犬捨ての山
現在、執筆中の別作品がなかなか捗らないので、昔書いた作品をアップしてみよーかと、楽しんでいただけたら幸いです。
2016/09/25 修正
犬は、主人が迎えに来るのを待っていた。
「待て」
その言葉は、まるで呪文のように犬を動けなくしていた。
もう、どれくらい待っただろうか?
空が赤く染まるに連れ、不安と寂しさが募り、主人に声が届くよう、何度も何度も吼えてみた。
主人に、何かあったのだろうか?
やがて喉は枯れ、腹も空いてきた。
食べ物を探しに行きたいところだが、その間に戻って来たらと考えると、この場を離れることができない。
いったい、いつまで待てば、いいのだろう……
陽が沈み、犬の心にも暗い陰を落とし始めていた。
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僕の村で、昔から伝えられている怖い話だ。
イタズラを母ちゃんに見つかったりしたら「アンタも犬捨て山に置いてくで!」な~んて怒られたりする。
もちろん『犬捨て山』はアダ名で、本当は『飛燕山』と言う立派な名前があったりするのだが、地元の人間で、その名を呼ぶのは、先生くらいなもんだった。
実際に、その山で七日間も鳴き続けた犬が居たらしく、いつの間にやら物語が出来たに違いない。どこの地方にも、教訓や道徳として、怖い話ってのが在るもんだ。
とは言うものの、半信半疑な僕らは、夏休みになると決まって『肝試し』を『犬捨て山』でしていた。
広志「今年も行くんか?」
安夫「行くに決まってるやろ、お前……怖いんか?」
広志「ちゃうわ! 去年も行ったから、別に今年行かんでもえぇのんとちゃうか? たまには他の事しようや」
安夫「アホ言え、今年は去年とは違うで! 一人や、一人で行くんや!」
広志「えぇ~」
思わず、嫌な気持ちが声に出てしまった。
安夫「やっぱりお前、怖いんやろ?」
広志「ちゃうわ!」
小馬鹿にされたような言い方に、慌てて否定したものの、正直、怖がりの僕は行きたくはなかった。
安夫「じゃぁ、今年も盆踊りの後な」
去年は、クラスで一番ケンカが強い秋男とペアだったから、平気やったけど……
今年は一人かぁ~、嫌やなぁ~。
久しぶりに読み返したりしてみると、誤字脱字が……手直しも大変だw




