国内テロ(3)
事情聴取を終え、1人廊下のソファに座る。
「なぁ、ラム。どう思う?」
「あぁ…ボクも多分文太と同じ考えだ」
「じゃあやっぱり各地のテロは…」
ここまで言って、担任が姿を現しラムは消えた。
「先生」
「文太。事情聴取ってのはかったるいな。もう慣れた気もしたもんだが…」
事情聴取に慣れる とは
一体どういうことなのだろう。
go○gle先生に聞けばわかるだろうか。
「それより、お前。俺に何か言うことないか?」
真剣な表情になって言ってくる先生。
言いたいこと…?
「いやー、この前先生の机の上に置いといたお弁当からこっそりひじきの煮物食べてたの私だったんですよー」
「なっ!?お前俺の知らないところでひじきの煮物奪ってやがったのか!!返せ!!ひじきの煮物を!!」
もちろん嘘だ。そんなことしてない。
「じゃなくてだな。もっと大事なことだ」
なるほど。担任はどうやらなんとなく察しはついているようだ。
「すいません。ひじきの煮物はとってなんていません」
「だろうな。んで?早く言え」
「先生、私」
「あ?」
「しばらく学校をお休みします」
舞台は大阪。
「通!天!閣ぅぅぅ!!!」
目の前にそびえる建物に思わず大声をだしてしまう。
大阪ですよ!大阪!
私だってそりゃテンションがあがります。
作者は大阪に憧れはあるものの観光とかでゆっくり行ったことはないんだけど。いや誰だ作者って。
正直たこ焼きとか食べていたいんだがそんな暇はない。
「ラム。どの返かわかるかい?」
「うーん、あっちの方かなぁ」
ラムが向こうを見る。じゃあ向かってみるか。
「兄ちゃん兄ちゃん!ここにいる場合やないで!」
突如進もうとしていた方向から男性に話しかけられる。
「どうしたんですか?」
「兄ちゃん、ひょっとして知らんのかぁ?」
呆れたように言われる。
「もしかして…テロ、ですか?」
「そうやそうや!って兄ちゃん!どこに行くんや!」
話の途中だが足を進める。
「情報、ありがとうございます!」
「兄ちゃん危ないで!?おーい!?」
呼び止める男性を背に前へ前へと進んでいく。
わりぃな!私は人気ものだから1人の為に時間を使うことはできないのだ!
AHAHA☆
「落ち着いて!落ち着いて避難してください!」
暴動事件を前に警察官が既に動いている。
大阪は3日前から暴動事件が始まっていると聞いたがまだ終わっていないようだ。
「どこだ…どこにいるんだ…?」
周りに変に思われない程度にラムを見る。
ラムは1度頷くように下を向き今度は向きを変える。
向こう、という訳だろう。
1度右目を閉じその方向に進んでいく。
1つの古い家。
「ここだね」
ラムは頷く。
扉を開ける。鍵もかかっておらずに簡単に空いた。
景色が変わる。
「ビンゴ」
「おうよ」
私の一言にドヤ顔で言うラム。
やれやれ、全く。
「貴様。なぜこんな場所に迷い込んだ?」
黄色の霊体が現れる。
「どうも。神走文太。独身。超イケメンの16歳です」
最高の営業スマイルを披露する。
「…」
「…」
何だこの沈黙。
「おい、文太。滑ってねえか?」
分かってるわ!一々言わなくてもいいよこのラムって子は!
「まぁいい。我の姿を見ても驚かないとは貴様中々の度胸をしているな?」
「まぁ。私は見慣れていますから」
「見慣れている…?どういうことだ…?」
「それは、今から分かりますよ!」
ラムの体を掴み掌打を放つ。
が、避けられる。
「なるほど。貴様契約者か」
「おやおや…理解がお速いようで」
霊体から玉のように丸まっている火の玉のような物が発射される。
当たっては危ない…そんな気がして横に飛び込んで避ける。
ちくしょう。無様じゃねえか。
「ラム。あれはなんだい?」
立ち上がりながらラムに問う。
「霊体自体の霊力を凝縮して飛ばしているんだろう」
「なるほど…」
霊力によって飛ばされる丸い玉。
霊丸…そんなところでいいだろうか。
さすが私。ネーミングセンスも素晴らしい。
やはり私クラスになると違う様だ。すば…すばらし…スパニッシュ!!
危ねぇ!!霊丸飛んできてた!!
「グッ!!」
霊丸が足に当たってしまう。
「痛い…!?」
尋常ではない痛み。肉体が痛みを覚えているのではなく痛覚神経を異常になぶられている感じだ。そして、もうひとつの感情も一緒に襲ってくる。
「くっ…!」
足が言う事を聞かない。動いてくれない。
「契約者もその程度か。フフ。痛いだろう?苦しいだろう?そう。そうやって壊れるんだよな?いとも簡単にな。フフフ」
「うぅっ…ハァハァ」
「くらい続ければ人間の体は動かなくなるようだな?脆すぎる人間ごときが」
「ま、まだ…終わってないぞ…ハァハァ」
立ち上がりたいにも立ち上がれない。この感覚は…まずい。
「ほう。まだ諦めんのか。もうよい。死ね」
またも霊丸が飛んでくる。
避けようにも足が動かない。
こうなれば一か八か!
「ラム!」
ラムを呼び掴んで横に伸ばす。床に置いて一気に気を入れ込む。
ラムの体が横に伸びたまま上にも伸びる。そして、壁になる。
ハァハァ。
それより。痛い。
「貴様…!?なぜ、体を動かせる!?痛みを覚えているはずだ!人間は一定の痛みを覚えていれば普通ではなくなるのだろう!?」
「普通では…ない…?」
ハァハァ。
「いいかよく聞け」
ハァハァ。
「痛みってのは…ハァハァ」
痛みってのは…!
「気持ちがいいものなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
「…」
「…」
私の名言に霊体それにラムまでもが感動している。決して呆然としているのではない。感動しているのだ。
(文太の唐突な変態発言により黄色の霊体は思わず呆然としてしまう。それは10年のつきあいがあるラムでさえもが驚きのあまり、いやあまりのアホらしさに言葉を失ってしまっていた。)
おいやめろ書き直すんじゃない作者!!
ってなんだ作者でてくるんだよ!?
てか誰だ作者って!!
「ゴ、ゴホン!ラム!こっちにこい!」
「お、おう…」
なぜか渋々とした様子で近寄ってくるラム。
掴んで再び掌打を放つ。
「グッ!?」
霊体もぼーっとしていたのかよけ切れずに当たり霊体の大きさが小さくなる。
何を戦い中にぼーっとしているのか。
まさか目の前にあまりに呆れるものが現れ呆気にとられていた訳ではなかろうに。
(文太の変態発言により霊体は呆気にとられ)
もういいわ!!やかましい!!
それより痛みが無くなっている。少々残念だ。
「クソガ…あの方に…報告せねば…」
「待て!!お前逃げる気か!!」
追いかけようとするが足が動かない。
痛くないのに動かないなんて…!こんなの!!!こんなの!!!!!
「今回だけは逃がしてやる…覚えているんだな!!」
「ま、待て!!待てよ!!」
結界は消え去り小さくなった霊体はそのまま消えてしまった。
「くそっ、くそっ!」
体に募る悔しさに地面を殴ってしまう。
「おい、文太やめろ!!」
無理やりラムが私の体に入り込んでくる。
「いいか、文太」
私の体から抜け出してラムが真剣な表情になって言う。
「まわりを見てみろ」
窓から外の様子を見渡す。
暴力事件は止まっており暴動は起こっていなかった。
「いいか?文太は暴力事件を止めたんだ。それに相手も逃げただけ。やられた訳ではないんだよ。つまりボクたちは…」
私たちは…
「「勝ったんだ!!」」
「わーい!!勝ったぞー!!わーい!!」
「そうだ!!ボクたちは勝ったんだ!!やったー!!勝ったぞー!!わーい!!」
完璧な勝ちとは言えないし逃がしてしまったにも関わらずラムは自分が落ち込んでしまっているだろうにも私を慰めるために大げさに喜ぶラム。
やれやれ、全く。
私ってばかっこ悪いな。




