夢オチ
読めば読むほど手直ししたくなる病が……10年前に書いたってのもあるけど、それにしても……ということで3話目です。楽しんでいただけたら、幸いです。
2016/09/25 修正
目を覚ましたら、家で寝ていた。
広志「あれ? なんで? 夢? 夢にしては、リアルやったなぁ。あはは、犬が喋るなんてないよなぁ、それに火星人って……変な夢やったなぁ」
楽しいような、ホッとしたような、ひとしきり笑った後に、あることに気づいた。
広志「ん? 待てよ……てことは……えー! 肝試しまたやんの!」
夢とはいえ、せっかく勇気を振り絞ったのに、なんだか損した気分だった。
イタズラに鳴る太鼓や笛の音が、祭りまでの時を刻んでいる。
チャイムも鳴らさずに、安夫は玄関を開けると、二階に居るであろう僕を呼んだ。
安夫「広志ぃ~、まだかぁ~?」
これがデジャヴってやつか……
ボソッとそう呟いた後、声を張って返事をした。
広志「待って、もうすぐ降りるから」
それにしても、夢といい現実といい、安夫はガサツな男やなぁ~などと思いながら、壁に掛けてあった浴衣に袖を通し、安夫の居る一階へ降りた。
僕は安夫と色々な屋台を覚えていないくらい渡り歩き、最後の盆踊りに至るまで祭りを満喫した。
夢のような時間は、いつだって早く過ぎていく。
あぁ~あ、肝試しかぁ~嫌だなぁ~。
安夫「んじゃ、帰るか?」
広志「へ? 肝試しは?」
安夫「はぁ? お前、またしたいんか?」
広志「え?」
安夫「お前も好っきゃなぁ、さすがに二日連チャンはダレてオモンナイって」
広志「えぇ!」
安夫「ハイハイ、お前が肝試し好きなんは、よう解ったから、また来年な」
広志「あ、あぁ……うん」
昨日、どうやって帰ったのかを聞くのが怖かった。
頭の中は混乱して何が何だか……とりあえず、大きく深呼吸して、落ち着いて、ゆっくりと、昨日のことを整理していった。
祭りは一週間あるから、今日あってもオカシイない。
昨日、肝試しがあって
赤い目の犬を見て
気絶して
帰りが遅いのを心配して、和兄ちゃんたちが連れて帰って……
ん?
いやいや、待てよ
そうやったとしたら
この安夫が「お前も好きやな」なんて言わんぞ!
「昨日は大変やった」とか「お前ヘタレやな」とか、絶対言う筈や!
考えても考えても、頭が混乱するばかりで、いつの間にやら家に着いていた。
広志「ただいまー」
母「アンタねぇ。祭りやからって遅いよ!」
広志「ごめんなさーい」
母「それから……アンタが預かったんやから、アンタが世話しいよ!」
広志「へ?」
母「へ? やないでしょ、ほんまにもう、この子は……秋男君が旅行に行くからって、預かったんでしょ!」
広志「えぇ!?」
母は、再び疑問符の付いた言葉を発した息子にあきれ、目を見開いて我がバカ息子を怒鳴りつけた。
母「遊び呆けて、忘れてしもうたんか!」
広志「あぁ! 犬やね、犬。覚えてるよ。覚えてる!」
あまりの怒声に驚いて、慌てて考える間もなく、咄嗟に返事をした。
母「シッカリしてよ! 預かった犬死んでも、お母さん知らんよ!」
僕は、その場を逃げるように庭へと向かいながらも、アレが居る怖さも同時に感じていたので、柱の陰から庭の様子を伺ってみた。
広志「居る……やっぱり喋るんやろうなぁ、この犬」
犬「誰が犬やねん!」
読んでくれて、ありがとうございます。




