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西方・王国建国(ルクナガルト市街防衛戦・前編)

 ここルクナガルトの街はシナト王国の北の玄関口で王都に次ぐ規模の街だった。

 西からはトルムラート王国に至る街道。

 南にはシナト王国を西回りと東回りで伸びる街道。

 北にはメヤ公国とアラ=ラム騎馬族の領土へ至る街道。

 4本の街道が交わる交易で発展した街だった。


 ウィンザーは南に設置されている城門前で1人立って西回りの街道から北上してきた6000の軍勢と対峙していた。


 城門を閉じて防戦の構えをとっていると予測していた討伐軍は、開け放たれた城門前に1人で立っている男を見て即座に攻めかかるのを中止した。

 どう見ても罠が有るとしか思えない。


「遠路はるばるルクナガルトの街ようこそ」

 

 ウィンザーが喋りだした。

 普通に喋っているのに声が広範囲に響き渡っている。

 光属性で音声拡大をして風属性で到達範囲を広げていると言ったところだろう。


「長旅のろうねぎらい歓待したい所ですが・・・略奪も強姦もしてねぇんだ疲れてねぇよな」


 同盟軍は会議の後直ぐに討伐軍の予測行軍路上にある町や村に兵士を派遣して避難の手助けをしていた。

 この処置よって住民の被害者はまだ0人である。


 討伐軍は無人の地を行軍して来て鬱憤がかなり溜まっていた。

 命の遣り取りをする兵士という職業の旨みの全てが敵領内での暴虐だからだ。

 略奪で富を奪い。

 放火で住まいを奪い。

 強姦で心身を傷つけ。

 暴力により命を摘んだり。


 それらの暴虐が兵士の醍醐味と言い放つやからもいるくらいだった。

 暴虐を勝利後の統治を困難にするという理由で、やらせない指揮官もいる。

 だがそれは極少数で大半の指揮官は黙認していた。


「そんでだ、この街の避難がまだ全部終わってねぇんだ、終わるまでその辺で待っててくれや」


 かなり勝手な言いぐさだったが、実際避難は済んでいなかった。

 だからと言って待ってくれる訳などはないのだ。

 討伐軍から怒号が発生した。


「はっはっはっ、おつむの弱い国王の腰巾着の腰抜け共は武器を持たねぇ奴等しか相手に出来ねぇ下衆なヘタレしかいねぇなら仕方ねぇな・・・んなザコは俺が相手してやる!」


 ウィンザーの言いたい放題の悪意ある言葉に討伐軍は爆発寸前まで頭が沸騰していた。

 兵士のみでなく指揮官も同様だった。


「テンビトロ伯爵!あの様な暴言を言わせたままで良いのですか!?」


「そうですぞ、我等のみならず陛下の事まで馬鹿にするなどと許せませぬ!」


「ボルジューヴ男爵、コドラカル男爵。あのようなあからさまな挑発に乗って如何なさる?」


「しかしですぞ、我等貴族の尊厳をこうも踏みにじられては黙って居られますまい!ここは貴族としての矜持を示す時にございませんか!」


「私も同様の意見です。見逃して良い事ではありませぬ!」


 テンビトロ伯爵は2人の男爵が至極真っ当な事を言っている様だが、本音は違う事を知っていた。


 行軍中の2人は、無人の町を見て『我等に恐れをなしたか』『略奪の1つでもしたかったな』『こんな下らない討伐なんかじゃなくてトルムラートとの戦で功績を上げたいんだかな』などと話していて、完全に同盟軍の事を舐めきっていた。


「斥候の報告によると主戦力は中洲廃城、アルオシェル砦にいるとあります」


「ならば、防衛に割いた兵力は微々たるもの、居ても1000程でしょう」


「我等2隊でも殲滅出来ると思いますが」


 テンビトロ伯爵は答に困っていた。

 間違い無く城壁内には罠が敷かれているだろう。

 罠の内容によって は倍以上の兵数を持って当たっても逆に殲滅されてしまう。

 あからさまな挑発は自信の表れであろう。

 攻め込むのは下策でしかない。


 しかし伯爵は逆の決断をした。

 この2人は伯爵は痛いめにあって鼻っ柱を折られる方が良い、いざとなれば自分が救援に向かえば大丈夫だろう。


 2人の男爵は出撃許可を貰い意気揚々と部隊に戻り突撃命令を下した。


「おっ!お前等に称号を1個追加だな。1人相手に多数で掛かる卑怯者だっ!はっはっはっ」


 火に油を注ぐ発言をした後で、今や愛用となっている精霊鋼(白)のバスタードソードを横薙ぎに構えた。

 構え終えると刀身が緑の光を放ち始めた。


「ふん!!」


 討伐軍が後30mと迫った所で剣を振り抜いた。

 剣の間合いまではまだまだ有るのだが、風の刃が討伐軍を襲う。

 風刃ウィンドブレードだ、それも特大の広範囲に及ぶ1撃だった。

 幅20m程の風の刃で60名弱を真っ二つに斬り裂いた。

 1撃で60名弱を葬る技量は感嘆に値し戦意を削ぐものなのだが、怒りが頂点を上回っている集団には死体と言う障害物場できた位にしか感じていなかった。


 ウィンザーもこれ位で怖気づいてもらっては困ると言わんばかりに人の悪い笑みをこぼして場内に走って入って行った。


 ルクナガルト市街地は防衛に向いていない街並みをしていた。

 南の正門から真直ぐ700m行くと侯爵邸宅に辿り着くのだ。


 ウィンザーの走る速度は異常なまでに早い、30mまで迫っていた討伐軍を50m以上引き離してしまっていた。

 引き離し城門から100m地点にある1つ目の交差点で止まり振り向いてび横薙ぎに構えた。

 今度は刀身が青く光を放っている、水刃ウォーターブレードだ。

 また60名弱真っ二つにすると次の交差点のある200m地点に向けて走り出した。

 これを侯爵邸宅まで繰り返すつもりらしい。




 そんな事を繰り返していても後ろから続々と入って来る兵士の勢いは止まらない。

 溢れ返った兵士は脇道に逸れて行くのだがそれも計算済みだった。

 脇に逸れた兵士が目にしたのは10人の兵士と5基の大型の弩だった。

 弩は水平射出の角度で固定されて先を尖らせた直径30cmの丸太が設置されていた。

 そして50m辺りまで討伐軍が近付くと斉射された。

 いくら大型の弩とは言え水平射出で丸太を射出するのだ、討伐軍は届く訳がないと高を括って前進を止めなかった。


 丸太は討伐軍には届かなかった。

 直接は届かなかった、しかし街の通りは石畳になっていて1度地面に着いてもバウンドして討伐軍を襲ったのだった。

 ワンクッションあったため威力が落ち丸太1本で3~4人にしか被害を与えられなかったが、討伐軍の進行速度を減退させる事はできた。

 減退した所に第二射を放った。

 放ったと同時に弩は分解してしまった。

 急拵えの出来だったので仕方ないだろう。


 2射目で更に30人弱の被害を出した討伐軍だったが弩が分解したのを見ると勢いを強め同盟軍兵士に襲い掛かった。




 脇道の丸太の射撃でも進軍が減退すると、やはりこれでも溢れる兵士が出た。

 溢れた兵士は更に脇道に入って行った。

 そこには市民らしき者たちが居た。

 居たと言っても家屋の中で何かが動いた影が見えた気がしたレベルの話なのだが。

 今まで通過してきた町では、そんな気がした事もなかったので居る可能性がある。

 兵士達は手分けして捜索をする事にした。


 いつでも、どこにでも、間が悪く遅れてやって来る者はいるのだ。

 この2人も派手に家探しを開始した現場に遅れてやってきた。

 なぜか分からないが、すでに家探しをしている家で参加しようとすると怒鳴られて追い出されてしまう。

 参加できないのなら、まだ誰も入っていない家はないかと見渡して見るのだが、目ぼしい家は最中か終わってるかのどっちかだった。

 仕方なく辺りでも1番古く元から空家だったのではないかと疑問に思える家に入った。


 玄関を開けるや否や家の奥で物音がした。

 取り合えず人が居る様だ、女なら犯してから男なら切り刻みながら金の有りかを吐かせて殺す。

 これを同意して2人は顔を見合わせて頷き奥へ入って行った。


 遅れて来た割に運が良い2人だった。

 奥には母娘が身を寄せ合ってへたり込んでいた


「へへっ、若い方を俺が貰ってくけど文句あるか?」


「いや、ない。母親の方が好みだ」


 喧嘩することなく分担が決まった。


「早いとこ逃げとかねぇあんたが悪いんだぜ」


 そう言いながら近付いて行った。

 手の届くところまで行くと荒々しく衣服を破り上半身の裸にした。

 娘が居る年の割に張りがあって形の良い胸をしているのを見て男は一気にヒートアップした。


「良い身体してんじゃねえか、最後に俺が楽しませてやるぜ」


 男はズボンを下ろし母親のスカートをたくしあげようとしたところで、ナニを掴まれた。


「・・・この程度のナニで私を楽しませる?・・・こんなんじゃ入ってるかも分からないわよ?」


「な、なんだと!」


 男は怒りで顔が真っ赤になっていた、そして黙らせようと殴り掛かろうとした時。

 母親の身体が変化していった。


「私ね、やってるとこうなっちゃうのよ?そのナニじゃマッチ棒と変わらないのよ?」


 母親は全身に毛が生え耳がとがって来て、鼻が口と共に前に迫り出してきて牙が生えていた。

 身の丈も男より頭1つ大きくなっていた。


「最後にやってあげても良かったんだけど、お粗末すぎるから・・・無しね」


 母親は男の喉を切り裂いていた。

 さっさともう1人を始末していた娘・ハルは呆れ気味で聞いていた。


「母さん?・・・その言い方じゃただの欲求不満の好き者になっちゃわない?」


「そうかしら?父さん死んで随分経つし、あなたも嫁に行っても良い年齢だし、ご無沙汰だったからいいかな~なんてね」


 娘は軽い頭痛がしてきていたが自分達は任務中だと母親に言って屋外に出た。

 他の仲間達8人はすでに初期任務を達成して路上で母娘が出て来るのを待って居た。


「遅かったな」


「母さんがちょっとね・・・」


「ミラ隊長、相手だったら俺がするぜ?」

「いやいや、隊長の相手は俺が!」

「ミラ隊長みたいな綺麗な人とやってみたいです!」


 他の女性隊員は軽蔑を込めた視線を送っている。

 節操ない台詞だったから仕方ないだろう。

 彼らの吐いた台詞は全女性隊員に伝わるのは時間の問題だな。

 彼らに幸あれー・・・きっとないだろうけど。


「ふふ、人狼相手なら私より強くないとダメ~」


 ミラがそう言うと皆黙り込んでしまった。


「・・・母さんより強い人狼ってテシウスさんくらいじゃないの?」


「そう?そうかなー?それじゃ・・・この戦いで頑張ってみなさい、頑張りによったら考えとくわよ」


「「「マジか!やったるぜ!!」」」


――考えるだけねー。


「それじゃ殲滅といきましょうか」


 ミラの号令一下ごうれいいっか、人狼隊10人は敵の密集しているところに向かった。





討伐軍の貴族はこの防衛戦でしかでてきませーん


それと、騎馬隊ってのは王族のみ編成して良い部隊って設定してあります。

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