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恋の神様?





朝。


ジューパチパチパチ


フライパンの中に卵を入れベーコンを入れると油が弾ける心地よい音がする。


「よしっと」


焼けたベーコンエッグを皿に写す。

フライパンを洗い流し、ご飯をよそう。


メシヨソイチャレンジ!


神走文太はメシをよそえました!!よっそいよっそい!!


そのまま机の上にご飯とベーコンエッグを置く。


「兄貴。できたよ」


机の上に突っ伏して2度寝をしている兄貴を起こす。


「あっ…あぁ…ありがとう」


目を覚ました兄貴に牛乳を差し出し私も席に着く。


「さて、食べよう」


「「いただきまーす」」


私と兄貴は仲は悪くなく基本的にはご飯は一緒に食べることにしている。

まぁ時折兄貴が朝起きる事ができずに朝食は1人で食べることも少なくないが。


「そーいや、昨日は何してたんだ?帰り、遅かっただろ」


「いや…異人を見かけてね。ちょっと見つからない様にしていたんだ」


この世界には他の惑星から侵略を目的にした異人、が現れる様になった。

国の詳しくは公開していない対異人用組織があるってのは噂で聞いているが、私の相手をしているのはこの異人ではない。もしかしたら異人の一部なのかもしれないが、基本的には霊体の姿相手ではなければ私とラムの力は通じない。ラムも異人は僕の敵ではない、と言っていた。


「異人…?それって…いや、まぁいいや」


何かを言いかけたようだが、言葉を遮り兄貴はベーコンエッグを口にした。





「さて、じゃあ今日はここまでにしよう」


キーンコーンカーンコーン


ー起立。気をつけ。礼。ー

ウオアアアアッ!!


昼休み。この学校の昼休みに入る時の歓喜はなんだろう。最早これは号令の一部なのだろうか。


「ねぇねぇ、文太君ご飯一緒に食べよー!」

「あっ!ちょっと!抜けがけはずるい!」


クラスメイトの女子たちが…いや他のクラスメイトからも来ている。なんだこの早さは。もしかしたらこの人たちは新たな霊体なのではないだろうか。


「ぇ、ええっと…ごめんなさい。今日は先約があるんで…」


昼ご飯を持って席を立ち上がり昨日の放課後の女の子に話しかける。


「ここじゃなんです。どこか静かな場所で食べましょう」


後ろの女子たちの反応。


「え…」


「「「ええええええええっ!?!?!?!?」」」




「あ、あの、本当に…良かったんですか…?」


廊下を歩いているとお弁当を両手で持ったまま申し訳なさそうに女の子が聞いてくる。


「いえいえ、約束しましたし。私もちょっとあなたにお話しなければならないこともあるので」


笑顔で返すと女の子はちょっとだけ表情が緩んだ様な気がした。


「それより…転校してきたばっかりで静かにお話できる場所が分からなくて…」


「そ、それなら…屋上…がいいかも…」


「あぁー、確かに!」


昨日のお昼も使ったが誰もいなかった。

職員室に方向を変え、屋上の鍵を借りに目指した。





「それでは、ご飯にしましょうか」


言うと女の子は可愛らしいデザインの包み袋から小さなお弁当箱をとりだす。


「それでは、とりあえず自己紹介させてもらいますね。私の名前は昨日もみなさんの前で紹介しましたが、神走文太です」


「私は…織本織姫…です」


ペコリ、と小さく頭を下げてくる。


「えっと…とりあえず、昨日の放課後、いやそれ以外にも聞きたいことは他にもあると思いますけど省略させてもらいますね」


織姫は真剣な表情で話を聞いている。


「まず、昨日の奴なんですけど…奴の事は私は霊体、といいます。この世界に現れる異人とは恐らく違うものです。言っちゃえばお化け、みたいなものでしょうか」


「お化け…」


「はい。織姫さんも経験になったでしょうが霊体は人に呪いをかけてきます。織姫さんの場合は他人を恐ろしいものに見せる幻影でした」


「はい…」


顔を下に向け表情を強ばらせる織姫さん。


「あいつ以外にも霊体はたくさんいます。霊体達は人に恐怖を与え負の感情を出させ、楽しみます。霊体達にとっては娯楽でもあるのです」


「娯楽…?」


「はい。それとある程度負の感情を取り込むと実体化し、人間達…いや世界を滅ぼすのもまた目的みたいです」


「なぜ…でしょうか?」


「人の死、その中でも絶望の中での自殺は最も多くの負の感情をもたらせます。そして自らの快楽の為だけに、それを求めます」


「快楽の為だけに…人を…」


織姫さんに震えが見える。


「過去に、私は他にも多くの霊体を相手にしました。私は霊体達を倒す事…私の体に封じ込めるということをしています。霊体達は私のことを契約者、ということが多いです。恐らく人間と霊体が唯一契約を元に協力しているから、だろうからですけどね」


「あ、あの…なぜ、あなたは契約者に…?」


「今あなたには見えていないでしょうけど、私には友だちが宿っています。その力を使って霊体と戦っているんです」


「友だち…ですか…?」


霊体、と言えばもっとわかりやすかったであろう。でも私はラムの事をただの霊体とは言いたくない。


「はい。親友です。それと、このことは絶対に他言しないでください。私が霊体を封じ込めたとはいえ、ただ1つだけ呪いが残ります」


「その…呪いとは…?」


「他人に霊体関連の話をしたら、再度呪いが発生し織姫さんの場合はまたも他人が恐ろしいものに見せられ、他の霊体達を呼び寄せることになるでしょう」


「そんな…呪いが…」


「はい。ですが他言しなければ問題はありません。ですので私からのお願いと言えば絶対に他言しない。ということです。約束、してくれますか?」


「わかり…ました…」


ふむ。表情を見た限り理解してくれたようだ。あぁ!やはり私の説得力は素晴らしい!!


「おいおい…今の話されたら普通の人なら誰でもわかってくれると思うぜぇ…?」


ラムの声が聞こえた気がしたが、気にしない!


「それじゃ、時間もないのでご飯にしましょう」


残りのお昼時間は織姫さんとご飯を食べて過ごした。





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