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「母さん、就活にいってくる」
階段を降りてリビングにいる母に一言。玄関へ向かう。食事中の母の箸が落ちる音が聞こえた。
ああ、久しぶりの外だ。日射しが柔らかく感じる。乗り合い馬車に揺られること三十分程。王城についた。橋を渡りその先には城門がある。
「あのぅ、すんません。これ見てきたんすけど」
エリックは募集の紙を門番に見せた。
「ん。ああ、通れ」
すんなりと通される。おかしいな。もっと色々、めんどくさかったような。
昔の記憶によると城内に入るには小一時間かかったはずだ。
不思議に思いつつも歩を進めていく。
《面接会場はこちら》
案内標識を辿って進んでいく。受付があった。
「お早う御座います。勇者様候補の方でしょうか? 」
「え? はい」
エリックは履歴書と募集要綱?を渡した。
「承りました。では、そこにお掛け下さい。間もなく案内係が参りますので」
受付嬢がそういって番号札を手渡してきた。
(取り敢えず、説明会だよな。普通。)
「12番、エリック・スタンフィールド様」
――きた。いつも以上に背筋を伸ばして案内係のおねーさんについていく。
(説明会といえど、ちゃんとせねば。見られてるはずだしな)
「それではお入り下さい」
「え? 」
聞き返したには訳がある。案内係が促してる扉はやたら大きく、やたら豪奢である。
「あの……え? 」
「はい。え? 」
「ここ? 」
「オフコース」
ここらしい。ま、まぁ、豪華な説明会場かもしれないし。
(ままよ!!!!)
ヤケクソ気味にエリックは扉を開いたのだった。