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星祭り!(4)








「ん…んんっ…」


頭が柔らかい何かの上に乗っている。

体の痛みもひいているようだ。


「文太君!!」


私を呼ぶ声に目を開ける。

目の前には…ドアップの織本さんの顔。


「わぁぁぁ!?」


思わず体を起こそうとすると


ゴン


「あっ、たぁ…」


頭をぶつけてしまう。私はどうやら俗に言う…膝枕、されていたようだ。


「いてて…ご、ごめん…!織本さん…!」


「だ…大丈夫です…それより…救急車を…」


「それなら、大丈夫です」


私の背中を見せる。

血は止まり、傷跡だけが残っていた。

ラムのお陰だ。ラムが私の中に入り込むことにより生命力を増加させ、治癒能力を向上させる。

全回復…とまでは行かないが、一命を取り留めるには充分だった。


「血が…止まってる…だけど…傷跡が…」


「これぐらいは、男なら勲章です」


笑顔で言って見せる。


「文太…僕、もう限界だ…」


ラムが僕の中からでていく。

僕が右目を閉じると、ラムは姿を消し結界も解けた。異人の姿は見られなかった。


今回は、失敗したな。


ただただ、私はかっこわるかっただけだ。









異人出現後、兄貴が私を見つけ出しなんとか異人事件は終了となった。

結界を張っている間に異人は倒されたという。だが、またひとつ問題ができた。


「今回の事件により…星祭りは中止させるという意見がでている」


委員長の一言。


「!?」


「なんでですか!?」


立ち上がり、いつになく真剣な表情の高林が言う。


「どうやら今回の事件によって生徒たちに精神的な負担がでたのではないかと言う意見が先生達の会議であがったらしい。残念だとはと思うけど…どうしようも、ないんだ」


「そんな…そんな…!」


高林は絶望した様な様子で椅子に座り込む。


「それじゃあ、解散…」


委員長の虚しい声で、暗い表情をした委員たちが教室をでていく。

会議室に残ったのは、私と兄貴と高林。それと委員長のみだった。


「なぁ」


兄貴が立ち上がる。


「俺は星祭りにはそんなに興味ねぇけどよ…委員長は、やりてぇのか?」


「当たり前だろ!!」


いつもは聞かない様な怒鳴り声をあげる委員長。


「俺だって…3年目…最後の星祭りなんだよ…星祭り委員会だって…これまでも全部参加して…これで最後なんだよ!!今回のこんな終わり方、納得出来るわけないだろうが!!」


委員長の会議室に響く怒鳴り声の後、間が空く。


「そうか。ならいい」


「えっ…?」


すると兄貴はそのまま会議室をでていった。

最近、兄貴の様子が少しおかしい気がする。

帰りも遅い時が多いし…


「高林。私たちも行こう」


「あ…あぁ…」


落ち込んでいる高林を連れ、廊下に出る。


「なぁ…文太…」


「ん?」


廊下を歩いている途中、高林に呼ばれる。顔はまだ下をむいたままだ。


「ごめん…ごめんな…」


「高林…君は…」


高林の顔から、一滴の雫が落ちる。それに続き2滴、3滴と。


「俺…お前に励ましてもらったのにな…なのに…告白すら…できないんだ…やっぱり…呪われた神社の子どもの俺が…告白なんて…望んだから…」


「高林!それは違うよ!!」


「ごめん…ごめんな…」


もう、かける言葉が見つからない。

だが、私は1つの事を決心した。


高林は勘違いしている。呪われた神社の子どもが告白イベントを起こそうとなんてしたから、周りに迷惑をかけた、と。もう呪いなどとっくに解かれているのに。

だが、言葉にしても信じられていないだろう。


ならば。



星祭りを開催させるだけだ。






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