二話 詰問 〜キツモン〜 「相手を問い詰めること」
どうも、最近ツイッターを始めた凩です。
アカウントは持っていたものの、時たまニュースを眺めるだけで使ったことはほとんどなかったんです。そしたらなろうアカウントを作ると良いとのことが初心者の勧めに載っていました。よし、やってみよう!
と、いう訳で 凩@なろう でツイッター始めました。よろしければフォローお願いします。
さて、どうにか約束通り、土曜日に間に合わせることが出来ました。本当に良かった……。今回は千歳による壁新聞部紹介を兼ねています。そのため少し多いですが(僕的に)、内容は軽いです。
くるりくるりとペンを回す。退屈だ。それもひどく。教壇に立っている古典の教師は何かしらの催眠波でも出しているのだろうか。後ろ高列の俺から見える景色は実に美しい。最前列まで突っ伏しているんだから、あの五十過ぎのおじいさんはよっぽどすごいのだろう。俺はペンを回し続けつつ、そんなことを考える。
最後列という安泰の位置を得ながら、食後の襲い来る睡魔にも、睡眠学習者が多い教室特有の生暖かい空気にも負けずに俺が起きているのは真面目な生徒だからだ。……という訳がなく、いつもなら自分から寝ることはなくとも周りに流されているだろう。
それなのに俺が今起きている理由はただ一つ。手元の400文字原稿用紙にほかならない。大分埋まってはきているが……。題材は「この学校の部活一つについて」。
俺は壁新聞部に所属している。これもその紙面の一つなんだが、絶望的なまでにこの題材は俺に合ってないらしい。
まぁ、なんとなく予想は出来ていた。だからこそ、先輩に異議申し立てをしてまで反対したのだ。何しろ俺は元々帰宅部所望だったし、壁新聞部OGである母親に恐喝紛いのことをいわれなけば、壁新聞部なんぞには絶対に入部しなかっただろう。
そんな俺が部活の魅力を他人に向けて上手く発信出来る訳がないと思うのだが。とはいえ、文句ばかり言っていても始まらない。結局はやらざるをえないのだ。
俺は手元の原稿用紙に目を落とし、一つ溜め息をつくとまたペンを回す。あ、と思った時にはペンが俺の手から滑り落ち、カチャリと乾いた音をたてて床に落ちた。
……誰も起きる様子はない。古典教諭も振り向く様子なし。俺はペンを拾うと、また襲い来る睡魔と戦いはじめた。
(千歳)
あ、あの、えーと。私はどうすればいいんでしょう。と、とにかく、喧嘩は良くありません。止めるべきですよね!
「あ、あの……もう、いいんじゃないでしょ……」
「さっちゃんは黙ってて! そもそもは悠ちゃんが私に行ってきたんじゃない、一緒に帰ろうって」
「そ、そうでした、貰い物のクッキーありますよ、お二人ともいかがですか」
「別に言った後に変えるのはいいのよ、理由があるかもしれないし。でもそれなら連絡しなさいよ、携帯持ってたんでしょ! 」
「奏さん、あの、少し落ち着きましょう? 」
「大体悠ちゃんはよく気がつくし、別に意地悪というわけじゃないけど、どこか根本的なところで優しさが少し足りないのよ、いつもそうやって自分の好奇心で突っ走って、そうなると全く他のことを顧みないじゃないあの後結構大変だったんだから悠ちゃんを探し回って電話も何回もしたのに出ないからどうしたのかと心配したのよそれでさっちゃんにどうしようって連絡したらもう帰ってるっていうじゃないどうせそうなるとわかってて敢えて考えないようにしてたんでしょなら連絡の一本や二本ぐらい入れなさいよ」
ど、どうしたらいいんでしょう? 奏さん、全く話を聞いてくれません。ものすごい剣幕です。
えーと、何でこんなことになってしまったのでしょう。どなたか、早く来てください。私は心の中で強く祈りました。
■
逃げるように藤宮さんが去っていきます。先週の紙面で藤宮さんはエッセイを担当していたのですが……。火曜日に提出しなかったのです。
基本的に私達壁新聞部は一週間に一枚の壁新聞を作っています。これはかなり早いペースなのではないでしょうか。もっとも、他の学校に壁新聞部があるのか、どのくらいのペースでがいているのかは知りませんが。
はっ、脱線してしまいました。えーと、何の話でしたっけ? ……! そうです、藤宮さんが火曜日までに提出しなかったという話でした。
一週間で一枚の記事を作るといっても、流石に一週間で完璧に調べるのは難しいんです。ですから、私たちはふたチームに分かれてそれぞれで描いています。例えば一年生なら計六人いるので、三人ずつに分かれて今週はチーム1、来週はチーム2、また再来週はチーム1、といった感じです。つまり、二週間で記事を書いている、ということですね。
それで火曜日という日についてですが、これは壁新聞が出来るまでの行程をお話しなければなりません。上手く説明できるか自信はありませんが……。
まず壁新聞部が作った壁新聞は週のはじめ、月曜日の朝早くにいたる場所の掲示板に貼られます。月曜日は担当した人達が早めに来て、貼り替えていくんです。ちなみに藤宮さんはこれがとても速いんです。学校の掲示板の位置や数を把握していて、先輩達を驚かせていましたね。勿論、先輩方は慣れたもので場所や数はわかっていますよ。
あ、また脱線してしまいました。閑話休題、本筋に話をもどしましょう。そういえば、「閑話休題」という言葉、意味を勘違いされている方も多いのではないでしょうか。「閑話」とは無駄話、とりとめのない話をのことです。それを「休題」するということは無駄話を辞め、本題に話を戻すということです。どうやら、逆の意味だと思っている方も少なくないみたいですね。
……また、やってしまいました。今度こそ、話を進めましょう! すぅ、はー、ふぅ。よし、大丈夫です。
えーと、確か、壁新聞部の活動行程でした。月曜日に貼られた壁新聞は次週の月曜日まで掲示され続けます。ふと掲示板に壁新聞を見つけ、それを読んでいる方がいると、本当に嬉しくなるものです。この後、次の記事の為に取材をしたり、調べたりと奔走します。大変ですが、非常にやりがいのある活動です。
そして、問題の火曜日とは何の日なのかというと、原稿提出の日なんです。私たちが作る壁新聞はただ模造紙に書いてあるのではありません。パソコンで打ち直して、印刷しています。ですから、その為の大きな印刷機や、紙は部室でもあるこの教室に用意しています。
原稿を出して書けば終わりではないんです。予定通りに進んだ場合だと、火曜日に提出された原稿は校正されます。校正は私の得意とする分野なので、自らやることも少なくありません。壁新聞部では校正の際、基本的に突き合わせという方式を取っています。それに、正しいかじっくり読むことが出来ますから、色々と知ることができるんです。読んでいて飽きません。
さらに校了となった原稿は編集され、紙面に割り振って印刷すれば、完成です。
……ふぅ、どうにか余りなく説明出来たでしょうか。少々疲れてしまいました。
私は椅子の下に置いた鞄から箱を取り出します。その箱は綺麗な包み紙で包装されているので、丁寧に包装をはがすと箱の蓋をあけました。中身は個包装された沢山のクッキーです。優に100個はあると思います。つい昨日頂いたものなのですが、私個人に対してなので、ここで皆さんに食べて貰っても問題はないでしょう。
私はそんなことを考えながら校正を始めました。提出済みの原稿入れボックスから何枚かを取り出し、赤ペンを右手に持ちます。ミスだと思われる所にチェックをつけたり、疑問点を書き留めたり。特に読点などは要チェックです。何度も声に出して読み返し、読みやすい様に考えます。
気がつくともう5時半を少し過ぎたところでした。そしてハッとします。
――私の手元に転がるのは10個ほどの空の個包装が。
またやってしまいました。この前もつい、無意識の内にお饅頭を5つほど食べてしまいましたし、その前は干し柿を4つも……。幸いなことに私は食べてもあまり太らない体質なのか、そこまで体重は変わりませんでしたが、それでも良くないことには変わりありません。
少し自分に溜め息をつきながら私は校正し終わった原稿をまとめ始めます。それにしても皆さん遅いですね。藤宮さんが出掛けてから1時間は経っているのに、まだどなたも来ていません。
取材が進んでいないのでしょうか。そんなことを考えつつ、無意識にクッキーの方へと伸びた自分の手に叱咤します。危ない、油断も隙もありません。……自分の手ですが。
その時、鼻歌が廊下の方に聞こえました。段々近づいて来ます。もしかしたら壁新聞部の誰かかもしれません。少し私は期待します。私は特に寂しがりということはありません。ですが、それなりに広いこの教室で一人で作業していると、流石に人恋しくなります。階段のすぐ近くという立地条件上、人通りは多いのでなんともいえませんが何となくふじ……
「あれ? 千歳さん一人かい? 」
私の予想は的中しました。なかなか廊下で離れた教室の中まで聞こえる鼻歌を堂々と歌える人はいません。
「お疲れ様です、藤宮さん」
「千歳さんこそ、校正お疲れ様」
藤宮さんはチラリと校了原稿の方を見て言いました。そして肩掛け鞄からメモなどを取り出すと鞄の方は机に投げ出す様に置きました。何か良いことでもあったのでしょうか、しきりに嬉しそうに笑っています。
「藤宮さん楽しそうですね」
私がそう話しかけると藤宮さんの方は待ってました! とばかりに大きく頷きました。
「それはもう、嬉しくもなるさ。最初は図書館で資料を調べていたんだけどね、今ひとつこれといった目玉が見つからなかったんだ」
「でも、他にいい調べる方法はなかなかありませんよね」
本で無理だったのなら、インターネットでも変わらないでしょう。藤宮さんの調査不足ということも有り得ますが、あまり考えられません。
「そうなんだ。端から端まで目を皿の様にして文献を漁ったんだけどね、どれも似たり寄ったりでさ。それでもいいんだけど、少し記事として、インパクトが足りなかったんだ」
「インパクト、ですか……」
「そう、だけどね、僕はそこで見つけたんだ!」
そこで藤宮さんは一呼吸置きました。その間に吸いこまれる様に私は「何を、見つけたんですか?」と尋ねていました。藤宮さんの目が悪戯っぽく輝きます。
「この地域の夏越しの祓について文献には詳しく書かれてない。なら、分かる人に聞けばいいんだ」
私は目を丸くしました。つまり、この高山市で夏越しの祓を大体的に行う神社、知織神社の方に取材してきたということでしょう。藤宮さんが出発してから帰ってくるまで、1時間と少ししか経っていません。その間にすぐに決断したのでしょう。
「結果、すごく面白い情報を手に入れたんだ。何でも、知織神社は200年前から一度も欠かすことなく夏越しの祓を行ってきたらしいんだ。この辺りは農業従事者がほとんどだったから、苗を植え、水をはり、そして収穫する後半年の健康を祈る夏越しの祓は重要視されてたみたいだね」
ま、ほかにも沢山あるんだけどね、と藤宮さんは続けました。なるほど、様々な背景と思いがあの祓いにこもっていたんですね。少し感じ方が変わりました。
「ただ、こういう農業が元になる話は千歳さんが詳しいと思ったんだけどな」
藤宮さんは本気で不思議そうに言いました。確かに私の家は名家かはわかりませんが、元は地域一番の豪農だったと言われています。藤宮さんはそんな家の長女である私が知らなかったのを不思議に思っているのでしょう。ですが、それには理由があるのです。
「……実は」
しかし言いかけた言葉は流れるような音楽によって遮られてしまいました。少し私は話さなくて済んだとホッとします。
音楽の元は私のスカートのポケットからでした。携帯の着信音です。表示を見ると〈奏さん〉となっています。何かあったのでしょうか。ふと藤宮さんの方を見ると、何やらしまった、という顔をしています。気になりますが、取り敢えず電話に出ました。
「もしも……」
「もしもし、さっちゃん? 悠ちゃん知らない?」
「藤宮さん、ですか?」
私がそっと横目で藤宮さんの様子を伺うと、藤宮さんは両手を頭の後ろに組んで外を見ています。心なしかその横顔は引きつっているようにもみえます。何かあったようですが……。
「そう、悠ちゃん。図書館で会って、一緒に資料調べてたのに40分ぐらい前にいなくなったっきり見当たらないの。さっきからずっと探してるのに」
「え、えーと、藤宮さんなら……」
「まぁ、確かに悠ちゃんなら大丈夫だとは思うけど、それでもいきなりいなくなっちゃったから、どこ行ったのか分からないじゃない」
「そうではなくてですね、あの、奏さ……」
「どうしよう、もし……」
奏さんはとても焦った様子で、早口で喋り続けています。それを聞いている内に何となく事情がわかってきた私は奏さんの息継ぎの間を狙って、口を挟みました。
「藤宮さんならここにいますよ」
沈黙。さっきまでまるで機関銃の如く怒涛の勢いで喋っていたのに、電話の向こうはピタリと静かになりました。
「いま、さっちゃんどこ?」
「部室です」
「そこに、悠ちゃんがいるのね?」
「はい」
「ハハハ、ハハハハハハ」
ゆっくりと疑問を投げかけて来ると、奏さんは突如笑いだしました。それが聞こえたのでしょうか、藤宮さんの肩が少しビクリとしたようにみえたのは、私の錯覚ではないでしょう。
「さっちゃん、悠ちゃんが逃げない様にしておいてね?」
「は、はい……」
戦々恐々としながらそう答えるとプツリと電話さ切られてしまいました。ほぅ、と軽く息をつきます。奏さん、恐かったです……。
■
そして奏さんが帰って来て、藤宮さんを問い詰めているのです。藤宮さんの方はというと椅子に座ったまま、苦笑のような表情を浮かべつつ、何となく聞いているようです。
「私がどれだけ心配したかわかってるの私だけの問題ならまだしもいきなり居なくなったら色々と考えなきゃいけないにきまってるじゃない連絡ぐらい当たり前でしょそんなに面倒なことなの違うでしょそれぐらいの時間はあったでしょ無かったなんて言わせないわ」
全く止まりません。誰か……来てください。その時です。ガラリと扉が開きました。奏さんも藤宮さんも気づいていません。そして扉の隙間から眼鏡をかけた男性が中を覗きました。私はその方に走り寄ります。私では止められません。
「菅原さん、助け……」
私の目の前でドアがピシャリと閉じられました。
(菅原)
疲れた。俺はペンを置くと眼鏡を外し、眉根を揉む。手元には埋まった原稿用紙。達成感がないことはないが、それよりも圧倒的に疲労感の方が大きい。
さっさと校正に回して帰ろう。俺はそう考えて原稿用紙を片手に立ち上がる。これだけ書くのに放課後2時間強を費やすとは……。一年生の最終下校時刻は7時。とはいっても、そんなにやるのは運動部や、大会前の部活ぐらいだ。大抵は6時過ぎには帰る。そして今もう6時。分かってはいたが、どれだけ俺にこの記事が向いていないかがわかる。絶望的に向いてない。
そのまま帰るつもりだから鞄も持って教室を出る。時々廊下から教室の中で部活動を行っているのが見える。ご苦労様です。俺は内心で呟いた。
基本的に、俺は面倒は嫌いだ。全てにおいて。だから、面倒事は避ける。勿論、やらなくてはいけないことをやらないのはさらに面倒なことになるし、何より必要最低限のことはやるべきだ。つまりは何となくでいい。
ただ、別に積極的に関わることを否定する気は全くない。世間一般的にはそちらの方が正しいし、間違っているとも思わん。俺はしたくない、必要最低限のことはやりますからそれでいいでしょ、という訳だ。うむ、間違いはないとおもうのだが。
そんなことを考えてながら、いつの間にか部室に着いていた。着いたという意識も無く、無意識に引き戸を左に引いて入ろうとする。
そしてフリーズした。まず、言い争う二人。いや、一方的に詰め寄る女子とそれを苦笑でやり過ごそうとしている男子。さらにそれを止めようと回りをウロウロする無謀な女子が一人。その無謀な女子 ――千歳 沙穂は俺の方を見るとパーッと顔を明るくした。嫌な予感しかしない。思った通り、千歳は俺の方へと寄ってくる。
「菅原さん、助け……」
ふむ。俺はピシャリと引き戸を今度は右に引いた。面倒事過ぎる。見なかったことにしよう。
それにしても不覚だった。あれだけ大きな声で名原が悠真を詰問していたのだから、途中で気づけたはずだ。実際、今もよく聞こえる。
……ん? やけに聞こえすぎやしないか? ほとんど戸を開けた時と変わらないのだが。俺は疑問に思って前を見ると、引き戸は少し開いていた。隙間に、上履きが。先の方に「千歳」と書かれている。
「菅原さん……他に頼れる方がいないんです。お願いします、どうにかしないと……」
はぁ、これ以上拒否するのは逆に面倒だ。結局俺は根負けして引き戸の隙間から千歳を恨んだ。名原は相変わらずの勢いで悠真を追い詰めている。
「いっつもいっつもそうやって行動するからあとから色んな問題が出てくるんじゃないそもそも悠ちゃんがそんなに反省しないで繰り返すのが問題なのよなにその顔自分の立場わかってるの?」
「疲れないか?」
言葉が切れたタイミングを見計らい、俺は名原にそう尋ねる。ギロリ、という形容がふさわしい目で俺の方を向く名原。今まで気づいて無かったのだろう。
「疲れた」
「クッキーあるぞ」
ペタリと座り込む名原。ほっと息をつく。今回はもう大分疲れていたようだから良かったが……。悠真が俺に親指を立てる。別にお前を助けようとした訳じゃない。そんな意味を込めて俺は悠真を軽く睨む。
それにしても不覚だった。あれだけ大きな声で詰問していたのだ、途中で気づけたはず。そして、さっさと帰れば良かったのだ。別に今日までに必ず提出しなければならなかった訳でもない。なのに気が付かなかったのは一重にオレがぼーっとしていたからだ。まさか、あの古典教諭の催眠波が反動として今頃効いて来たんじゃなかろうな。恐ろしいお爺さんだ。
名原はクッキーを食べている。どれ、俺も一つ食べるか。手を伸ばし、一つ摘む。
「いやぁ、奏はよく怒るね。いいストレス発散になるだろう?」
全く良いのか悪いのかどこまでも飄々とした奴だ。悠真とは中学からの付き合いだ。悠真は思ったことをハッキリ言うが、決して鈍い奴じゃない。だから、本気の時はちゃんと空気をよむんだかな。今は違うらしい。だが、どう考えてもこれは悪手だ。
「悠ちゃんがもっとしっかりしてればストレスもたまらないんだけどね」
言わんこっちゃない。悠真は言葉に詰まっている。
「菅原さん、ありがとうございました」
「いや」
千歳の礼に対して適当に返す。もう終わったのだ、別にいい。
俺は元々ここにきた用を思い出し、原稿用紙を提出ボックスに入れた。よし、これで大丈夫だろう。さて、帰るか。俺が立ち上がると「帰るのかい?」と投げかけられた。悠真は俺が頷くと「じゃ、僕もそろそろ」と言って荷物をまとめ始める。他の二人も同様だ。忘れ物がないかを確認し、電気を消すと鍵をしめた。もう6時20分を過ぎている。この後はもう来ないだろう。
「そういえばなんで今日は先輩方や八方さん達、いなかったんでしょう?」
「確かに、先輩とは一人もあってないわね」
「八方君たちは知らないけどね、二年生と三年生は今日それぞれ進路指導だからさ。大変たなぁ」
何でお前が知っている。俺は内心で少し突っ込む。毎度のことながら、悠真のこの情報はよく分からない。役に立つ時もあれば、全く立たないこともあるのだ。
今日という一日が終わる。俺は三人と並んで帰路につきながらふとそう思い、そんなことを考えた自分をわらう。また明日は来るのだ。
あ、いや、それはそれで少し面倒だな。
読んで下さってありがとうございます!!
感想よろしければ是非お願いします。
では一人だけですが、初登場人物の紹介を
·菅原 直樹
身長168cm、体重55kg。身長は藤宮と同じだが、ミリ単位で見ると菅原の方が高い。眼鏡。黒縁。面倒くさがり屋。勉強は中の中、運動は中の中、容姿は中の中。……と本人は思っている。
そういえば、藤宮の下の名前、悠真って今年日本で三番目に多く付けられた名前なんだとか。ゆうま、と読むのが一番多いらしいですね。
次回更新は火曜日……いけるかなぁ。
次回、先輩登場!……多分