3話:静かな家
帰って、義喜は隠すことも出来ず、話した
『綾奈、今からゆっくり話を聞いてほしい。』
『うん。』
『勇希は、白血病らしい。今から入院しなければいけないけど、医者が全力で尽くすといってくれた。だから、きっと治る。心配するな。』
『え。嘘でしょ。勇希、白血病なの?』
やっぱり、綾奈は動揺する。そりゃそうだ。自分の子供が大きな病気になれば誰でも耳を疑い、不安になるだろう。
『綾奈、落ち着け。大丈夫。勇希なら大丈夫』
『うん。ごめん。私も病院に行くわ。』
綾奈の目には涙が浮かんでいる。
『行こう。大丈夫。綾奈、大丈夫。』
大丈夫と言う言葉に涙を流すのを辞め、車へと乗り込んだ。
病院についた
『勇希!大丈夫?』
綾奈は勇希に1番に声をかけた
『あ!お母さん!少しよくなったよ!』
『良かった。』
と、後ろから医者がくる。
『先ほど解熱剤を打たせたので、熱が下がりました。下がるだけでも楽になるからね!勇希くん、今日から、少しここにいることになるけど、大丈夫かな?』
『んー。大丈夫!』
『お、いい子だね!あれ?勇希くん、今度お兄ちゃんになるのかな?』
医者は綾奈のお腹を見て言った
『うん!僕もう少しでお兄ちゃんになるんだ!』
『そっかー!良かったねー!』
『うん!』
それから、勇希とたくさんお喋りをして、義喜と綾奈は家へと帰った
『勇希、少し元気になって良かったー』
『そうだな。でもあいつが白血病なんて信じられない。』
『私も。』
家に帰った。
勇希がいないせいか、家がやけに静かだ。
オモチャのガチャガチャする音、笑い声、勇希の匂い、からかうようにいじってくる手。そんな風景が今日はない。
『やけに静かだね。』
『だね。』
今日は笑ってる暇などない。
だって、勇希が白血病だと診断されたのだから。これからどうすればいいのだろうか。2人はそんなことを思っていた。




