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ワンダフル  作者:
1/9

犬捨ての山

現在、執筆中の別作品がなかなか捗らないので、昔書いた作品をアップしてみよーかと、楽しんでいただけたら幸いです。


2016/09/25 修正

 犬は、主人が迎えに来るのを待っていた。


「待て」


 その言葉は、まるで呪文のように犬を動けなくしていた。


 もう、どれくらい待っただろうか?


 空が赤く染まるに連れ、不安と寂しさがつのり、主人に声が届くよう、何度も何度もえてみた。


 主人に、何かあったのだろうか?


 やがてのどは枯れ、腹も空いてきた。

 食べ物を探しに行きたいところだが、その間に戻って来たらと考えると、この場を離れることができない。


 いったい、いつまで待てば、いいのだろう……


 陽が沈み、犬の心にも暗い陰を落とし始めていた。

     ・

     ・

     ・

 僕の村で、昔から伝えられている怖い話だ。


 イタズラを母ちゃんに見つかったりしたら「アンタも犬捨て山に置いてくで!」な~んて怒られたりする。


 もちろん『犬捨て山』はアダ名で、本当は『飛燕山』と言う立派な名前があったりするのだが、地元の人間で、その名を呼ぶのは、先生くらいなもんだった。

 実際に、その山で七日間も鳴き続けた犬が居たらしく、いつの間にやら物語が出来たに違いない。どこの地方にも、教訓や道徳として、怖い話ってのが在るもんだ。


 とは言うものの、半信半疑な僕らは、夏休みになると決まって『肝試し』を『犬捨て山』でしていた。


広志「今年も行くんか?」


安夫「行くに決まってるやろ、お前……怖いんか?」


広志「ちゃうわ! 去年も行ったから、別に今年行かんでもえぇのんとちゃうか? たまには他の事しようや」


安夫「アホ言え、今年は去年とは違うで! 一人や、一人で行くんや!」


広志「えぇ~」


 思わず、嫌な気持ちが声に出てしまった。


安夫「やっぱりお前、怖いんやろ?」

広志「ちゃうわ!」


 小馬鹿にされたような言い方に、慌てて否定したものの、正直、怖がりの僕は行きたくはなかった。


安夫「じゃぁ、今年も盆踊りの後な」


 去年は、クラスで一番ケンカが強い秋男とペアだったから、平気やったけど……

 今年は一人かぁ~、嫌やなぁ~。


久しぶりに読み返したりしてみると、誤字脱字が……手直しも大変だw

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