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西方・王国建国(落選者登場)

 ここはルクナガルドの街。

 ここでもラグリナスがファシリアス同様に此度の戦争の原因の暴露と自分を助けて欲しいと領民に向かってお願いをしていた。

 ここでも将兵や住民の反応は良好で多くの人が賛同してくれていた。

 同様なのは両親の反応も同様で避難に対して首を縦に振る事は無かった。

 これまた同様にラグリナスが折れる形で結論となった。


「閣下」


「ガフォードよ俺はもう侯爵ではないぞ?」


「ならば何とお呼びすれば?」


「ふむ・・・隠居・・・は、まだ早い気がするな。・・・分からん!閣下で良い」


「はっ。それで、召集を掛けようと思います」


「ふむ・・・人数は如何程居るのであったかな?」

「戦闘を行える者は1000人程です」


「竜人が1000人か・・・普通に考えれば十分過ぎる数なんだが」


「おそらくは、ガムラミット側もホルビス山の隠里の一族を招集するかと思いますが」


「隠里?・・・人狼か」


「はい、この事態に召集を掛けぬとは思えません」


「そうか、ならば我等も出し惜しみは出来んな。頼む」


「はっ!我等は土竜の眷属、防衛とゴリ押しならば他種族に遅れは取りませぬ。活躍の程を御覧あれ」


 こうしてルクナガルド侯爵も切り札を手に入れたのだった。

 

 その後は部隊の編成を行い、急ぎ集結場所に決めた中州廃城に向かった。

 中州廃城は中州と言うだけあって川に囲まれた陸地に作られた城なのだが、その中州と言うのが切り立った崖で出来ていた。

 ラモネズ川上流域は渓谷の様相を呈しており、中州廃城のある辺りは川面まで50mはある崖になっているのである。

 正に守るに易し攻めるに難しの典型の様相であった。

 しかも、対岸へ渡る橋は中州廃城にしかない。

 もし後ろから挟み撃ちをしようとするならば、7~10日を掛けて迂回しないとならない。

 その迂回路も平坦な道程ではなく生い茂る樹木をかき分けて、頻繁に出没する猛獣・魔獣などを警戒しながら進んでやっとの思いで裏側へと回り込める。

 まともな指揮官なら、その作戦は選択しないであろう。

 ガムラミット・ルクナガルド同盟軍(以降、同盟軍)は合流すると東西の橋の両端に防壁と櫓の建築を開始した。

 元々国境警備隊の砦が有ったのでそれをベースに、より強固にしていった。

 取り敢えずの木製の防壁が完成する頃にテウシス率いる人狼一族200人とガフォード率いる竜人隊1100人が到着した。

 これで同盟軍は。

 ガムラミット侯爵軍3800

 ルクナガルド侯爵軍3700

 人狼一族200

 竜人隊1100

 の8800人となった。

 人狼や竜人は人種ひとしゅより優れた能力を持っているので実質1万を超える戦力が揃ったとみても良いかも知れない。

 

 取り合えずの木製の防壁が完成し、竜人による石壁への強化が行われている時ルクナルドの街から討伐隊が移動を開始した報告が入った。

 早ければ10日後にはルクナガルド領に入るだろうとの事。



 その頃。

 メヤ公国に白の森からやって来た船が到着した。

 白の森とはエルフ・白氏族が治める森で滅多な事では外との交流を持たないので有名であった。

 その白氏族の船が来たとあって港は騒然としていた。

 だが、白氏族の船は人を2人降ろすと補給も何もせずに出航して行った。

 直ぐに出航した事に訝しむ声も上がったが。

 今は降ろされた2人に注目が集まっている。


「ここがメヤ公国か、流石に森とは違うな」


「そーですねーエルフ以外の人種ひとしゅがこんなに居るのは私も初めて見ますー」


 2人は衆目に晒されるのに慣れているのか。

 それとも気にしない性格なのか。

 周りから見られている事を全く気にしていない。

 ・・・ただ鈍感なだけかも知れない。


「さて行くとするか、戦場が俺を待ってるぜ!」


「えぇーもぅですかー?1泊しないんですかー?」


「戦場が逃げたらどうすんだよ!」


「戦場は逃げませんよー」


「わかんねぇぞ。戦場は生き物って言うだろ?足が生えて逃げるかも知れねぇだろ!」


「ウィンザー様ー・・・それは言葉の綾って言うものですよー」


「ん?・・・そうなのか?まぁ兎に角だ!行くぞ!」


「じゃぁじゃぁ。せめて美味しい物だけでも食べましょうよー」


「美味いもんか・・・それは良いな、良し!買おう!アム!どれを買うかはお前に任せた、弁当として持ってこう」


「はいー♪」


 彼こそが。

『約束された勝利』

 カートライト一族の末裔、ウィンザー・カートライトであった。

 彼は人より頭1つ高い身長をしており大体190cm程ある。

 身体つきも通常のそれと違い筋骨隆々であった。

 しかしその身の熟しはしなやかで猫科の動物を連想させた。

 髪型も特徴があり、どこぞの野菜の惑星の元王子の様に総髪が天に向かって伸びていた。

 この髪型のせいで身長が2mを超えている様に見えてしまう。


 ウィンザーにアムと呼ばれた者は名をアムネジアといい、白エルフであった。

 白エルフはその呼び名の通り何もかもが白い。

 肌は勿論、髪も目も白かった。

 目は正確に言えば薄いグレーなのだが、近付いて良く見ないとグレーだと気が付かない。

 そしてエルフに共通して言える事なのだが、ゆったりした服を着ていると性別の判断がつかない。

 口調や声質からすると女性の可能性が高いのだが、確定は出来ない。

 髪型はショートで前髪で片目を隠していた。

 この髪型からも性別の判断出来なかった。


「ウィンザー様ー美味しそうなのいっぱい有りましたよー♪」


「おぉっ!流石だなっ!!お前の食い意地は確かだなっ!!どれも美味そうだ」


「でしょー♪ほらー!この串焼きー、サンドイーターさんのお肉なんですってー」


「サンドイーター?食った事ないな、美味いのか?」


「分かりません!でも美味しそーな匂いしてたからー。ウィンザー様ーこっちのお魚さんも凄いですよー!!」


「ぬぉ!・・・デカいなっ!」


「はいーっ!この辺りいるお魚で一番大きい種類って言ってましたよー。それを1匹丸々燻製にした物ですよー」


 その魚は本当に大きかった。

 1mを有に超えていた。

 普通ならば切り分けて1~2日掛けて小売りにして完売させる物をアムネジアは1匹丸ごと買って来た。

 さっきのサンドイーターの串焼きも本来なら1本が4~5人前で10本も買って行く人なぞまず居ない。

 他にも腸詰め・燻製肉・塩漬け肉・塩漬け魚・パン・漬け物野菜・塩・香草などなど大量に購入していた。

 常人2人なら2ヶ月程は食い繋げるだけの量は有る。


 そもそもの疑問として、エルフは菜食主義なのでは?

 と、言うのがあるが、エルフは菜食主義などでは無いのだ。

 彼等は住まう森の生態系を崩さない程度の狩りしか行わないし畜産も行わないために滅多に肉を食さないだけなのだ。

 彼等の食糧庫には塩漬けされた肉や魚が、しっかりと保管されている。


「さって、食いもんも買ったし行くかっ!」


「はいー」


 さっきと違って食糧を買い込んで満足したのかアムネジアにも異論は無いようだ。


「あれー?ウィンザー様ーそっちは道が無いですよー?」


「ん?あの山の向こう側が戦場なんだろ?なら真っ直ぐ行った方が早えぇだろ?」


「え? えぇー?あの山を登るんですかー?」


「その方が早えぇだろ?」


「いや、だってー山の上の方ででっかい何かが飛んでますよー?」


「ん?・・・鳥か?それともワイバーンか?俺には見えん!」


「流石にそこまでは分かりませんー、だから危ないから道なりに行きましょうよー」


「・・・そのでっかいの・・・美味いのかな?」


 ピクッ!


「味はまぁまぁだとしてもだ、肉は大量に手には入るだろうな」


 ピクピクッ!


「ウィンザー様ーさぁ参りましょー!でっかいのが私に食べて欲しいと呼んでいますー」


一旦ここで天元のジン君に話を戻します。


ウィンザー様とアムちゃんはギャグ要因じゃありません。

あれが素なんです。

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