だけど最強です!  作者: 龍牙零夜
第一章:誕生、最強夫婦の子
2/3

第二話:神の子、人の学院に行く

 いつものように、日課の素振り一万回、ランニング100キロ、魔力操作をしていると父さんに呼び出された。


 そこには母さんもいて食卓の椅子に父さんと並んで座っていた。いつもヘラヘラしている父さんが真剣な表情で


「レイヤ、お前も今年で15になる。人は15で成人し学院という所に行くらしい」 

 

 それを聞いた俺は途轍もなく嫌な予感がした。というのも父さんが真剣な表情をする時は決まってろくな事がない。


 そして俺の予感は見事に的中した。


「お前を、人の学院に通わせることにした。異論は認めん!」


「え、普通に行きたくないんだけど。学院って聞いたことはあるけどそもそも何するとこなん?」


 そんな明らかにめんどくさそうなとこ絶対に行きたくない。このまま日課を過ごしてダラダラ生きていたい。

 すると母さんが


「学院は、勉強をしたり、自分のアウリスを使いこなせるようにしたり、友人を作って一緒に生活するところなの」


「今更学ぶこともないし、充分スクルドは使いこなせてるから行く必要も無い。第一神が人の暮らしている所に行っていいのかよ。だめだからこんな山奥に家は住んでるでしょ!」

 

 これは単なる言い訳では決して無い。あくまで事実を言ったまで。


 すると、父さんが驚愕の一言を言った。

「確かにお前は俺とメリアの子で人の血が入っていないため一応神だ。でも神というのは人の信仰があって初めて正式に神になる。そしてお前を信仰している人は一人もいない。よってお前神であり、神ではない。イコール、お前は人が通う学院に行ける。それにお前、スクルドは使いこなせてるけど、もう一つのアウリスはまだ使えこなせてないだろう?」

 

 確かにもう一つのアウリスは使いこなせてないけど、それより噓だろ!?神って信仰されないと正式な神になれないのかよ!これで退路は無くなった。


「それに、お前は人付き合いとか学んでこい。このままじゃろくな神にならないからな」


 そう言う父さんと母さんは、


「向こうでもきちんとバランスの良い食事と規則正しい食事をするのよ」


 もう行く前提かよ。これはなにを言っても無駄だと悟り


「分かった。行ってくる、行って来ればいいんでしょ!」


「あと学院に入るには試験や実技があるからそれに落ちると入れないから頑張れよ。」

 

 超めんどくさいじゃん試験とか実技。ん、でも待てよ。試験に落ちたら学院に通う必要なくなるじゃん。


「因みにどうせお前のことだ。わざと試験に落ちようとか考えるだろうから、一つ制約をつける。試験に落ちた場合、十年間不眠不休で人の為に働いて貰う」


 制約とは結んだものを縛る神のみが使える能力。一度結んだ制約はその条件を満たすか、結んだ神が制約を解除しない限り解けることは無い。


 ん、でも待てよ。これを逆に利用しよう。


「嫌だ。その制約には俺にとってのメリットが一つも無い。だからもし、俺が学院に無事通うことが出来たら、卒業後の十年間ぐうたら過ごすことを許可するという制約を追加するなら結ぶ」


「十年はダメだ。三年だ」


「なら九年」


「ダメだ。三年」


 八、七、六年と繰り返し最終的に、


「五年だ。これ以上は認めん」


 よし、狙い道理に上手くいった。


「分かった、レイヤ・ブラッドはカリム・ブラッドの制約を受け入れる」


 よし、これで五年間という宝を手に入れることができた。


 喜んでいる俺に父さんが


「あぁそれと、試験は明日の九時から。場所はここから500キロ離れた王都メリアのリセル学院だからな」 


 明日の九時からで、500キロ離れた場所…。


「明日!?」


「ああ、明日だ。あ、これ受験票だから無くすなよ。」


「俺何にも準備してないけど?」


「ペンと受験票さえあれば大丈夫だろ」


 そう言う父さんに疑いの目を向けてると母さんは


「流石にそれだけじゃ厳しいわよ。多分街に入る時お金取られるから、取り敢えずこれだけあれば足りるでしょ」


 そう言うと母さんは袋いっぱいに詰まった白金貨を渡してくる。中を見るとざっと五百枚位入ってた。


「どうしたんこれ?!家にはこんな大金あったなんて知らなかったんだけど!」


「一応神だから信者達のお金が毎年入るんだけど、使う機会がなかったから今までのぶんの一部なの」


 これが一部かぁー。神って転職じゃん!俺も信者ゲットして金貰ってぐうたら生活しよう。楽して生きる。これすなわち最高。


「無駄使いせずにきちんと使えよ。そのお金は神への信用の証でもあるんだから」


「はいはい、分かってるって」


 ■〇▲×



「じゃあ、行ってくる」


 よく晴れた日。俺は家の玄関前に立つ両親に別れを言った。


「ああ、気をつけてな。くれぐれも神の子だってばれないようにな」


「バランスの良い食事と規則正しい生活を心がけるようにね」


「はいはい、どっちも分かってるって」


 そうして俺は山の中を駆け抜け、王都メリアを目指した。いつも百キロジョギングで一分ぐらいだからで走ってるから、まぁ五分位でつくだろう。

 そう思いながら森を抜け、人によって整備された道まで出てくると、少しスピードを落とした。あのまま走っていると、目立ってしょうがないからな。そこら辺は自重しないとすぐぼろがでて大変な目に合うからな。


 王都メリアからあと5キロというところで更にスピードを落とした。王都の門が見えた辺りで歩いて行くことにして。


 門につくと十人ぐらいの人と荷馬車が三台並んで門番による入国理由を聞かれていた。俺は一番後ろの列に並んで順番を待った。一人、また一人門をくぐり抜けて行き俺の番になった。


「次の者。王都には何の目的できた」


「王都の学院の試験を受けに来ました。これが証明の受験票です」


「通行料金、銀貨五枚払え」


 声のトーンで分かったが、これは正規の料金じゃないな。しかもこいつ慣れていやがる。今回が初じゃないってことはかなり貯めこんでるな。


「おい、どうした。早く金を出せ!」


 さて、武力行使が一番手っ取り早く解決できるがここで問題をおこして試験受けられなかった元も子もないしな。


 よし、


「すいませんが今持ち合わせがこれしかなくて……」


 俺は闇魔法の派生系:影魔法を使い自分の影から金貨が詰まった袋取り出し一枚の白金貨を渡した。


 それを見た門番は驚愕の色をし、震えだした。


「ま、まさか貴族様だったとはつい知らず…。も、申し訳ございません」


「ああ、大丈夫です。これは俺からのほんのきもちなんで」


 それもそのはず、金貨一枚あれば一年は遊んで暮らせる額だ。金貨10枚で白金貨一枚と同等。それを袋いっぱいに詰め込んだ白金貨を見れば貴族と間違うのもむりはない。


「もう行っていいですか?あまり時間がないんで」


「も、申し訳ございません。手間を取らせてしまい」


 俺は中に入るとき門番にだけ聞こえるように、


「お前今日のこと覚えていろよ」


 これを聞いた門番は青ざめた顔して膝を笑わしていた。


 これに懲りて、暫くは悪さしないだろ。


 王都に入るとそこは俺にとって別世界に思える程圧巻の世界だった。活気ある町で人がとにかく多い。右を見ても、左を見ても人だらけ。人を年に数回ぐらいしか見たことない俺にとってこの景色はとても新鮮だった。


 風に運ばれて香ばしい匂いが鼻いっぱいに充満した。匂いの正体は道端にある串焼きの屋台だった。ちょうど少し走って小腹も減ったしいくつか買ってくか。


「これを十本ください」


「へい、まいど」


 俺は肉を口の中に入れる。肉は絶妙な焼き加減で嚙めば嚙むほど肉汁が出てきて口の中に肉汁が溢れてくる。塩気もちょうどよく俺はすぐに十本たべてしまった。


「あのー、すいませんお客さん代金の支払いがまだなんですがー」


「ああ、すみません。これであと五十本追加してください」


 俺は金貨を一枚渡し更に五十本追加した。


「こ、こんなに受け取れません」


「とっといてください。今持ち合わせがこれしかないんで」


 俺は串焼きをもらい学院を目指した。


 それにしても色々な店があるなぁ。服屋・飯屋・武器屋、後で見に来てみるか。そう思いながら歩いていると学院に着いた。

 

 学院に入ると俺と同じ受験者が沢山いた。身なりのいい恐らく貴族な者。街中で見かけた普通の服っぽいの着てるのは恐らく平民だろ。


 学院内には受付場があり、そこでは受験票の確認をしていた。列に並び俺の番になると俺の前に割り込んできた集団がいた。その集団は服装から見てどうやら貴族の集団らしい。


「おい貴様!早くカリア様の受験票を確認しお席に案内しろ!」


 一人の身なりのいい服装をした男が俺の前に割り込み受付人に怒鳴り散らしている。


 いやいやこいつ何言ってんだ?割り込んで来たと思ったら並ばず俺より先に受験票かくにんしようとするとかこいつらやべー。カリアとかいう金髪の男は全てを見下したような顔をし、どうやら集団のトップらしい。一人だけ受けることは無いだろうから他の奴らも絶対やるよなー。人数は合計十人か。貴族と関わるとろくな事にならないからなここは我慢して見過ごそう。


「ちょっと待ちなさいよそこの貴族達!貴族だからって割り込んでいいわけ?ねぇ、あんたもそう思うでしょ」


 いや、俺に話しかけんなよ。関わりたくなかったのに。何で一番前の俺が我慢してんのに列に並んでいない関係のない奴が言うんだよ!気になってどんな奴かと思い見てみるとそこには紅い髪を一つに結び、目はつり目でルビーのような瞳。すらっとした体型だが出るところはでいて、顔つきはどこか気高さを感じる端正な顔の女性だった。母さんの顔つきに似てて思わずじっと見つめていたら、


「ちょっと、あんまり人の顔じろじろ見ないでくれる」


 少し頬を朱く染めながらそう言ってきた。確かに今のは少し失礼だったかもしれないな。俺も見ず知らずの奴にじろじろ見てきたらいい気しないからな。まぁここは謝っておくか。


「あぁすまない。少し母さんの顔に似ていたから思わず見入っていた」


「おい、貴様ら。この私を呼び止めるだけでわな無く、あまつさえ私を無視するか。この私をカリア・ジル・アイキュリーと知っての狼藉(ろうぜき)か?」


 え、貴様ら(・・・)?俺何にもしてないのに。この女だけならともかく俺まで含めないでほしいね!


「あのー、俺は何もしてないですが」


「そんな事はどうでもいい。そこの女と関わり私の時間を奪ったことが罪だ。よって死ね」


 マジかよ、こいつ器小さ。こんな事で人を殺そうとするとかヤバいな、貴族って。


「渦巻け風の渦(ウィンドウボルテクス)。さぁ贖罪の時間だ」


「流石カリア様。百年に一人の才能を持ち天使などでは無く、神と契約された方だ!」


 カリアはアウリスを掲げ振り下ろしてくる。カリアのアウリスは剣だった。刀身は風で形成されていて渦を巻き高速で竜巻のように回転していた。当たれば肉は削られ致命傷は確実だろう。普通は(・・・)


「な、馬鹿な!?貴様何をした!」


 驚くのも無理はないだろう。カリアの持っていた風の刀身が消えていたからだ。


「別に大したことじゃない。同じ速度に同じ威力。そしてそれを回転の向きが逆になるように魔法を放つ。そうすることで威力が辺りに散らばって形を保てなくなる。ただそれだけだ」


 そう、俺は魔法陣を一陣描き風魔法を放っただけ。


「有り得ない、有り得ない!!神と契約し血が三割も入ってるこの私の攻撃がかき消された!?たかが魔法で打ち消せる威力じゃないんだぞ!」


 たかが一度の攻撃を無力化しただけで動揺しすぎだろ。魔法は極めればアウリスの補助ができ、使い方によってはアウリスより強力な武器になる。こいつはそんなことも知らないのか?


「あのー、時間も無いんでもう行っていいですか?後ろも詰まっているで」


 まだ後ろには五十人位いるし、試験まであと一時間を切ってる。さっさとやんないと他の人が間に合わないかもしれないしな。

 

「ふざけるな!この私にこれ程の恥辱をさせ行っていいわけないだろう!」


先にちょっかいかけてきて勝手に恥かいたのは自分なのに逆ギレされた。


 うーん、こいつどうしようかなぁ。今も何か叫びながら切りかかって来てるけど、俺はステップを踏む様に右、左、カリアの動きに合わせ場所を入れ替えたりした。そもそも基礎が出来てないからお粗末な剣捌きだし、スピードも無い。正直永遠に避けれる。

 

 よし、超高速手刀で気絶させて逃げよう。


「何故私の攻撃が一度も当たらなっ…」


「カリア様!?」


 俺の超高速手刀をくらい膝から崩れたカリア。そこに駆け寄った貴族達を横目に見ている間、受験票を受付人に渡し確認してもらった。俺の番号は九十九番だった。その後すぐこの場所から離れようと歩こうとしたら腕をつかまれた。後ろを振り向くとさっきの紅い髪の女がいた。


「ちょっと待ちなさい。貴方何なの?本当に人間?」


 何者ならわかるけど何なのは酷くない!?しかも人間かさえも疑われた。まぁ人間ではないけど。


「一応人間だけど、それよりここから直ぐにでも移動したいんだけど」


「さっきの魔法は風魔法よね?魔法の中で最も威力の弱い魔法であの威力。貴方のアウリスは魔法を強化するものなの?」


「おい貴様!!何処に行こうとしている」


 やば、さっきの取り巻きがこっちに気ずいた。ここにもう用はないから移動したいんだけど……


「ねぇ、腕を離してくれないかな?ここにいるとちょと面倒になるから」


「でもアウリスを使った感じは無かった。本当にただの魔法だった?」


 こいつはまた違った感じの人の話を聞かない奴かよ。ここにいて困るのはお前も同じなのに。取り敢えず腕を離させるか。


 あれ、外れない。こいつ結構力あるな。外れない事はないけど無理に手を外そうとするとワンちゃん怪我をさせるし。はぁーしょうがない。


「それとも込めた魔力量が多かった?それにしてもさっきの威力はって、きゃ」


 俺は仕方ないので、右腕を彼女の首に回し、左腕を膝裏に入れて抱きかかえ走ることにした。


「ちょっと、何するの!人目に付くとこでこんな格好。何のつもり!」


「俺はいち早くこの場所を去りたかったのに、お前が腕を離さなかったら仕方なくこうして走ってるんだよ」


 廊下をすれ違う人は驚いていたり、笑っていたりした。まぁ当然だろう。人を抱えて走っていたら誰もが注視するのはしょうがないことだ。


「私が悪かったから降ろして!降ろしてください!!」


 俺はおそらく学園の庭らしき所に着くと走るのを止め抱えていた彼女を降ろした。すると降ろした瞬間、顔面に右ストレートが飛んでくる。が、特に受ける理由もないので避けると女は怒りだした。


「ちょっと何で()けるのよ。あんな辱しめをさせたんだから一発殴られなさい!!」 


 そう言いながら殴りかってくるが俺は全ての拳を避ける、避ける。彼女の狙いは正確で常に急所を目掛けて殴ってくる。水月(みぞおち)・顎・眼球など当たれば痛いでは済まないような拳がとんでくる。

 俺はそれらの攻撃を時には拳をいなすことで躱し、フラフラ予測しづらい動きでわざと急に拳の間合いに入る。そこに拳を誘導させ急にスピードを上げ間合いから外れる。するとどうなるか。拳は空振りバランスを崩した。おそらくチャンスと思って思いっ切り殴ろうとしたためバランスを崩し大きな隙をつくった。


 だが俺はあえて攻撃をせず大きく距離を取った。一つ気になっていることがあったからだ。


「そういえばお前、名前はなんていうんだ?ちなみに俺はレイヤ・ブラッドだ」


「はぁ、はぁ、サリア……メイビス。そんなことより何で避けるばかりで攻撃してこないの?バカにしてるの?」


「いやー、別にそういう訳ではないけど……」


 そもそも女に手を上げるのは気が引けるし、攻撃をするまでもないからなぁ。


「もーあったまきた!!そのすかした顔、絶対泣かす!」


 まさかこいつも使うのか。こんな場所で。


「燃え尽くせ!炎を司る神の剣(レーヴァテイン)


 俺の予想は当たりサリアもアウリスを顕現させた。そのアウリスはサリアの髪と同じく紅く燃えていた。そのアウリスは見たもの全ての心奪うような綺麗な剣だった。だが俺はサリアのアウリスを見て背筋に寒気が走った。まるで得体の知れない物を見ているような気がした。


「お前は……何と契約した」


 神妙な顔つきで聞くと予想だにしない答えがサリアから返ってきた。


「私は神でもなく、ましては天使とも契約していない。この神が創った意思を持つ剣。レーヴァテインと契約したのよ」


 神でもなく天使でもない剣と契約しただと!そんなことが可能なのか。天使は神が創った存在。なら同じように神が創った物なら契約できるのか?だが俺が感じたあの気味の悪さこれが正体だったのか?いや、あれはまるで……。


「私を前に考え事とは随分な余裕っね」


 俺は一度思考を止め回避に専念する。回避をしながら時計を見ると試験まで残り三十分しかなかった。


「おい、後三十分で試験始まるぞ。ここは一旦休戦しないか?お互いのためにな」


「あら、そうなの。なら早く貴方(あなた)を切り刻まないっと」


 上段からの切り込みを右にずれることで躱す。そうすることでサリアの背後に回る。するとすかさず切り払いが飛んできた。俺はそれをバックステップで避ける。


 このままじゃ試験に間に合わないと思い少し本気を出そうとすると


「お前たち何をしている!!試験までもう時間はないぞ!」


 おそらく学院の教師であろう人物に止められた。


 そして俺たちは試験会場に向かった。その間、サリアはずっと不服な顔をしていた。しかしあの教師は俺たちがドンパチやりあっていたのにどこ吹く風でとくにお咎めなしだったな。この学院でよくあることなのか?


 そんな事を考えていたら試験会場に着き自分の席に座る。サリアは最前列の端、入口付近だった。俺は一番後ろのサリアとは真逆の席だった。


 その後十分もしないで試験が始まった。試験は筆記と実技の二種類ある。


 筆記の問題は物凄く簡単だった。何故なら俺が六歳のころ母さんが俺に教えてくれた範囲だった。特に簡単だったのが魔術学。最後の問題[この魔法陣を簡略化せよ]なんて簡単すぎて笑うのを必死にこらえるので大変だった。


 実技試験は教師、もしくは学院代表者達との一対一の模擬戦だった。ちなみに学院代表者達は生徒会という全生徒のリーダー的存在らしい。


 さて、どれくらいの力をつかうか。人は五歳で契約しアウリスを使えるようになるらしい。なので、アウリス・魔法・体術何でもありらしい。力を抑えながら戦わないと相手を殺してしまうからな。よし、学院の代表者達だからアウリスだけ使おう。その状態で弱体化魔法をかけて戦ってみよう。弱体化魔法は身体強化魔法の魔法陣を反転すれば使える。弱体化魔法を使うとき魔力量に応じて効果が変わる。今回はアウリスを使うから身体能力は一万分の一ぐらいになる魔力量でいいか。


 そして次々と試験を受けていきいよいよ俺の番になった。


「次、九十九番」


「はい」


 舞台に上がると俺の対戦相手が待っていた。俺の相手は黒髪ロングの女性だった。優しそうな水色の瞳、すらっとした体型だがサリアと同じく出るところはしっかりと出ていた。女性にしては高身長の約170センチくらいだろうか?俺が180センチだから10センチしか変わんないな。


「あなた強いのね。もしかしたら私より強いかも?」


 この人結構強いな。俺の今の強さは良くて同じか少し弱いくらいに設定している。その状態の俺に自分より強いかも(・・・・)と疑問系だが思った。ということは俺の真の実力を少なからず感じているということだ。まぁ、契約しているのはおそらく神だろう。血は5割くらいか?


 対人戦は父さんとしかやったことがなからたのしみだな。とは言ってもさっきのカリアとサリアとの戦闘は含まない。何故なら俺が攻撃らしい攻撃をしてないかだ。


まぁ、そんなことはどうでもいいか。今から始まるこの人との模擬戦が楽しみで仕方ない。


視通(みとお)せ。未来を視る者(スクルド)


 俺はスクルドを手に取り足を開く。左足を前にし右足を下げ、その状態のまま腰下げ右腕を後ろに引く。

そうすることで地面とスクルドを水平に構え、いつでもどうぞと目で訴える。


「準備はいいかしら?私は魔法とただの鉄の剣しか使わないから安心して攻撃してね」


「は?え、ふざけてるんですか?何でアウリスを使わないんですか?」


 思わず構え解き聞いてしまった。せっかくの模擬戦が退屈になってしまう。


「一応学院の規則でね。私たちはアウリスを使わないで貴方達を倒さないといけないのよ。それに私これでも一応生徒会長なの。だからプライドとかもあるのよ。」


「このままじゃ貴方、負けますよ」


「そうね。じゃあ私に全力を出させるくらいの実力を見せてちょうだい。もし見せてくれたらアウリスを使ってあげる」


 あからさまな挑発に少なからずイラっとした。絶対本気にさせて吠えずらかかせてやろう。俺はもう一度構え直し、


「じゃあ、行きますよ」


 そう言った瞬間、地面を蹴った。一瞬で生徒会長との距離を詰めた。距離を詰めた俺はそのまま剣を振り下ろした。それを生徒会長はとっさに自分の剣で防いだが威力を殺し切れず吹き飛ばされた。だが生徒会長は空中で一回転をすると着地した。


 なるほど。手ごたえが軽いと思ったら、さっきのは俺が吹き飛ばしたんじゃなく自ら空中に跳び威力を空中に逃がしたか。だが、


「その剣はもう使えませんね。どうします、新しい物用意するまで待ちましょうか?」


 まるで俺の発言が終わるの待っていたかのように俺が言い終わると生徒会長の剣は綺麗に折れた。


「はー、貴方やっぱり強いのね。ただ力が強いだけじゃない。それに技術もある。すごいわ、その年でここまでの実力。才能だけじゃない、相当な鍛錬を積んだのね。でも私も負けたくないの」


 いよいよか。生徒会長からの魔力量、存在感が大きくなる。 


「だからね、私も使うわ。貴方誇っていいわよ、この私を本気にさせたんだから。切り裂け、万物を切り裂く理(ダークネス・リーパー)


 生徒会長のアウリスは黒い鎌だった。鎌を持った姿はまるで妖艶の魔女だった。その姿に思わず見惚れていると、


「戦う前に名前を聞いてもいいかしら?私を本気にさせた人は数少ないから知っておきたいの」


「人に名前を聞く時は先ずは自分からって知りません?」


「あら、そうね。私の名前はユリス・ジル・ラティア。この学院の生徒会長よ」


「俺の名前はレイヤ・ブラッド。貴方に敗北をもたらす者です」


 俺はさっきの意趣返しに挑発する。するとユリス生徒会長は微笑むと一瞬で俺との距離を詰め鎌を横なぎに振るう。スクルドの能力で視えていた俺は剣で防いだ。だがスクルドは切られそのまま鎌は俺に接近する。とっさにバックステップで避けた俺は切られたことにより消失したスクルド見つめる。何故切られる未来が見えなかったというと、今の俺はスクルドは使いこなせていないからだ。一万分の一まで弱体化した今の俺ではユリス生徒会長が鎌を横なぎにするとこまでしか視れなかった。


「私のアウリス、ダークネス・リーパーは万物を切り裂くことができるの。たとえそれがアウリスであっても例外じゃない。私に切れない物はないの」


 なるほどね。だから俺のスクルドを切ることが出来たのか。本来、アウリスを切ったり折ることはできないがそれが能力なら可能だ。俺はスクルド再度具現化し構え直す。それを見たユリス生徒会長は目を見開き驚愕していた。


「普通、切られたり折られたアウリスを再度具現化するには時間を開けないと出来ないのに……レイヤ君はとことん規格外ね」


 まぁ、俺の場合はよくスクルドを切ったり折られたりしたからなぁー。しかもアウリスの能力じゃなくておもに力と技術だったけど。


「まぁ、これは慣れですね。慣れてくれば誰でもできるようになりますよ。あと、今度は俺からいきますよ」


 本来鎌は攻撃するよりも守りやカウンターの方が強い。剣よりリーチが長い為、俺は常に一歩多く踏み込む必要がある。逆にユリス生徒会長は俺の攻撃が当たらな所からも攻撃ができる。そこを如何(いか)搔い潜り(かいくぐり)攻撃するかが腕のみせどころ。


 俺は地面を蹴り飛ばし、勢いよく突っ込む。それを見たユリス生徒会長はため息を吐き


「少しは期待しましたが、芸がありませんっね」


 ユリス生徒会長はまたも鎌を横なぎに振る。だが、それは空振りに終わる。何故なら俺は、鎌が当たる1センチ手前で止まったからだ。未来を視ていた俺は鎌を横なぎに振ることを知っていたため、タイミングを合わせて1センチ手前に止まり一瞬の隙を作ることに成功した。そして今度は剣を振り上げようとしたが失敗に終わった。何故なら、さっき空振った鎌が俺の左横から来たからである。またも失敗に終わり距離を取る。


「何で魔法を使わないの?レイヤ君程の規格外なら魔法も凄いんでしょ。このままじゃ負けることはなくても勝つこともできないわよ」


 魔法は使わないつもりだったが、致し方無い。倒すと言ってしまった手前、絶対に勝たなければならない。俺は手に魔法陣を一陣描きそれに魔力を込める。そしてユリス生徒会長に魔法を放つ。


 俺が放ったのは直径30センチ位の高速で回転する貫くのに適した青い炎の(ランス)だった。魔法にはそれぞれ階級があり、下級・中級・上級の三種類ある。俺が放ったのは、上級炎魔法蒼焔穿(そうえんせん)だ。本来の蒼焔穿は最低でも1メートルはある炎の槍だ。だがそれは無駄が多く効率が悪いため大きくなった物。効率を良くすると30センチ位でも従来の蒼炎の魔力量で軽く5倍の威力にあり、スピードは8倍になる。


 一瞬でユリス生徒会長との距離を詰めた蒼焔穿をダークネス・リーパーが切った。だがそれは悪手だ。切られた蒼焔穿が爆発する。俺が放った蒼焔穿はオリジナルだ。蒼焔穿と炎上級魔法爆裂(エクスプロージョン)を織り交ぜた魔法。名付けるなら蒼穿裂(そうせんれつ)だろうか?


 爆発により俺の姿を見失ったユリス生徒会長の背後から俺はスクルドを首に突きつける。


「私の負けだわ」


 それを聞いた俺はスクルドを解き舞台を降りようとした。そこに、


「ねぇ、生徒会に興味ない?レイヤ君程の実力なら筆記試験も合格だろうし、学院に入ったら生徒会に入らない?」


 俺は振り向き


「お断りします」


 その後はその場を去るように試験会場を後にした。


 ■〇▲×


 学院の会議室


「今年の新入生は凄いですね、学園長」


 どうでもいいわ新入生なんて。それよりも早くこの会議終わらないかしら。


「次期国王、シド・ジル・メリア王太子殿下。公爵ロキシー家の令嬢、リビア・ジル・ロキシー。伯爵アイキュリー家の子息、カリア・ジル・アイキュリー。アウリスの使用を禁止していたとしても我が校の生徒会役員に勝ったサリア・メイビス。そして我が校が誇る最強の生徒、公爵ラティア家の令嬢ユリス・ジル・ラティアが本来ならば使うことが禁止されているアウリスを使用したが敗れた」


 へー。あのユリスにアウリスありで勝つことができる新入生候補がいたのね。少しきになるわね。


「で、その生徒の名前は?」


「はい。その生徒の名は……レイヤ・ブラッド」


「ブラッドですって」


 思わず椅子を倒しながら立ち上がってしまった。


 心臓が止まるかと思った。いや、実際に止まったかもしれない。いや有り得ないわね。だってあいつは……


「ごめんなさい。続けていいわ」


「はい。筆記試験満点、実技試験もユリス生徒会長に勝利したことから満点と見ていいでしょう。このままだと入試主席合格になります」


 それを聞いた教師達は渋い顔をする。何故なら私の学院は実力主義。平民、貴族身分関係なく実力があれば入学する事ができる。そして学院では身分関係なく等しく平等。権力を振りかざす者は処罰される。それなら主席合格でいいとい思うが今年は王太子殿下に公爵家の出自がいる。貴族でもない者が代表スピーチをするとなれば反感を買う。だが、


「今年の主席合格者はレイヤ・ブラッドにします。意見は受け付けません」

 

 学園の主義を曲げてまで不正をすることはないでしょう。


「これにて会議を終了する。解散」


 ■〇▲×


 三日後、学院の合格者表を見て番号があることに、取り敢えずホッとした。入学手続きがあるらしく受付に行き受験票を見せ、必要書類に必要事項を記入していく。


 必要事項を書き終え職員に渡し終わりかと思い、これからの生活に胸が踊る。最初は嫌々来たが、ユリス生徒会長のような人がいるとなると少し楽しみだ。職員の言葉を聞くまでは。


「レイヤ・ブラッドさんで間違い無いですか?」


「そうですけど、何か?」


「レイヤさんは今年の主席なので、入学式の日に代表挨拶があるので考えておいて下さい。それでは、私はこれで」


 俺は頭が真っ白になった。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ