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王「魔王を倒してください!」俺「断る!」

初投稿です。


とある人と話しながらこのお話ができました。

破天荒すぎる勇者とネタ満載でお送りします。

本編をどうぞ。


青年「……」


青年はビルの屋上にいた。

風が吹き抜け、髪を撫でていく。

青年には何も残っていなかった。

金も、家も、職も、家族の信頼も、彼女も…


青年「こんなに…こんなに生きることが辛いのなら…死ぬしかないじゃない!」


青年は靴を脱いで揃え、ビルの縁に立った。

このビルの高さは20階はある…地上に叩き付けられて肉片となることは確実だろう。


青年(父さん、母さん、ごめんなさい。次生まれ変わったらマトモな人生を送ります…家建てて、職見つけて、家族作って…とにかくマトモな人生を送ります)


青年は心の中でそう懺悔し、ビルから飛び降りた。

風が強烈に青年の体を吹き抜けていく。

そして青年は意識を失った。

気づいたときにはもう自分は死んでいるだろうと思いながら…


----------------------------------------------------------------------



次に青年は「俺、生きてる!?」と言うッ!



青年「俺、生きてる!?…ハッ!?」


そう、青年は生きていた。

ただその場所は青年の知っていた街ではなかった。

体の下にはフワフワとした触感の草むらが広がり、左手には湖、右手には森が広がっていた。

柔らかな風が草をそよがせていく。


青年「っかしいなー俺、ビルから飛び降りて死んだはず…って事はここ、天国!?…あまり天国感ないなぁ。もっとこう…空の上でキラキラしてるようなイメージだったんだけどなぁ…」


青年はとにかく起き上がってみた。

律儀に脱ぎ捨てたはずの靴がそばにあったので履きなおした。


青年「死ぬ覚悟をして脱いだ靴を履きなおすとは…トホホ。とにかく探索してみるか」


そう言って森へと足を踏み入れた瞬間、何かが草むらから飛び出してきた。


青年「うわっ!?…なんだウサギか」


飛び出してきたのはウサギだった。

ウサギにしては少々大きいが…まあそういう個体なのだろうと青年は思った。

ただ一つ違うのは…そのウサギが敵意を持ってこちらを睨んでいるということだろうか。


青年「マズいかも…」


青年が一歩引いた瞬間、ウサギはどこかから大鎌を振りかざし首目がけて飛び込んできた。

間一髪のところで青年はしゃがみ、一撃を回避することに成功した。


青年「ボーパルバニーかよぉっ!?」


青年は急いで走り出した。

とにかくこの場を離れてヤツから逃げなければ。

そうして走り回っていると、いつの間にか青年は森を抜け出していた。

街道や風車やおそらく人が作ったのであろう木の柵と畑が見えた。


青年「なんか中世ヨーロッパ風な天国だなぁ…ん?」


馬に乗った人影が見えた。


女性「そこの人!」


青年「お、俺か?」


女性「そう、アナタです。アナタが空から落ちてきた彗星の正体ですか?」


彗星、と言われても青年はピンと来なかった。


女性「…まあ恰好からしても他の世界から来た事は間違いないでしょう。馬に乗って下さい」


青年「…どこに連れていくんです?」


女性「私の王宮です」


青年「へー天国ってお姫様がいたんですね。知らなかったなぁ」


女性「…何のことかサッパリ分かりませんが、ともかく付いてきてください」


青年は鞍のついた馬に跨ると、女性―おそらく有力者―の後ろを付いていった。


女性「そういえば、アナタの名前をお聞きしていませんでしたね」


青年「俺の名前ですか?俺、櫻庭宗介っていいます」


女性「宗介…ですね。私はツバキ・アレンドルと申します。よろしくお願いします、"勇者様"」


宗介「ん?…勇者って俺のことですか?」


ツバキ「えっと、詳しくは王宮で…」


宗介「よく分かんないけど、分かりました」


そうして宗介とツバキ、お供の兵士は王宮へと向かった。


-------------------------------------------------------------------------


ガタン、ギイイッと王宮の門…の横の通用口が開いた。

何でも、普段はここのドアを使って誰もが通るらしい。


兵士「入って、どうぞ」


宗介「お邪魔しまーす…」


兵士「†悔い改めて†」


宗介「はえー…すっごいおっきい…」


ツバキ「あそこに見えるのが王宮です」


門の内側は中庭になっており、王宮には少しばかり歩かなければならなかった。

そして王宮までたどり着いた。


宗介「ここもおっきいっすね…」


ツバキ「この部屋が謁見室です。王がいらっしゃいます」


兵士「お開けします」


鉄板で補強された木のドアを開けると、赤い絨毯が広がっていた。

そして真正面の椅子に誰かが座っていた。


王「おお、勇者殿!待ちわびましたぞ!」


宗介「あの…俺、勇者って言われてもピンと来ないんですけど」


王「そうでしょうな…この国には『悪しきもの蔓延るとき、空から彗星のごとく勇者舞い降りて闇を払う』という伝説がありましてな」


宗介「なるほど。それで俺が勇者だと」


王「うむ。そういう事で…ゴホン」


王は咳払いすると言葉を続けた。


王「まずウチさぁ…勇者、求めてんだけど…(国を)救ってかない?」



宗介「ヤダよぉ」



王「あのさぁ…」


宗介「嫌なもんは嫌なんじゃい!俺はね、ここで慎ましく一軒家建てて慎ましく家族作って平穏に暮らしたいの!分かるこの慎ましい願い!?」


王「分かった、謝礼も出そう。だから…」


宗介「だから、じゃなくて俺は勇者やりたくないの!一般人として寿命尽きるまで平穏に暮らしたいの!ヴァカじゃねーの!?誰が好き好んで死地に行くんだよ!?」


王「バ、バカ!?」


ツバキ「ちょっ、王に向かってなんて口を!?」


宗介「俺の人生知ってないから言えるんだよそんな事!俺はな、何もかもを失ったんだよ!だからこの世界で何かを得る権利ぐらいあるだろ!?」


王「だからね、勇者になってね、皆の希望になって欲しいのよ。そうすればね、お金も彼女もゲットできるから」


宗介「ヤダっつってんだろうがよ!どんだけ俺を危険な場所に行かせたいんだよ!殺す気かよっ!」


ツバキ「護衛!護衛をつけますから!」


王「国救ってください!オナシャス!」


宗介「物の役に立たねー連中何人も連れて行ったって同じだろうがよ!その間の食費やなんやは俺持ちだろ!?勇者を財政難で潰す気かよ!じゃ、俺は闇系の仕事があるのでこれで。サラダバー!」


王「ちょっ、待ってェェェ!」



こうして宗介は王宮を飛び出し、異世界での生活が始まった…



次回に続く…

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