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ないよな?

小鳥のさえずりで目を覚ます。


まず俺はpcを起動してSNS関係の通知を一通りチェックする。


それが終わると洗面所へ行き、歯だったり顔だったり諸々の洗浄を行う。

その後はそのまま制服に着替える。


今まで、そしてこれからも続くであろう朝のルーチンワークだ。



一通りの身支度を終えた俺は、ふと最近シーツを洗ってないことに気付く。

俺は部屋へ戻ってベッドを見る。



「はぁ……」


朝から大きくため息を吐いてしまう。

それも俺の目の前に広がる光景を見れば納得してもらえるだろう。



「すぅ……んぅ…………」



俺のベッドですやすやと気持ちよさそうに寝ている少女。


あれ、見覚えのない……なんてこと勿論ありえない。いつも顔を合わせている幼馴染だ。

一瞬夢か何かだと疑うが、生憎俺の目は顔を洗ったこともあり覚め切っている。

一応頬をつねってみた。うん、普通に痛い。




美鈴は昨日、そのままうちに泊まった。





という言い方が正しいのかは分からない。



泊まったと言うか……正確には途中で寝落ちした。


様々な考察や妄想を広げて疲れていたのだろう。

考えてみれば美鈴はほぼ丸一日脳を使っていたのだ。


合間で暴走することもあったが、食事をとって回復したと思っていた…しかし途中で限界を迎えた。

それはまぁ仕方のない話である。



しかし俺の部屋で堂々と寝るのはどうなんだ。

他人に警戒を促しておいて自分は……いや警戒されたいわけじゃないけど。




結果母と相談して俺のベッドで寝かせることになった。

ちなみに俺の寝床はリビングのソファだ。


慣れない場所での睡眠は妙に体に負担がかかってしまう。


ぎしぎしと軋むように痛む腰を手で押さえながら俺は美鈴の寝顔をじっと見る。



……まだ時間はあるし、もう少し寝かせておくとしよう。





俺は気持ちよさそうに眠る美鈴をよそに椅子に腰かけて、改めて考え事を始める。




というのも、今後の生徒会長との接し方についてだ。



何処までが真実か……というのは明確には推し量れないがさすがに怪しんでしまう。


消しゴムを渡した犯人、昨日の話通り共通点は多々ある。



百歩譲って善意で行われたのなら予めそう言ってくれればいいだけの話。


そうでないのならそこにあるのは悪意か……はたまた別の感情か。



と言っても、結果だけ見れば俺たちを助けたことに変わりないんだよな。

過程を考えてみると違和感やら問題やらが生まれるわけで。



助けた……何のために……?


そんな事を考えていると昨日の美鈴の言葉が頭の片隅から出てくる。



『御子柴先輩は……誠くんの事が好きなんだよ!』




「……ねーよ。絶対ない」


勢いよく首を横に振って否定の感情を表す。

何だってあんな結論にたどり着いたっていうんだ。


改めて、会長の好きな人の条件を振り返る。

そうすれば少なくとも俺が該当しないのがはっきり分かるだろう。



先輩の好きな人は幼馴染の事が好き。


その幼馴染より先輩の方が顔も頭も遥かにいい。


アプローチを仕掛けているが脈無し濃厚。



いやだから美鈴だろこれ。

何度考えてみてもあいつ以外に当てはまる奴が思い浮かばない。

俺がおかしいのだろうか。




仮にそう考えてみると、つまりは美鈴を助けたって訳なのか?

ならまぁ…一応あり得なくはないんだろうが……


だがそれはそれで引っ掛かる点がある。

と言うのも昨日の会長のあの鬼気迫る態度。


美鈴自身も挑発するような姿勢だったし売り言葉に買い言葉っていう心境だったのかもしれないが。


どうにも違和感が残る。好きな人にあんなに当たりきつくなるものか?




……じゃあ美鈴じゃないのか?でもここまで条件が一致してるのも事実。



脳が混乱する。両方の要素を拾うと矛盾してしまうんだ。





…一応拡大解釈してみれば美鈴の言う通り俺も当てはまるのかもしれないが……



いや違うそれは絶対にない。

惚れられる理由が無いんだから誰が何と言おうと絶対にない。





……ないよな?

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