プロローグ③
なんかプロローグがなかなか終わらない…スマホで打つのは限界があるような…
それから毎日何かと理由をつけて子供達に料理を渡すようになり子供達の顔色もだいぶ良くなってきた。
会うたびに見せてくれる笑顔に俺はすごく力をもらったしまた初心を忘れずに料理と向き合う事ができた。
少年と出会ってちょうど1年経った頃、朝から仕込みをしていた俺は急に料理長に呼び出された。
レストランの中にある料理長室。何度も中に入った事はあるが、数々の大会を優勝したトロフィーや著名人や大物政治家などとのツーショット写真そして自筆の料理本等様々なものが所狭しと飾られていた。
「料理長、なにか御用でしょうか?」
ノックの後に扉越しに声をかける。
「入りたまえ」
料理長の返答を聞き、扉を開ける。
「失礼します。お呼びだと聞いてお伺いしたんですが仕込みの途中なのでできれば手短にお願いします」
料理長の腕は認めていたが料理に対する考え方がまったく違ったのであまり好きな方ではなかった。
「まぁそういうなよ斎藤。少し話をしようじゃないか。とりあえずそこにかけたまえよ」
「はぁ」
室内にある一際大きな椅子に座る料理長。
俺はその向かい側にある椅子に腰掛けた。
「さて、斎藤。今日呼んだのはお前に料理長になる為の資質があるか。それを確認するために呼んだのだ」
料理長がなにを言っているのかいまいち分からなかったが早く仕込みに戻りたいので適当に相槌を打った。
「はぁ。で、資質の確認とはなんの事ですか」
料理長に問う。
「我々の料理は世界一と言ってもいい程の価値を持っている。つまりとても貴重なものなのだ。もちろん貴重な分それを口にできる人間も限られてくる。
そう、それは選ばれた人間だけが食べられる最高の料理。誰にでも食べられるわけじゃない」
「はぁ。言ってる事が分かりかねますが?」
「君も鈍い男だね?つまりお客が料理を選ぶんじゃない。我々の料理がお客を選ぶんだ。わかるか?要はその料理を作る俺達がお客を選ぶんだ。一般人や貧乏人は客じゃない。ごみだ。わかるな?」
やはり料理長とは考え方が違いすぎて話にならない。
「なにを言っているのかさっぱりですね。料理が人を選ぶ?料理人に選ぶ権利がある?そんなバカな話はないでしょう!料理っていうのはですね、人を笑顔にできる魔法なんです!料理は食べてもらってこそその価値が生まれるんですよ」
俺は俺の考えをぶちまけた。
この人に伝わるとは思ってないが言わずにはいられなかった。
「斎藤。お前もまだまだ若いな。そんな考えじゃ世界一の料理長の座には近づけないぞ?甘い考えは捨てて現実を見ろ!お前の腕なら俺の後釜を譲ってやってもいい。考え方を変えろ。それがお前の為だ!」
こりゃダメだな。話を続ける事を諦めた俺は仕込みに戻る事にした。
「別に俺は世界一を目指してるわけじゃないんでこの考えを変えるつもりはありません。仕込みもありますのでこれで失礼します」
「待て斎藤!考え直せ!俺の言う通りにすれば成功は約束されるんだぞ!話を聞…」
バタン!
俺は扉を閉めて厨房に戻った。
あんな話を聞いてるより料理を作っている方がよほど価値がある。そう思い俺は仕込みを再開した。
料理長の執念深さにも気付かずに。