私は転生者。
同タイトル多数ですが、新参者も参加させて下さい。
よろしくお願いいたします。
私は、異世界転生者である。
名前は、朝妻もみぢと言う。
最初に前世の記憶が蘇ったのは、14歳の頃だった。
世間から少しずれたことを言っただけですぐに厨二病と言われてしまうお年頃、まさに中学二年生の春の日の出来事であった。
『私の中に別の誰かの記憶がある……なんか、前世の記憶があるみたい!』
混乱した私はよく考えもせず、すぐに両親に報告をしたのを憶えている。
――思えば両親は、良い親だった。
突然、こんな話をはじめた私を否定をしたり怒ったりせず、病院に放り込んだりせず、ただ家の外でその話はなるべくしないようにとだけ忠告してくれた。
ただ、
『ブヮハハハァ……ウケル!!腹筋死ぬ!!』
『いや、やっぱ中学二年生はこうでなくちゃ……グフゥ!!』
人生初の深刻な打ち明け話を秒で爆笑され、幼かった私は心に深い傷を負った。
それでも、家以外でその話をしないという親との約束を私は忠実に守ったし、
約束の側もまた、私の事を守ってくれた。
前世持ちである私は、普通の女の子ではなかった。
というか、前世の記憶が目覚め始めた日から、普通の女の子になりたくなかったのである。
TVで見るようなオシャンティな高校生活より、ちょっと影のある友だちとの付き合いの方が肌によく馴染んだ。とくに自称・前世持ちの厨二病仲間とは仲良くやれた。実際、彼らの中にどれぐらい転生者がいたのかは今でも分からない。私がリアル転生者であることも彼らは知らない。
『モミッチ……秘密だよ。私、実は前世は傾国の悪女やったん』
――そこは美女じゃないんかい!!
『私、前世ではちょっと強いグラディエーターだったんよ……でもね、ある時、ハメられて、1人でドラゴンと戦わされて死んでしまったんよ』
――職業が微妙!!
『ぼく、前世はスクロールだったんだ』
――人間でもなければ、もはや生命体ですらない!!
友人たちの打ち明け話は、前世でただの冒険者だった私の経歴が軽く霞むほど濃かった。
『『『ありがとう、モミッチなら信じてくれると思ってた!』』』
私も流石に、そこまでピュアだったわけではない。
笑われたら傷つくって知ってるから絶対に笑わないようにしていただけである。
たまには、前世があるなら証拠持ってこいよと思うこともあった。
いつも新しい話を聞く時は7:3ぐらいの半信半疑だった。
ただ、私は口が軽い方だったけど、友人たちの大切な前世の秘密だけは漏らさなかった。
……なぜなら、私の前世の話を聞いた両親はひとしきり笑った後に言ったのだ、
『もみぢ、前世のことを話せば、あなたを危険に晒すことになる』
『絶対に話すんじゃないぞ』
と……。
これはとても不気味な話になるが。
友人たちが打ち明け話をすると、数日の内に決まって怪しい大人たちが近寄ってきた。
あの頃は、そういう異世界とか異能とかに憧れる中高生の純粋な心を利用して犯罪に巻き込もうとしている悪い大人達が沢山いたのだ。私は約束を守り、約束も私を守った。判断力の乏しい10代の頃に、そういう悪人たちと関わり合いにならなかったのは本当に良かったと思っている。