朝食の会話
僕はジッとそれを見ていた。
自分の常識では考えられなかった出来事をジッと見ていた。
これって夢だよね?
地球が丸く見えるし。
陸地が海になったり凄く大きい湖になったり。
海が割れて陸地になったり山脈ができたり砂漠が出来たり。
だいたい『なんだろう?』って思った物が細かい所まで見えるようになるっておかしいでしょ?
やっぱりこれは夢だね。
でも・・・夢って分かっても、これは見ちゃうな。
唖然と呆然を同時に起こして魅せられていると。
「お!居た居た、探しちまったぜ」
突然に声を掛けられた。
声の主の方を向くと・・・
「ジン~起きなさーい。お父さんが席に着くまでに起きてこないとジンの分のご飯は食べちゃうからね~」
一気に目が覚めガバッと起き上がった。
お母さんは冗談じゃなくホントに食べるから急がないと!
ズボンを穿き上衣を着て台所兼食堂に向かった。
「おかあさん、おはようございます」
おかあさんはこちらを向き。
「あら~起きて来ちゃったのね残念。ベーコンをもう1枚食べれると思ったのに」
にこやかに冗談っぽく言ってはいるけど、普段から
『自分で言った事は必ずやりなさい』
と、有言実行をする男になりなさいと教育してくる人だから、ベーコンを食べれなくて心底残念がってるのかな?・・・穏やかな笑顔って本音が読めなくて困っちゃう。
笑顔って最強なのかもしれない。
それはさて置き着席してお父さんが来るのを待った。
でも何でだろう、あの夢をたまに見るようになってから寝坊する事がおおくなったな。
見るようになったのは・・・お父さんに300年前にあった天変地異の話を聞いてからだったかな?
あれって天変地異の夢だよね?凄い事が昔あったんだなーって思ったけど夢にまで見るとは思わなかったな。
僕って意外と想像力あるのかもな。まあ、何の役にもたたないけどね。
なんて事を考えてると、お父さんがやってきた。
「やっと来たわねー、ご飯にしましょう」
本日の朝食は・・・
いつもと同じメニュー。
パンと根菜のスープと目玉焼きとベーコン2枚。
お母さんは自分が美味しいもの食べたいせいか料理に関しては手を抜かない。
パンは自家製、根菜のスープは寝る前に仕込んでいるから根菜に味が染みている、目玉焼きもうちで飼っている鶏の生みたて卵を使用している、ベーコンは流石に買ってきているけども少し厚めに切って1枚を軽く火を通す程度のジューシーな仕上がりで、もう1枚は表面がカリカリになるまで火を通してある。
僕はジューシーな法のベーコンを目玉焼きと一緒にパンに挟んで食べるのが好きだ、カリカリの方は小さめに切って根菜のスープに入れて食べると美味しいんだ、毎朝大満足のご飯だ。
ご満悦の朝食を頬張っていると、おとうさんが。
「1週間ほど前に貴族連盟の子爵と男爵の抗争が公爵の介入よって終わったそうだ」
「あら?ほんとに?それじゃ解雇された傭兵がやって来るのかも知れないのね?」
「モグモグ」
「十分にあり得るな、今回も決着がつかなかったから恩賞は出てないだろうしナワバリに戻る前に一稼ぎと考えてる輩は居るだろう」
以前村に来た傭兵のおじさんに聞いた話だと、傭兵ってのは2種類いて戦争・抗争に参加するかしないかで分かれる。
参加しない人は護衛や警護なんかの守る側を仕事としていて傭兵ギルドに登録している。
もう1つの参加する方の傭兵は野盗とか山賊とか他人を襲撃するのを生業にしてる。守る側の仕事を任せる事は出来ないから、もちろんギルドには登録できない。
今回の子爵と男爵の抗争みたいに決着がつかなくて解雇されると、稼ぎの額が少ないから遠回りでナワバリに帰るルートを選択して悪事を働きながら行くそうだ。
「ジン。暫くの間は村からでる時は大人が近く居る所にしなさい」
「はーい」
「今日はどっかに遊びにいくの?」
「うん、午後から尚華ちゃんと遊ぶ約束してるよ」
尚華ちゃんは隣(といっても50m程離れているけど)の農家の1人娘だ。
「遊ぶのは家の近くなの?」
「弓の練習もしたいって言ってたから、おじさんの居る畑の方だと思うよ」
「そうか、北の農地か・・・手の空いてる大人で北側は警戒に当たる事になっているから大丈夫だろう」
「ちょっと心配だけど・・・お父さんそう言うなら大丈夫かな」
「ジンも帯剣して行くんだぞ、刃落ちでも無いよりはずっとましだからな」
この村では、8歳になると何かしらの武術を学ぶ。
貴族連盟でも指折りの仲の悪さの子爵・男爵の領地に近い場所柄と言うのもあるが、村の北の農地の先には大型の獣や魔獣が住み着いている森があるのだ。
時折森から出てきて農地を荒したりするので鉢合わせた時の自衛の為にでもある。
獣や魔獣に知恵は無いが武器が自分を傷つける物と認識しているらしく、武器を構えると様子見し始め逃走の隙が出来るのだ。
「はーい、でも僕はまだまだ上手に扱えないから・・・」
「そーなのか?銀は防御は中々様になって来たと言ってがな」
銀ってのは、鍛冶屋で僕たちに剣術を教えてくれてる人。
どっかの流派の師範の資格を持ってるらしい。
「それは、子供同士でやってる時だけだと思うよ?先生と稽古すると2~3回受けたら手が痛くなっちゃうもん」
「まぁ、銀は達人の域まで到達しているからな」
――手抜きとはいえ銀の剣を2~3合受けれるのか、確かに逸材なのかも知れないな。
ちょっと物騒な会話をしながらの朝食を終えて剣術の稽古に行く時間になった。
刃落ちのショートソードを帯剣して村の中心にある鍛冶屋の裏の資材置き場に向かう。
「お母さーん、行ってきまーす」
「は~い、頑張ってらっしゃいね~」




