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☆8☆ キャラ被りな幼女

「申し訳ありませんでしたっ!、王女様!!」


只今(ただいま)俺は城の8階にある、王女の部屋兼、執務室(しつむしつ)で説教されている。


「ふんっ!ずっと探しに来てくれるのを待ってたのにっ!(わらわ)の事を(存在を)忘れたなんて!全くお前はいつもいつもいつもいつもいちゅも!」


あぁ…久々にガチで()ねアンド、ガチぎれしていらっしゃる………。あぁ…後また、詰まっていらっしゃる…。俺は頭を下げながら、王女がまた舌を噛んでないか心配だな

と、思った。


「綺麗ですね”とか言って妾にせまってきたくせに(←勘違い。)、妾の事を忘れちゃうなんて!ぐすっ?うぇ?ひっく?」


ヤバイ!!泣いちゃう!もう泣いちゃう寸前だっ!!


まぁ良い。いや、全く良くない。が、こういう場合は話をそらすのに限る。


「あの〜王女様?今日の夕食は王女の大好物の”鶏肉のハチミツソテー”、らしいですよ?だから、元気出して行きましょう!」


「ふぇっ?と、とりにく、ハチミツ?」


王女が目に涙を()めて声を震わせながらそう言う。


「えぇ。それと、デザートにカボチャパフェが出るらしいですよ?」


「カボチャパフェ……出るのか?」


よし、王女の表情が和らいで来たぞ…。なんてチョロイんだ。ウヘ。


「えぇ。出ますよ、大盛りで」


「へ、へぇー。な、なら、早く夕食、夜食?(←現在9時)に行くぞ!バカ執事!!後、泣いてなんていないからな!!」


「えぇ。もちろん分かっていますよ。王女様」


俺はそう言いながら、速歩きで歩いていく王女様にゆっくりと着いていった。



あまり豪華ではない、木材で建設されている食堂


(金ピカでシャンデリアがついていて無駄に広くて豪華な食堂も来客の時や、パーティー(社交会など)を開く時に備えて城には完備されているが、自分も含めて皆其処では食事が落ち着いて食べられないらしく、俺達はわざわざこちらの木造の食堂で食事を取っている。)


に着くと、其処にはフレイアとテリアがいて、夕食を食いに行っていたはずのルシアと(いつもはあまり来ない)ジョニーまで居た。


2食目を食べるのだろうか?こいつらは尋常じゃない程の飯を毎日食うからな。


普段ならもう少しだけここに食べに来る人達がいるのだが、今日は夜遅いのでその人達はいない。


「もう、遅いわよ、2人共!さぁさぁ此処に座って」


フレイアがなんか、お母さんみたいだな。俺がお父さんで、王女が娘で…みたいな?


と、俺がそう思っていると、何故かフレイアの頬が、みるみる朱に染まっていき、普段、人を呆れたような目で見ないルシアまでもがこちらをジト目で見てくる。


なぜ?


「随分と大胆な発言ですね…アルシュレット……」


テリアも、やはりジト目でこちらを見てくる。


あ…これはもしかして……


「なぁ、アルシュ、お前ら(アルシュ←21歳とフレイア←16歳)付き合ってんのか?結婚すんのか?人生の墓場へ直行しちゃうのか?ハハッ!」


”俺みたいに……。”


ジョニーがニヤニヤしてはいたものの、ボソッとなにか悟った顔で言った気がする。


それにしても口に出てしまってたかぁ……。


「あ、アルシュ…。さっ、さすがにそれはまだ早すぎるというかなんというか?」


と、フレイアはモジモジしながら言った。


「あぁ、分かってるって、俺達が付き合う事なんて、”有り得ない”だろうし、

ましてや俺達が結婚するなんて”未来永劫無い”よな?」


そう俺が言った瞬間フレイアの表情が固まる。紅潮していた頬が徐々に冷めていっている。


「そうですね!”有り得ない”し、”未来永劫無い”ですね!もうそれはいいから、さっさとご飯食べるわよ!もう夜遅いしっ!死ね、短小包茎。」


「?どうしたんだ?なんで怒ってるんだ?


何かとんでもない事を最後に言われた気がするんだが気のせいだろうか?


「バカだな。アルシュは。これだから包茎人は…。人の気持ちがわからないやつがいると、空気を悪くするね、ホントっ。心底気分がdarkになるよ、はぁ…。」


と、ルシアにため息をつきながらドヤ顔で言われた。


なにこれ?超ムカつくんですケド?俺こいつより人の気持ちわかるし、何よりバカじゃないしっ!


てか包茎人ってなんだよ?べっ、別に、し、真性包茎じゃなければ良いよな?


「では、バカ執事は放っといて皆で食べておくか…。」


王女まで(俺をバカ扱いするのか)!


いや、バカ執事と言われるのはいつもの事だ。


「では早速頂きますか。」


そうテリアが言うと、

皆了解の合図をして、遅い夕食に取り掛かるのだった。


夕食が食べ終ってから気づく。


ディアナを夕食に連れて行く事を忘れていた事に。本日、幼女を忘れるの2回目だハハッ と思っていた事を、俺は1時間後に軽く後悔する事になる。



夕食を食べ終わって、現在午後10時半。俺は今俺の部屋にいる。

そこで、幼女の舌打ちの音が響く。


「酷い……酷すぎる。私を食堂に案内する事を忘れるとは…。ちっ!」


元から腹黒の幼女ディアナ(12才)がさらにダークに染まって行っている。

どうしたものか…。


「すんませんっした!!」


本日頭を下げるのは2回目だ。


「まぁ別に許してあげるけど、…」


許して下さるのかっ!なんて心優しいんだっ!この娘はっ!俺はそう思った。


「…許してやる代わりの代償はもらう」


世の中そんなに甘くないか……。


「ちなみに代償って例えば何だ、ディアナ?」


「人に何かを尋ねる時はまずは敬語から学ぶべきでしょ?後、様付けしなさい」


こ、こいつ……。


「ちなみに代償って例えばどのような事をすればいいんでしょうか?ディアナ様!」


「そうねぇ、なんでも言うことを聞いてくれる?」


「いや、それはちょっとム…」


「ちっ!…」


「なんでも聞きますぜ!」


「そう。ならこの部屋に住みたくないっ!」


…この部屋って俺の部屋の事か?


「いや、じゃあ5階の空き部屋に住めば良いのでは?」


「ちっ!…」


「いや、なんで舌打ちしてんの!?ていうか、空き部屋に俺の予備のベットとランプ設置してあげたじゃねぇか……。そこで住めよ…。この部屋には住みたくないんだろ?」


「ちっ!…」


何故に!?最早この()の意図が分からない。


「あーお腹空いたなー。誰かさんが私の事忘れたせいで今日は非常食しか食べられなかったなぁー」


うっ、そこを突かれると困る……。


「あぁ、なんかお腹空き過ぎてこの世に絶望してきたな……。死のう」


と、ディアナはそう言いながらこの部屋のテラスに足をかけた。


「いや、ここ6階だから!落ちたら死んじゃうから!わかった!なんかわかんないけど、今日だけは俺の部屋に寝らしてやるから、明日は自分の部屋で寝ろよ!」


「はーい」


そう、心のこもっていない返事をしながらディアナは俺のベットに入っていった。その腹黒幼女は俺の布団の中に潜りこみ、もう俺からはディアナの姿は見えない。


なにがしたかったんだ?この()は?


「ふぅ。今日も一日色々あって疲れたな……」


今日の朝は、まさかこんな状況になってしまうなんて思いもしなかったな…。


俺は俺の部屋の床に布団を敷きながらそう思った。


それにしてもこの幼女、キャラがブレまくっている気がする。


しかも行動が色々と矛盾してるし。


この部屋に住みたいなら住みたいってちゃんと言えばいいのに。たしかに空き部屋よりも俺の部屋の方が窓からの景色が良かったり、良い点がたくさんあるけれども。


この娘の行動が読めない。腹黒で敬語つかう系キャラがテリアとかぶっていたのを幼いながらに気にしていたのか?


成る程!新しいキャラを求めているからこその矛盾か!


最近の子はませていらっしゃる……。


ていうか、キャラが被った女の子同士の戦いって壮絶だよな……。


俺はささやかな疑問を自己完結して、そんなどうでも良い事を考えながら目を閉じた。










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