3
扉を開けてみればなんてことはない。只の説明会場でした。
なんてことはありませんでした。
「Go ahead 」
手前から奥にかけて立ち並ぶ豪奢な鎧を身に付けた騎士達が指を中央に指を指してそういった。
中央に座するは、王冠を被ったおじさん。その隣に立つのは同じ位の年齢のもっとおじさん。
王様と大臣である。
「よくぞ参った。エリック・スタンフィールドよ」
「ああう。ご機嫌かきくけこ? 」
混乱と緊張のあまりもはや何を言っているのかわからない。
王様は大臣に視線をおくり、大臣は頷いた。
「おお!!!なんと素晴らしき青年よ!!!そなたこそ勇者に相応しい!!! 」
「音楽隊はじめ!!! 」
「え? 」
パッパラッパッパー!!!
大臣の合図によってトランペットをはじめとする王宮音楽隊がファンファーレを鳴らす。
「まだなにも」
「案ずるなエリックいや、勇者よ!!!そなたは我の眼にかなったのだ! 大臣!あれを」
「いやだからおれはなにも」
「流石は我等が王。その慧眼、私の智をもってしても及ぶことは出来ず……」
「あの、え? 」
「はい。これマニュアル。魔王倒してね。ガンバッテ」
大臣から手渡されるは分厚い冊子。
「そしてこれは我からである」
王様から手渡されるは1mちょいの70mm角の角材。無駄に規格品だ!
(あ、これ。やばいやつだ)
「じゃあの」
王様がそういうと、騎士の一人がエリックの背中を押して退室させた。
「……」
そこからの記憶は曖昧である。勇者マニュアルと角材を手に良く分からないまま帰路につくのであった。