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遭遇そして力の発動

 昼食はお母さんと2人でだった。

 お父さんは森に薬草を取りに出かけていて、昼食も弁当を持って行ったそうだ。


 お父さん・ルドルは薬草師で治癒促進薬や簡易解毒薬などを作ってストックしたり街に卸したりしている。


(ゲームなどでよくある瞬時に回復する薬?そんな物が作れたら大金持ちさ by神と呼ばれると怒る神)


 鍛冶屋の銀先生が言ってたけど、棒術の腕前は達人級らしい。

 僕はお父さんが棒を持ってる所すら見た事が無いんだけど・・・ホントなのかな?

 そして

 いつもにこやかなお母さん・レイは自称二十歳。

 ・・・いや・・・文句なんて無いよ?

 今年二十歳になる村の女性と並んでも年の差が有る様には見えないし、町から薬を買い付けに来た人も僕等を見て『姉弟かい?』って言う位だから。

 でもね、僕を産んだのは10歳の時って事になるんだよね?そこん所はどうなってるの?

 ・・・お母さんと同い年になったら聞いてみようかな?

 

「あら~お母さんと同い年になるなんて、ジンも大きくなったのね~」


 とか言いそうなきもするな。

 やっぱりこの人には生涯敵いそうにないな、と言うか勝てる人は居るのかな?

 そんな事を考えて、お母さんを見ながら昼食のパン粥を食べていると。


「なぁ~に~ジン?お母さんの顔に何か付いてる?あら?まさか?お母さんに惚れちゃダメよ?お母さんにはお父さんが居るんだからね~」


「お母さん・・・僕はそんな事は一言もいってないけど?」


「あら?そ~なの~?ちょっと残念ね~」


 ホントにどこまで本気なのか分からない人だ、お母さんの事は勿論大好きだ。

 でも惚れるとかはないなー。だってお母さんだよ?

 綺麗で、優しくて、にこやかに本気とも冗談とも吐かない事を言う人は面白くて好きだけど・・・お母さんだもの、惚れるはないな。


 傍から見たら馬鹿丸出しな会話をしながらの楽しい昼食を終えると、尚華しょうかちゃんとの待ち合わせ場所に向かった。

 待ち合わせ場所には尚華ちゃんと蒼麗そうれいお姉ちゃんが居た。

 蒼麗おねえちゃんは僕・尚華ちゃん・剛義の2つ年上で猟師の夜徳さんの1人娘だ。

 12歳になって今年から街の学校に行くようになって、普段は寄宿舎で暮らしているんだけど。

 今は田起こしの時期の1週間休暇で実家に戻って来ている。


「「ジンく~ん、こんにちはー」」


「2人共こんにちはー、お姉ちゃんも一緒なんだね、って事はやっぱり弓の練習なのかな?」


 蒼麗の父親は村で弓を教える先生をやっている猟師だ。

 蒼麗も村に居た時は父親に弓を習っていた。

 その腕前は、お父さんや銀先生が手放しに誉めるほどだ


『あの娘は凄いぞ!すでに独り立ち出来る技量を持っている』


 なんて言ってたし、僕とは大違いだよ。

 そう言えば剛義は


『あの男女』


 とか言った事があったけど、これをお姉ちゃんに言ったら流血沙汰間違いなさそう。

 僕もとばっちり食いそうだから黙っておこう・・・そう、永遠に。

 怖いんだよ?お姉ちゃんが怒ると、普段は僕らの面倒を見てくれる綺麗なお姉ちゃんなんだけど・・・怒った時は虎も尻尾を巻いて逃げ出すんじゃないかって位に凄味があるんだ。

 まぁ怒らせるのは行動と理由がいつも滅茶苦茶な剛義だけどね。


「そう、いつもと違う場所で弓を放つのも訓練になるのよ。場所が変わると距離感が変わったりするの」


「へぇ、そう言うものなの?」


「うん、同じ景色でやってるとね、場所が変わった時に距離感が掴めなくなっちゃう人も居るの、だから場所を変えて撃ってみるのも大事なの」


 弓について聞きながら歩いていると、北の農地に到着した。

 何故かそこには剛義が居た・・・マジでなんで?


「遅いぞ!ジン!」


「いや・・・遅いって・・・剛義と約束はしてないと思うけど?」


「そうなの?じゃ、何で剛義君がここにいるの?」


「尚華、それはだなジンの家に行ったらここじゃないか?ってレイさんが言ってたんだ」


「それおかしくないか?何で途中で追いつくんじゃないの?」


「またまたそれはだな、ここに来る前に尚華の家に行ってみて居なかった。次に蒼麗姉ちゃんの家に行ってみて居なかった。だからここに来た」


「ねえ、剛義君・・・3軒回って私達より早く着いてるって・・・もっとおかしいと思うの!」


「フッ、気合で高速移動すれば何とかなるって」


「なって・・・たまるかぁー!!」


 とうとう剛義の訳の分からなさに蒼麗お姉ちゃんが切れた。おぉあれが矢継ぎ早ってのか・・・4~5秒に1回は放ってる感じだな。


「尚華ちゃんも撃って!こんな生きのいい的は中々ないわよ♪」


 剛義・・・南無三、骨は拾うから迷わず逝ってちょうだい。


『ピーーーーーーー!!』


 その時、警笛が鳴った。鳴った方を見ると抜き身の段平ブロードソードを持った男がこっちに向かって歩いて来ようとしていた。その足元には尚華のお父さんが倒れていた。


「おとうさん!!」


「待って!行きたいのは分かるけど待って。あいつ等は私達を捕まえようとしてる。」


 あいつ等?

 蒼麗お姉ちゃんが左右を見る。すると左右から2人づつこっちに迫って来ていた。後ろの森の方を見ると・・・そっちからは誰も来ていない。

 ん?・・・あれ?・・・なんかおかしくないか?


「厳しい事を言うけど、尚華ちゃんのお父さんが生きてるかは、ここからじゃ分からない。分からないけどあいつ等に捕まるのは絶対に望んではいない。だから、ここから逃げないとダメ。後ろの森からは誰も来ていないからそっちへ逃げるわよ」


「お姉ちゃん。それはダメ。僕らを捕まえるのが目的なのに森への逃げ道を開けておくなんておかしすぎる」


 森に入れば障害物が邪魔して捕まえるのが開けた場所より何倍にも難しくなる。

 それなのに人を配置していないのは間違いなく…


「・・・待ち伏せか?」


「多分ね、そう考えると納得が行くんだ、だからここは1人しか居ない正面突破がいいと思う」


 皆も納得してくれたみたいだ。

 そして、突破の作戦はこうだ。

 2人1組で男の左右を走り抜ける。その際、男寄りを剣で防御が出来る僕と剛義が走る、両サイドを同時に攻撃出来る人なんてそうそう居てもらったら困る。

 更に女子2人には僕の持ってる止血軟膏を持たせる。万が一どっちかが落してしまっても尚華のお父さんに1個は使えるように。


「んじゃ・・・行こう!」


 僕らは正面の男に向かって走り出した、僕と剛義はショートソードを抜き放ち、尚華のちゃんと蒼麗お姉ちゃんは当たらなくても牽制になるように、いつでも矢が放てる状態にして。

 男に接近し矢を放つ2人、でもやっぱり当たらない、熟練でも難しい移動しながらの発射が年端もいかない2人に当てろと言うのが土台無理な話なのだ。

 でも流石は蒼麗お姉ちゃんだ、かなり男の近くに矢を放っている。

 そして、次は僕らの番だ。男はまず男から見て右を走る僕に切りかかって来た。

 見え見えの動きだったので難無く剣で受ける。

 すると男は予測していたのか止められた反動を利用して後ろに身体を捻って回り剛義に切りかかった。

 予想外の動きに驚いた剛義だが辛うじて攻撃を前転して避ける事が出来た。だが男の右側に居る事になってしまった剛義に追撃が襲う。

 剣の腹で頭部を殴られて吹っ飛んだ剛義は気を失ってしまったらしくピクリとも動かない。

 その間に女子2人は尚華のお父さんの元に辿り着いていた。

 僕は剛義と男の間に入り込み剣を構えた。


 深呼吸をして状況を判断してみる。

 警笛は鳴らされている、もうすぐ大人達がやってくるはず。

 剛義は気絶中、尚華は父親の切り傷に軟膏を塗っている、蒼麗は牽制になるようにと矢をつがえている。

 これは、何をどう考えても僕が頑張って防波堤になるしかない。

 僕が倒れたら皆捕まる。

 

「お姉ちゃん!僕、頑張ってみるよ」


 そう宣言して決意して覚悟を決め集中すると・・・

 その力が発動した。



女の子の、しかも子供の口調の区別って難しい(><)

どっちが喋ってるか分からない所は、どっちが言っていても問題ない感じにしたつもりです

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