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自己同一性

作者: 九頭

絶対に1人になんてなりたくないから、

なんとしても友達を作らなければならない。


高校に入学したばかりの

私はそんな事ばかり考えていた。


学校生活を平穏に過ごす為に大切な事は、

常に多数派である事と、

友達を沢山作る事だと思っている。

そうすれば、みんなに馴染む事が出来る。


私達の平穏を壊すのはいつもいじめや陰口で、

私はそれらが大嫌いだ。

くだらない感情に振り回されるような人間が

この世には一定数いる。


私が小学生や中学生だった頃、

理不尽にもいじめに遭ってしまったり

影で非難されている級友を間近に見てきたが、

標的になるのは決まっていつも

みんなに馴染めていない子だった。


もし自分が標的になったら、

と想像するだけで寒気がした。


だから私は、

平穏な高校生活を手に入れる為に努力をした。


知り合った人の価値観を必死で真似て、

他人に合わせて、気に入られるようにした。

友達は言う。

「趣味が合うね」

だとか、

「喋りやすい」

とか。

全部あなた達に合わせてるんだよ。

疲れるし、つまらないけど、

私は常に多数派でいて、

友達と一緒に過ごさなければいけない。



そうして私は平穏な学校生活を手に入れた。



それからしばらくたったある日、

学校で友達が話しかけてきた。

「ねえ、あそこに一人で泣いてるアイツ、

よく学校来れるよね。信じられなくない?」


いじめだ。

私が大嫌いないじめだ。

信じられないのは

泣いてるあの子じゃなくお前だ。


私は言った。


「ほんとだね。」

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