一緒にコーヒーでも飲みませんか
世の中目まぐるしく人、物が動き、時間が過ぎ、
次から次へと明日がやってくる。
そんな感覚に陥りながら毎日を過ごしていた、カスミという女性がいた。
これはカスミと、そのパートナーである夫、ケンイチロウの話です。
カスミとケンイチロウは結婚して間もなく子供を授かりました。
子供の名前は、。
二人からとても愛情深く育てられ、気づけばもう中学生になりました。
そんな家族の日常は、ケンイチロウは朝から仕事、カスミは昼過ぎからパートに出ます。子供は朝から学校。夕方になると、ケンイチロウと子供が家に帰るので、夕飯をすます。カスミが夜9時頃帰宅すると、ケンイチロウと一緒に子供を連れて食料品の買い出し。
毎日ほぼ同じ事が繰り返され、あっという間に月日は流れていきました。
しかし、ある日カスミはかんしゃくを起こします。日々の生活への不満が、気づけば溜まってしまいそれが爆発するかのように、夫や子供へイライラを当たり散らしてしまいました。
普段なら気にもとめない、
シャンプー使い過ぎだの、部屋を散らかしてるだの、
夫や子供の家での行動について、あらゆる細かなことにイライラが止まらなくなってしまったのです。
こうなればもうカスミを止められるのは、そう、長年連れ添っているケンイチロウ以外は考えられません。
カスミは、もうあれもこれもちゃんとしてよ‼
イライラ爆弾が止まりません。
ケンイチロウは爆弾により負傷しながらも、愛情たっぷりの言葉をカスミにかけます。
カスミ!落ち着こう。
良ければ一緒にコーヒーでも飲まないか?
カスミはハッと我に返ります。
コーヒーを口にした途端、今度はカスミはだんだんと、自分に対して腹を立て始めました。
また八つ当たりしてしまった…
しくしく…
泣いてしまいました。
ケンイチロウはコーヒーを口にしながら、
優しく語りかけました。
大丈夫だよ、落ち着いて。
何を思ってイライラしてしまったのか、話してくれないか?
二人で紐解いていこう。
カスミは夫のその言葉に、とっても暖かな気持ちになり、また泣きます。
二人はコーヒーを飲みながら、いろいろな話をしました。
カスミがなぜイライラしたのか、何に対する不満なのか、
それは不安からきてるのか、何が原因なのか、
ケンイチロウはカスミに優しく語りかけながら話しを聞いていきます。
コーヒーを口にしながら、カスミは話していきます。
カスミの不満爆発事件は、こうしたケンイチロウの優しさと、一杯のコーヒーで、解決していきました。
それから二人は、久しぶりに沢山のことを話しました。
それまでは日々を忙しく感じてしまい、
書いて字のごとく、心を亡くした日々を送っていたカスミ。
こんなにのんびりとケンイチロウと話したのは久しぶりでした。
しかし、実は二人がした会話の時間は、ほんの数時間。
ほんの数時間、二人一緒にコーヒーを飲んだ時間はゆったりと流れました。
しかし会話の中には、
愛情や不安などの気持ちのやりとり、過去の話、現在の話、将来の話、良かったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、落ち込んだこと、明るい話、暗い話、様々な二人の大切な時間が詰まっていました。
一緒にコーヒーを飲みませんか?
ただそれだけで、コーヒーのような深く味わい深い会話ができるものなんですね。
その後、カスミ、ケンイチロウ一家は山あり谷あり、平和に暮らしていきましたとさ。
おしまい




