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スイッチチェンジキャラクター!(6)






「失礼しましたー」


屋上の鍵を返し、教室に向かう。

ラムももう私が気にならないようにと姿を消していた。


「おい、ちょっと待てよ」


廊下を歩いていると、いきなり声をかけられる。


「お前転校生の癖に生意気なんだよ」

「テメェ、あんま調子にのんなよ?」

「俺らがお前にこの学校のしきたりっての教えてやるよ」


あぁ、ヤンキー集団か。

正直こいつらは如何にも青春を桜花しまくってる感じがするな。

茶髪にロンゲにリーゼントに服装の着崩れ。


「やれやれ、外見というのは服装の乱れだけじゃなくても充分かっこよくなれるというのに」


そう!!私のように!!

…てかリーゼントってまだいたのかよ。


「あぁん?テメェ舐めてんじゃねーよ!さっきからクラスで女子に人気があるからってあんまり調子づいてんじゃねぇぞ?」

「お前、今日の放課後楽しみにしてろよ。おいお前ら行こうぜ」


ヤンキー集団は言い残し去っていった。

私としてはこのまま暴力沙汰を起こしても何もメリットが無いから嬉しい限りではあるが…


「放課後か…さて、どうするかな」


とりあえず、授業が始まる前に教室に行くことにした。






「ーで、あるからにして…」


先生の話す授業はもうとっくにやりつくした。

これまでも様々な事に興味を持ちほとんどの知識は人並み以上につけているつもりだ。

板書の写しだけはしっかりして頭の中ではぼーっとする。

いっそ受けてるフリだけして寝るか…

そんなことを考えていると


ガラガラガラっ!


「すいません…遅れました。今日から転校の神走 強心です」


教室のドアが開き1人の男が姿を現す。

制服に身を包んだガタイのいい体に金髪のオールバック。見たものを怖がらせるようなキリッとした細い目。

いきなり教室がざわつき始める。


「えっ…何アレ金髪?」「転校初日から遅刻?」「不良…?」


あぁ、やっと来たか兄貴よ。

そう。あれは私の兄貴なのだ。

…ちなみに、あのオールバックは兄貴の自毛なのだ…。私も構造を考えてはみたが、どうなっているのかは分からない。

兄貴はめんどくさそうにしながらもしっかりと先生には一応頭を下げている。


「えーと、席はどこに座ればいいっすかね?」


兄貴が教室内を見渡しある1点に目が止まる。視線の先にはリーゼント。まぁ確かに珍しいのだろう。


「あぁ!?テメェさっきから何ガンつけてんだよ!?」


じっと見られたことが気に入らないのかリーゼントが机を蹴り出し大声を上げ始める。

さっきまでのざわつきも無くなり、教室が静かになる。


「あ?いや、わりぃな、リーゼントなんて今時いるんだって思ってよ」


兄貴は笑いながらも謝る。そう、あれでも一応謝ってはいるのだ。

…他の人から見たら挑発してるようにしか見えないが…


「てめぇ…」


リーゼントが立ち上がり兄貴の方へと進み兄貴に向かって腕を振り上げ殴りかかろうとする。


ドン


だが兄貴は簡単そうに避ける。

その後一瞬ハッとした表情になりリーゼントの胸ぐらを右手でつかみ始める。


「おいてめぇ。俺に喧嘩売るなら外でやろうぜ?ぶちのめしてやんよ」


…珍しい。最近兄貴は喧嘩をしなくなっていたのに…

何かあったのだろうか。いや、恐らく何か理由があるのだろう。

その一言を聞き、リーゼントが焦った様子で膝蹴りをしようとするが、


「っ!?」


兄貴は膝蹴りを左手で止めそのまま投げつける。


キャァァァァ!


一瞬にしてクラスの雰囲気が変わる。

女子たちは怯え声をあげ男子達もあのリーゼントと兄貴の威圧になにもできないようだった。


「お、おい、ちょっと君たち…」


先生の声も聞こえてない。

すると突然私の体が立ち上がる。

…あっ、いよいよ来ちゃったか。

その体は兄貴の方へと進む。


「ねぇ、兄貴、ちょっといいかな…?」


「あ?今それどころじゃ」


「いいから聞けって言ってんだろ…?」


クラスメイトに聞こえないほどの小さな声で言った。

すると兄貴もはっとして表情が青ざめる。


「わ、わりぃ。つい熱くなっちまった。ほ、本当に反省してる」


私の体に向かって必死に謝る兄貴。

そんな様子を見てか私の体は兄貴から視線を外しリーゼントの方を見る。


「ふぅ…そこのリーゼント。お前もこれで終わりでいいな?これ以上恥をかきたくはないだろう?」


普段の私からは発せられない威圧感を出した様子で言う私の体。


「はっ!?何テメーが」


「いいから後にしろよって言ってんだろ…?」


リーゼントが喋る途中にも関わらず私の口は喋った。

私の体がリーゼントの方に進もうとすると兄貴が後ろから飛び出してきてリーゼントに話しかけている。


「わ、悪かったよ俺が悪かったからとりあえずここは落ち着いてくれ、な?」


リーゼントも何がなんだかわかっていない様子だ。

だが、分が悪いと分かったのかバツが悪そうに壁を蹴ると教室を去っていった。

一瞬兄貴がついていこうとしたが私の体が袖を引っ張ったらすぐやめた。


そこで、ふと我に返る私の体。

とりあえずこのままこうしていてもしょうがないので一息ついて席に戻る。

まぁなんとなく読者の方には察して頂けただろうが…


そう、これが。


私のもうひとつの人格だ。






(ここまで読んでいただきありがとうございます!)

(盛り上がり部分はまだまだですが、読んでくだされば嬉しい限りです笑)

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