西方・王国建国(対極の将軍・2)
ガムラミット侯爵ファシリアスは暇を持て余していた。
仕事らしい仕事が無かったのだ。
今は戦時中なので面会人や内政などは配下の者が取り仕切っているし、軍務に関しても各部隊の隊長達に任せておく方が的確な判断を下すからだ。
だからといって遊んでる訳にも行かないと思い、何か出来る事を探すのだが経験に乏しい新米侯爵に出来る事など皆無だった。
――私は御神輿なんですね・・・
事実その通りだろう。
先頭で音頭を取り皆の道標となるのが唯一の役目なのかも知れない。
しかし、皆が喜んで担いでくれる神輿など滅多に無い物なのだ。
ファシリアスはそこの所をもう少し理解し誇っても良いのだが、若さなのか経験の無さからなのか神輿になっている事が恥じる事と思ってしまっていた。
今日も自分には何が出来るのだろう?
と、自室にて考え込んでいた。
そんな中でウィンザーが面会を申し出て来て、やる事が出来たと内心喜んでいた。
「お待たせしました、どうかなさいましたか?」
「忙しい所悪いな、あんたに面会をしたいって奴を連れて来たんだ」
アムネジアは見逃さなかった。
自分が忌み子と呼ばれ成長してきていたので他人の顔色を見て取る事に長けていたのでファシリアスの顔色に、ほんの少しだけ影が差した事に気が付いた。
その事をウィンザーに聞こえる声量で言ってみた。
「?・・・ウィンザー様ー、侯爵さん何か有ったんですかねー?ちょっと元気無いみたいですよー」
「なあ侯爵さんよぉ何か有ったのか?こいつが言うには元気が無さそうだとよ」
「え?・・・あ・・・いや・・・大した事ではないのです」
「そうなのか?顔色が変わるって相当だと思うんだけどなぁ?」
「いえ、本当に大した事ではないので大丈夫です」
「なら良いけどよぉ、まぁなんだ俺は戦闘が無ければいつも暇だからよぉ俺で良かったら相談に乗るからよぉ」
「・・・暇なのですか?」
「まぁな、俺ってよどこの部隊にも所属してねぇだろ?だからやる事がなくてなぁ、今日も暇なはずだったんだけど、ばあさんから双子を預けられちまったから実力を見るのを兼ねて狩りに行ったけど・・・明日は何すっかなぁって位だからよぉ」
「狩りですか。私には不向きですね・・・」
「ん?不向き?・・・行くのか?」
「いえ!そういう訳ではなくて・・・実は私もやる事が無いのです」
誘導されたわけでも、問い質された訳でもないのに自ら表情に影を落とした理由を話してしまった。
ファシリアスにとったら恥ずべき事なのだが、ウィンザー達からしたら特に問題が有る様な事には思えなかった。
実際の所、トップがあくせく働いているなどと言うのは相当に切羽詰まっている状態なのだ。
現状トップが悠長にしているのは良い事なのかも知れなかった。
「それは何かダメなのか?」
「やはり侯爵たる私が率先して仕事をせねば示しがつかないと思うのです」
「そういうもんなのか?俺はトップの奴はドンと構えて余裕を見せるのが良いと思うんだがな。トップが忙しくしてるとヤバイのかって思っちわないか?」
「!・・・そ、そうなのですか?」
「う~ん・・・少なくても俺はそうだな」
「では私は暇を持て余してる方が良いのでしょうか?」
「良いと思うぞ。でもなぁ何かやりてぇなら陣内を見て回って激励でもやったらどうだ?」
「巡察ですか・・・私なんかで効果あるでしょうか?」
「そりゃぁ有るだろう、美人の侯爵様直々の巡察とあったら良いとこを見せようって調子の良い奴も居るんじゃねぇのか?それと士気も上がったりするんじゃねぇかな」
「な、なるほど・・・それは検討してみます」
正直な所、そんな事でも良いのかと困惑気味だった。
たったそれだけの事で士気が上がるというのが俄かに信じられなかった。
やはり自分にそれだけの効果を与えるだけのカリスマ性が有ると思えなかったのも有る。
もしも逆に士気が下がってしまう事になりにでもしたら・・・
そんなふうに思ってしまうネガティブな部分が大きく脳内を占めてしまう。
それはファシリアスの悪い癖であった。
「なんだぁ?まぁだ浮かねぇ顔してるなぁ、あんまり思い詰めんなよ。それよりだ、夜にこいつも一緒に飯を食うんだけどよ一緒にどうだ?もう1人の侯爵もさそってさ」
「え?えぇ私は行けますよ。あっ!それよりも、その方の用事を済ませてしまわないといけませんね」
「あっ!すっかり忘れてた、つうか、こいつにさっきの話を聞かれちまったけど良いのか?」
「え?・・・良いんじゃないですか?私事ですし陣営の事は何一つ言ってませんし。それで彼方は私にどのような用が有るのですか?」
「はっ!私はバグラリア侯爵様より書状を預かって参りました」
「水軍提督殿からですか?私にいったい何用でしょう?」
書状を受け取り早速封を切り読んでみると、それは決戦状だった。
次の討伐軍の総大将に選ばれファシリアス等同盟軍を討伐に向かうので完膚なきまでに叩き潰すので精々抵抗をされたし。
なにやら良く分からない書状であった。
潰すと言って置きながら頑張れと激励をされている気もするのだ。
「侯爵様より言伝も御座います。・・・貴殿の気持ちは良く分かる・・・が、総大将となったからには全力で叩き潰す、それだけだ。だそうです」
「なるほど・・・分かった、では私からの言伝も頼もう。我方は弱兵につき形振り構っておれぬ、よって卑劣な作戦は用いぬが手段を選んだ作戦は実施せぬゆえ御承知なされ。と伝えて下さい」
「了解しました。・・・それで私は此方の方の夕餉を共にしても良いのでしょうか?何やら誘ってる人達がここの重鎮の様な気がするのですが・・・」
「ウィンザーさん?・・・そうなのですか?」
「侯爵を2人誘った時点で重鎮なんてもんじゃぁねぇと思うんだが?」
「あぁ・・・言われてみればそうですね」
「それとなぁ、こいつ門番とトラブったから放置する訳にも行かないだろ?ネチッとした感じの奴だったから何かしでかしそうでよぉ」
「そのような事が有ったのですか・・・ならばウィンザーさんと共に居るのが良いと思いますよ、護衛には勿体ない位の人物ですよ」
「そ、そうなのですか?」
「どうだろ?どこの部隊にも所属してねえから命令出来る奴が少ねえってだけじゃねえかな?」
前回の作戦会議の後、ウィンザーの所属する部隊の検討はされたのだったが。
結局決まらなかった。
人狼や竜人の部隊に組み込むには実力が知れないし。
普通に大隊に組み込むには強すぎた上に魔術師が一般部隊に居ると言うのは前例が無く扱いに困る事が必至だったのだ。
よってウィンザーは、どの部隊にも基本的に所属はしないで戦場毎に所属を決めると言う事になった。
「ではウィンザー殿、滞在中の短い間ですが宜しくお願いします」
「あぁ・・・畏まらないでくれや、もっとフランクに行こうぜ」
「ですか。ならば、宜しく頼む」
「おぅ分かったぜぇい、んじゃ侯爵さん晩飯は任せとけなぁ良い部位と悪い部位を両方用意しとくからよぉ」
「わ、悪い方もですか?」
「悪い方を知らなきゃ良い方がどんだけ良いのか分かんねぇだろ?」
「!・・・確かにそうですね」
「悪い方でも熱鳥なんかみてぇに食えたもんじゃねぇ!って訳じゃねぇからよ」
「熱鳥とはそんなに不味いのですか?」
「こいつが、アムが残したいって言う程だからなぁ、あの肉を食うのは拷問に近いかも知れねぇな」
「ご、拷問・・・」
「食ってみたいなら戦争終わったら狩ってきてやるぞ?」
「えっ・・・と・・・考えときます」
「ははははは、お勧めはしねぇぞ、じゃまた後でなぁ」
ウィンザーの話は思い付き始めたからプロットがないんです。
思い付きで書いてるから余計な部分も多いかも知れないですが、それなりに書けてると思うんです。




