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噂話

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 翌朝

 空元気のスキルをマスターした僕は両親に心配させまいと、遺憾なくスキルを披露した。


『俺はスキル制度は採用してねーぞ!』


 と、天の声が聞こえて来そうだが、本来の意味の技能・技術って意味では間違ってないと思うからスキルで良いと思う。

 そんなに苦労もしないで習得した空元気を両親に使わないといけないのには理由があった。

 尚華しょうかの状態は両親も知る所なので、僕が凹みに凹んで井戸の底に居る状態でも納得はしてくれるだろうけど、事件当日の夜から何やら深刻な雰囲気で話しているのを目撃してしまったのだ。

 議題は間違いなく僕の事だけど、何をそこまで深刻に話してるのだろうか?

 ウィル(水竜王)さんとの会話はお父さんも聞いていたから、記憶を少しは取り戻した事を知っているし、ウィルさんの去りぎわの台詞を僕も聞いてるから、僕が養子だって事に気が付いてる事も推測してるだろうし。

 まだ何か有るのかな?


『実は私、ジンのお姉さんなの』


 とかお母さんに言われたらどうしよう?

 あの人は・・・冗談っぽく言うけど、本音しか言わないからな。

 初めて聞く冗談がそれだったら全然笑えないぞ?

 いや、マジでどうしよう?


「ジーン、居るかー?」


 あの声は剛義だな。

 こんな朝早くから何だろう?


「あら~剛義君おはよう。ジンなら部屋にいるわよ~」


「レイさん、おはようございます。部屋ですね、わっかりましたー」


 お母さんは、『おばさん』とは誰にでも呼ばせない。 


『二十歳(自称)のお姉さんに向かって『おばさん』は無いでしょう?』


 と言っていたのだが・・・

 いや、まてよ。

 僕は実子じゃないしホントに二十歳なのかも?

 十歳の身空で育児・・・出来なくはないな。

 でもそうすると両親はかなりの年の差婚。

 それ以前に、お父さんはお義兄さんって事に・・・

 と言うか、そもそも未成年と結婚できるかな?

 出来たとしても、お父さんはロリコン?いや・・・ロり婚か。

 ・・・ 

 ・・ 

 ・

 止めよう・・・

 僕には難しすぎて分からない。

 ロリコンっていったい何だろう?意味が分からないな。

 僕には分からないんだ、きっとそうだ。


「ジン?・・・頭抱えてどうしたんだ?痛いのか?」


「いや・・・なんでもないよ。痛くないから大丈夫。それより、こんな早くに来るなんてどうしたの?」


「あ・・・うん。それがな・・・ジン!ごめん!」


「?}


「実は、昨日・一昨日って村の人にジンの事を話してたんだ。ジンは凄かった、俺もあんな風になりたいって」


 どうやら剛義は怖さより凄さに目が行ったみたいだ。

 そして、あれを自分の目標にしたらしい。

 強さと勝ちに拘る剛義らしいな。

 

「んでな、今朝パンを買いに雑貨屋に行ったらジンの話をしてるおばさん達がいてな、その内容がおかしいんだ」


 内容がおかしい?

 剛義は凄かったってほめてたんだよな?

 どうおかしくなるんだろ?

 これも全然分からないぞ?


「おかしいって?」


 聞いてみた時

 玄関のドアが勢いよく開いて閉まる音がした。


「レイさん!おはようございます!あっ!お邪魔もします」


「あら~蒼麗ちゃん、おはよう~」


 挨拶もそこそこに足音が近づいて来るのが聞こえる。

 蒼麗がこんなに慌てるのは僕等が馬鹿な事をする時くらいだけど・・・

 まだ何もしてないし、する予定もないんだけど。

 まさか!?

 昨日の事をやっぱり怒ってるのかな?


「ジン君!村の方に行っちゃダメだよ」


 部屋に入って来るなりそう言い放った。

 それってのは、剛義の言っていた内容がおかしいって事に関係してるんだよな。

 蒼麗がここまで慌てるって事は、相当酷い言われようなのか?


「あっ!!犯人発見!!剛義君!!君は何て事をしてくれたの!!」


「姉ちゃん・・・俺はただジンが凄かった、それを目標にするって言っていただけだよ」


「それだけ?・・・それじゃ何であんな言われようしてるの?」


「俺にも分からないんだよ・・・でも、俺のせいかな?って思ったから謝りに来たんだ」


 どんな言われようをしてるのか全く分からない僕は二人の話に置いてけぼりを喰らっている。

 あれかな。

 恐怖の化身現る的な事かな?

 

「そう・・・謝りに来たの。そこは褒めてあげる、ちゃんと謝れるのは良い事だよ」


 少し冷静になるためにかな?息を整えている。

 整えて落ち着きが出てくると。


「故意に悪口を言ってたなら謝りになんか来ない。そうよね?」


「俺はジンの悪口なんか言わない!」


「そうね。疑ってごめんね。でも、なら何で私のジン君があんな言われようをしてるのかしら?」


 ん?私の?ん?・・・ツッコミ入れてもいいのかな?

 真剣に考え込んでる二人と全く事態を理解してない僕との間には温度差があったから気が付けたのか。

 ここでツッコミ入れたら空気読めない奴になっちゃうんだろうな。

 すっごく気になるけど・・・スルーしかないか。

 それじゃ、空気を読んで質問しよう。


「あのさ、僕は全く何の事か分からないんだけど?何て言われてるの?」


「え?・・・そのー・・・」


「それがだな・・・ジンは怒らせると竜を呼び出して全部を破壊するとか」


「はっ?何それ?呼び出す事なんて出来ないよ?」


「俺達が移動始めて直ぐに竜が二匹来ただろ?それを他の人も見ていたらしくて、ジンが竜を呼んだって思ったのかも知れないな」


「それ有り得るわね、ジン君が怖いってのが強かったからビックリする位だったけど、あそこに居なかった人からしたら竜が出てくるってのは恐怖だろうからね」


「だろ?それにな、ジンが竜達から何か貰ってたってのも聞いたんだ」


「私も聞いたよ、それが竜を呼ぶ手段なんじゃないか?って言ってたよ」


「あれは、精霊の守護者から加護を授かっていたんだよ?」


 あれは傍から見たら何らかの契約をしている様にしか見えないか。

 でも僕の隣には、お父さんと夜徳さんが居た。

 その辺りはどうなってるの?

 真相を知ってる人に確認取るのが手っ取り早いとおもうのだが。

 それをしないから妙な噂話になって、尾鰭がついて有り得ない事で怯えるんだろ。

 馬っ鹿じゃなかろうか。


「ふぇ?ジン君?竜から加護を授かるって・・・すっごく凄い事なんじゃないの?」


「うん!そんなのお伽話でも聞いた事がないぞ。加護を授かるとどうなるんだ?」


 ちょっと考えた。

 この二人は僕を心配して忠告に来てくれる人達。

 剛義は口止めすればペラペラ喋って回る事はしない、蒼麗は自分の判断で余計な事を言って回る事はしない。

 力の事、話しても良いかな。

 記憶の事と生き直しをしてるってのは言葉だけで信じて貰えるか分からないから話さなくていいかな?

 ・・・うん、力の詳細について話そう。


「加護を授かるとね・・・・・」


 二人に話した。 

 あの力がどんなものなのか。

 心身の成長と共に増大する事。

 力を自分で制御出来ない事。

 制御するには加護と祝福を授かる必要がある事。

 二人は話してる間、黙って聞いていてくれた。

 一通り話し終わると。


「私は納得いったかな、ジン君じゃない感じがしたのは、ジン君が私に向けた事の無い感情を感じたからなんだね」


「俺もだな、全部が増幅するとあんな風になるのか・・・何か1つじゃダメなんだな」


「あのね、この事は誰にも話さないで欲しいんだ、出来る事なら使いたくないんだ、だから誰かが話を聞いて確かめに来られても困るしね」


「そうか・・・ちょっと勿体ない気もするけどジンがそう決めたんなら俺は誰にも言わない」


「もちろん私もよ、ジン君が困ってる所は見たくないしね」


「うん、二人ともありがとう」


 その後は、噂話が下火になるまで剣術の稽古には行かないと銀先生に言伝を剛義に頼み。

 蒼麗には気にし過ぎて昨日みたいになっちゃダメよ!と釘を刺された。

 まだ・・・昨日のまんまなんだけどな?

 スキル・空元気の効果は抜群だな。

 でも、スキル・空元気は封印かな。

 少なくとも僕を心底心配してくれる友達が二人居る。

 それって凄く嬉しい事だと思う。

 そんな二人を空元気なんかで騙すのはやっちゃいけない事だもの。

 いきなり凹みをなくすのは無理だけど、前だけはしっかり向いてなきゃな。

 

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