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☆10☆ 幼女の父 (←王)から貰ったドラゴン

生誕祭準備期間5日目の朝。


この3日間で慣れっこになってしまったが、今日もディアナは隣で寝ている。流石にもう全裸ではないが。そして王女も、それに何故か対抗してその反対側で寝ている。


要するに、右腕に頭を乗せて寝ているのがディアナで、左腕に頭を乗せて寝ているのが、王女メロアである。


手が物凄く(しび)れている。微弱な電流を流され続けているかのようだ。


俺は痺れた手を軽く振りながらベットをでて、ある目的のために外へ出て行った。



人の気配がしない。


まだ午前4時半だ。


だが、夏のこの時期はもう既に明るい。


俺は、時間が映し出される魔法具を見ながらそう思った。


俺はこの時期にしたくなる事があるのだ。


毎年、この時期になる頃にする、俺だけの日課がある。





レミナリア山。


ザナディア帝国と、聖カタリアナ王国の間にある山。


俺は、ザナディア帝国の領地そして聖カタリアナ王国の領地を真っ二つに区切るように国境となっているこの山の中にある、

小さくて名前すら付けられていない湖に、この時期に限って行きたくなるのだ。


あの”相棒”に連れていってもらって以来。


俺は城の正門をそっと閉めて、城の領地の少し外れにある神殿へ向かった。



20分程歩いて、俺は神殿に着いた。


神殿の入り口に立つと、聞き慣れた咆哮(ほうこう)が聞こえてきた。


起こしちゃったか?


俺はそう思いながら神殿の内部に入った。



神殿の内部は、神殿にしては控えめな装飾が(ほどこ)されており、全体的に水色っぽいイメージがある。


「おーい、アレックス?」


俺は神殿の内部の扉を開けながら俺の相棒の名を呼んだ。すると、


「ぐるぉぉぉぉぉっ!!」


と、相棒は俺に返答してくれた。


”アレックス”は、俺が付けたこいつの名前。

この国で生まれた貴重な大型聖獣(おおがたせいじゅう)であり、

王女の執事に俺がなった時に

お祝いとして王女の父親である王が俺に授けて下さった、”ドラゴン”だ。


全長、約5メリ。(5メートル。)そして、ダイヤモンドの様に輝く水色がかった半透明な(うろこ)

そして、立ち居振る舞いがとても凛々しい。

俺の最高な相棒だ。


ルシアと違って、文句は言わない、とても有能、聞き分けがいい、理解が早い。言い訳をしない、バカじゃない、脳筋じゃない、凛々しい、

相手にするのが疲れない。


そして、バカじゃない。


もう、最高だ!


まぁいいや。


「アレックス!俺をレミナリア山の湖の(ほとり)まで連れていってくれ!」


「ごぉぉぉぉうっ!」


よし、これは了解の合図だ。さぁ、出発しよう。





2時間程、アレックスに乗って、やっとレミナリア山の湖のほとりに着いた。

アレックスは飛行速度がとても速い。


辺りには当然ながら誰もいない。

朝から忙しく(さえず)っている鳥の鳴き声、種類は分からない虫の鳴き声。そして、小川の流れる音だけが聞こえてくる。


俺はそのような聞いているだけで落ち着く、大自然に奏でられている音楽を聴きながら、自然とベットのような形になっている岩の上に寝そべって、目を閉じた。


10年前から、”1年に1回”こうしているので、こうやってこの石の上で寝転ぶのは、俺の人生の中で、10回目だ。


こんな事をついついしてしまう理由はわかる。


アレックスに初めて乗った時にこの場所に連れてこられて、この大自然が、気に入ったというのも理由の内の1つだが、


俺は記憶を取り戻したいのだ。


いきなり何故記憶の話に!?と思うかもしれない。


だが、ただの直感ではあるが、この場所には俺の記憶に関する”何かがある”と思っているからだ。その何かが分からないままではあるが。


ひょっとしたら俺は此処で何かを見てしまったのかもしれない。


だから1年に1回だけこの場所を訪れている。(此処に来るのにはアレックスに乗ったとしても物凄く時間がかかるのだ。よって、1年に1回だけこの場所に来ると決めている。)



そんな事を思っていると、近くから変な声が唐突に聞こえてきた。


「お前さんが落としたのはこの前世の記憶かyo?


それとも現世の10年前の記憶かyo?


デュふふふふ、それとも、このワ・タ・シ?」


ブンッ!ブシャァァァァァァ!


思わず斬ってしまった。


「モンスターか?」


「モンスターじゃないですぅぅぅ神ですぅぅぅぅ!!」


と、湖の水から突如としてでてきたモンスターは水で構成されている?体を再生しながらそう言った。


「いや、どう見てもただのスライムにしか見えないんだが?」


「だからモンスターじゃないってば!」


俺はこの喋る事ができるらしい

自称神モンスターをどうやって斬り殺そうかと思い、まずは剣を持ち上げた。


その、俺の構えが怖かったのか、

びくぅ?とスライムの胴体が震える。


「おっ、おまえ、いえ、あんたの願いを叶えにきたんだ、じゃなかった、


あなたのお願いを叶えさせて戴くために馳せ参じたのでありますっ!


ほらっ、あなた10年前から此処によく来てらっしゃったじゃないですか?ねっ?そんな人、他にいないし、そうさせて戴こうかなと思って。ほらっ?今日であなたにとって此処に来るのは10周年目じゃないっすか?」


何か青色のスライムっぽい奴が物凄く饒舌(じょうぜつ)に喋ってるぞ……。


口?らへんがウニョウニョ動いていて、気持ちが悪い…。


思わず斬り消したくなったが、少しだけ気になる点があったので、一つだけ俺は質問してみた。


「願いを叶えるってどう言う事だ?」


「そのまんまの意味です。あなたの一番欲しい物は今すぐ与えますし、あなたがやりたい事があれば、何でも出来るように状況を整えましょう。


要するに、どんな事だって叶えます。


あなたの望むものなら、なんでも」


「そうか。それなら1つだけある」


「ホントですかっっっっ?!」


自称神スライムは目?を輝かせながらそう言った。


「お前を殺して、そのゼリー肉?を焼いて喰らいたい」


焼いて食ったら美味いんだよなぁぁ。

スライムって。後で王女達に差し入れしよう。



ブシャァ! ブジョョ! ブシャァァ!


ブシャァァァァァァ?


ブシャァァァァァァァァァァ!!


「イイィヤァァァァァァァっっっ!」


「はぁ、はぁ。これだけ斬ったのにまだ再生できるのか…………。」


既に此奴(こいつ)はどこぞのフナ★シー並みに体液を噴き出しているはずだが…。


「スライムだから強いんです。お前よりもyo?」


ブチ。(←頭の血管が切れる音)


ブッッッッッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!


はっ!?


史上最強の雑魚と謳われるスライムにドヤ顔?で雑扱いされて一瞬我を失ってしまっていた様だ。


さすがにぶっ殺せたかな…………。


そう俺が油断をしていると、


「はぁ、神への扱いが酷いよ……君………」


「!?」


さっきとは似ても似つかぬ程の美声が

後ろから聞こえてきた。


「よっと」


その、自称神は軽い掛け声をかけて、

俺に向かって、何処からともなく出した剣で斬りかかって来た。


ガキンッッッッ!!


剣と剣がぶつかり合う。滅茶苦茶に重いっ!


俺が即座に反応して無ければ、腕か、足の2、3本は飛んだろう。


相手の美しく紡がれたシルクのような銀髪の髪が軽く揺れる。


「はぁ。前世から君を見守ってあげているというのに………恩知らずな子だ。できれば穏和に事を済まそうと頑張ったんだがな」


そう言いながらその神は、軽く剣を横に振り抜いた。


ドゴォォォッッッッッ!!


俺の身体がその剣の振り払いによって軽く吹き飛ばされ、木の幹にそのまま

ぶち当たった。


「ぐはぁぁぁっ!?」


口から血が溢れ出してくる。

こいつの強さは尋常じゃないっ!


ていうか、何がどうなっているのか訳が分からない。さっきのスライムが実は此奴だった、ってか!?


俺が状況理解を全く出来ないうちにそいつは語り始めた。


「さて、少し君が大人しくなった所で、本題に入るとしようか?」


「……………」


「ははっ、君は何もしなくて良いし、何も言わなくて良いよ」


「僕は君に、君の過去を思い出させてやりたいんだ」


そして、その銀髪キザ野郎は不敵に笑いながらそのまま言葉を続けた。何を意図してそんな事を言っているのかが全く分からない。


「もし、君が君の過去を思い出したら

君は必ず、僕と共通の敵を持つ事になり恐らくは僕の味方になる事だろう」


「……どういうことだ……?」


何を唐突にほざきだしているんだ…此奴は?


「ははっ!まぁいい。時期に分かるさ」




では、早速始めようか。君に思い出させてやろう。


前世の記憶、そして10年前の記憶を。


そう言われたのを皮切(かわき)りに、俺の意識は忽然(こつぜん)と途絶えた。













次話は、やっと主人公の前世の話です。

主人公の前世編は、一話で完結します。


後、良かったらポイント評価をお願いします!!モチベーションのために!!

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