LUCK数値最大?
緑の竜が言った
「ウィル、久しぶりだな。お前もあの波動の元を見に来たのか?」
「久しぶりねルナード、それ以外に私が陸に上がると思って?」
「だな、お前の姿をキチンと見たのは200年振りか?」
「かもね、お馬鹿さん達との喧嘩以来だと思うわよ」
どうやら緑の竜がルナード、青い竜がウィルというらしいが・・・
僕等を放って置いて会話をする2竜。
お馬鹿さんとの喧嘩?
・・・8竜戦争の事かな?
200年程昔に理由は分からないけど8竜が2派に分かれて戦争をしたらしい。
光竜・火竜・土竜・冷竜はその戦争で負けて、どこかに撤退したって聞いたけどな。
どこかってどこなんだろ?
それ以来、4竜の目撃情報って無いらしい。
まさか・・・異世界って事はないよな。
地球を大改造とか言って異世界に変えたのに、更に異世界と通じてる・・・とんでも世界だな。
だけど・・・『面白れぇ』とか言って繋げそうなんだよな、あいつは。
「おい坊主、お前が主の力を使ったんでいいのか?」
考え事をしてたら2竜の会話は終わってたみたいだ。
だけど、主?
「主って・・・誰です?」
「主ってのはな、・・・なぁウィル、何て言えばいいんだ?あの呼び方すると怒るだろう?あれは」
「あれって言い方も大概だと思うけどね?・・・そうね・・・統べる者・・・確かそうも呼ばれても居たわね」
「あ!それなら分かります。統の事ですね。その力なら知らずに使いました」
「統?・・・そういえば最後に会った時に仰々しくない名前が付いたって喜んではしゃいでたな」
「そんな事もあったわね。すると、貴方が力を付与された者なのね?」
ウィルって竜はサラッと流すな。
脱線するのが嫌いなのかな?
「そうなります」
「ってーと坊主が2人目の主になるって事か?」
「僕が主?・・・僕は主従関係には興味無いです。そこら辺は気にしないで今まで通りにして下さい」
「あら?いままで通りでいいの?私たちに命を下せば大抵の事は出来るわよ?」
「それ・・・やって楽しいですか?僕には楽しそうに思えないんですが」
「・・・フッフフ・・・フハハハハハハハ。お前、そうゆう所は主と同じなのか!俺は気に入ったぞ!」
「そうね・・・フフ、私も嫌いじゃないわ」
何か知らないけど気に入られたみたい?
でも、統と同じってのはイヤだな・・・
あんなに適当じゃないと思いたいもの。
「坊主・・・いや、ジン・・か。ジン!俺の属性の加護をやろう。必要なんだろ?」
「あら?ルナードが加護を授けて私が授けないんじゃ私がケチみたいじゃない?私も貴方に加護を授けましょう」
え!?いきなり加護がもらえる?しかも2つも?
つか、この竜達が守護者だったの?
それじゃ8竜が守護者?
「ありがとうございます。あの、8属性の守護者ってのは8竜の皆さんなんですか?」
「前はそうだったが、今はどうなんだろな?あいつ等はまだ守護者なのか?」
あいつ等ってのはどっかに撤退した4竜だよな?
「どうなのかしらね?司る者・・・精霊に聞いてみるか、主に聞いてみるのが良いんじゃないかしら?」
精霊の居場所知りません。
統は呼んで来るわけないしな。
『ふ・・・行かなくても伝える事は出来るぜ!守護者は前から変わってねーぞ』
なんだろう・・・ドヤ顔でふんぞり返ってる絵が想像できるんだけど?
ちょっとイラっとしそうだ。
いや、忘れよう。イラっとすることを覚えていても仕方ないしな。
でも、守護者が変わってないなら4竜はどこにいるんだろう?
闇と雷の竜は文献を漁ればヒント位はあるだろうけど。
「今、統から聞いたんですが守護者は変わってないそうです。どっかに撤退したって言う竜達はどこにいるんですか?知ってたら教えてほしいです」
「ん?今?どうやって?」
「一方的に言葉だけ伝えてきましたけど?」
「相変わらず面倒くさがりか!・・・呆れるな(笑)」
「らしくて良いんじゃないかしら?それで、お馬鹿さん達の逃げた場所は、私たちが教えて良い場所じゃないの。それは主に聞いてちょうだい・・・底意地が悪いからネス(闇竜王)とソイム(雷竜王)の加護を貰ってからじゃないと教えないとか言いそうではあるけどね」
「あ~・・・あり得るな。だが、『祝福も』と言わなかったら御の字と思うのがいいかもしれんな」
「そうね(言いそうな感じはするわね)・・・さて、そろそろ加護を与えて帰りましょうかね」
「そうだな、俺も寝ようと思ってた所だったしな」
そう言うと2竜は小声で何かを言い始めた。
言い始めて直ぐに僕の前に緑と青に輝く球体が1個づつ現れた。
その球体が拳程の大きさになると2竜は言葉を止めた。
その球体の輝きは力強いのだが、攻撃的な輝きではなく優しい印象を受ける柔らかさも備えていた。
「さぁ、手をかざして取り込みなさい。取り込んだら加護が付くわよ」
言われた通りに2つの球体に両手をかざすと球体の形が変化した。
掌に向かい球体の1部が伸びてきた。
そして掌に触れると体内に何かが入って来る感じがする。
嫌な感じはしない、球体から受けた印象と同じ感じだ、力強く優しさに溢れた感じだ。
球体だった物が全て体内に入った。
これといった変化はない感じだけど、何か変わったのかな?
「これで、加護は授けた。特に変化した感じはしないだろ?加護とか祝福なんてのは、そんなもんだ」
「実感できるものじゃないしね。でもね、属性値は上がってるわよ」
「属性値が?」
「そう、普通に考えて有り得ない位にね」
そっか、属性値は量らないと自分の数値が分からないんだっけ。
僕はALL50って言ってたから、風と水は、それ以上になったって事か。
まぁ属性値はどうでもいいんだ、制御が出来る様になりたい。
嫌われ人生なんて真っ平御免だから。
「それじゃ行こうかしらね。あっ、そうそう。そこの2人、今の事を誰かに話してもいいけど、ジンの事を思うなら話さない方がいいかもしれないわよ?」
すっかり存在を忘れていた大人2人、ルドルと夜徳にウィルが言った。
「私達が来て、加護を授かった。それだけでも大事だと思うのよ?その上、主の力まで持ってるなんて事が知れ渡ったら・・・どうなるかしらね?」
う~ん・・・脅し・・・だよね?この言い方は。
ウィルさんって優しい物言いだけど、凄く怖い竜なんじゃ?
今後関わる時は気を付けようっと。
「お二方が来たってのは知れ渡る事になるはず。遠くからでも、その姿は確認できますしね。主の力ってのは・・・良く分からないけど、特別な力を持ってるって事ですね?それも多分、遅いかも知れない。俺達以外に4人が体験してるから。すでに誰かに話してる可能性は高い」
「あら?そうだったの?それなら擁護してあげてね?私はこの子が気に入ったから、捻くれて欲しくないわ」
「それは勿論。俺の息子だからな」
「・・・そう。まだ息子って呼んであげるのね。貴方の覚悟、信じるわ。それじゃ帰るわね」
そう言うとウィルは向きを変え来た時と同様に滑る様に去って行った、ルナードも迷惑な位に羽ばたきロドロマ山の方に飛んで行った。
だけど、ウィルさんの最後の台詞は僕が転生じゃないって見抜いたからだよな?
僕は知ってる、統も生まれ変わってとは一言も言った事がない、乳飲み子からやり直せって言ってた。
これは知らない振りをした方がいいよな?
養子扱いみたいな事を1度もされた事がないし、産みの両親・・・あれ?顔も名前も思い出せない?・・・記憶は全部戻った訳じゃないのか。
でも、戻らなくても良いか。産みの両親が今の両親より良いって何故か思えないし、思い出したくも無いって思ってるのか?
それなら僕のお父さんとお母さんは、ルドルとレイで決まり。
この2人以外に有り得ない。
2竜が見えなくなった頃。
「それじゃ俺達も、あれを引っ張って帰るか」
傭兵崩れの事を忘れてた!
「ルドル、森の中の5人もか?3人じゃ無理だぞ?」
「あぁ・・・忘れてた・・・どうするか?」
思案に暮れてると村の方から何人かやって来た。
その人達と手分けして10人を縛ってから引きずって村に戻った。