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お前がスパダリになれなかったせいで世界が滅びました。あーあ  作者: カブキマン


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8/17

行動に気をつけなさい

【ふざけるなと仰られましても】

「おかしいだろうが! どう考えても流れ変わってたろ!?」


 その命を賭してでもヒロインを守れるかどうかも分からない窮地。

 覚悟を以って命捨てがまる男とそれでも二人で生きる道をと願う女。

 交わる想いが呼び水となり力を手に入れヒロインに見送られ戦いに赴く。


「最早勝ち確じゃないか!!」

【創作とごっちゃにされましても】

「現実にスパダリは居ないんだよ!!」


 あぁあああああああ! と奇声を上げながら地団駄を踏むルイ。

 その顔はもう見るも無残なほど屈辱に塗れていた。


「クソクソクソクソクソァ! こんなことならアイツを上手いこと殺す方向のまま進めるんだった!!」

【あなた自分が何を目指しているのかお忘れで?】

「何のためのループだ!? ちょっとは考えてものを喋れ愚物が!!」

【なかったことになるなら何しても良いとか完全にワルの思考じゃないですか】

「誰が悪だ!? 奴にとっても罪を償えるんだから紛れもない善行だろうが!!」

【善……いやもう良いです】


 自認釈迦の相手をするのが面倒臭くなったのだろう。

 それ以上の追求はせずブラウンは前周の振り返りを始めた。


【まあでもファーストアタックにしてはかなり頑張った方だと思いますよ?】


 ブラウンの言うことは正しい。

 シンプルに雑魚かったと結論付けたがそれはあくまでスパダリ基準でだ。

 最終討伐数(スコア)が十三体というのは上澄みも上澄み。

 少ない? いやそんなことはない。見た目は愛くるしいがあれらは一体一体がかなり凶悪な怪異だ。

 それこそ裏の人間でも並みの手合いなら一体も倒せず終わってもしょうがないぐらい。


【何なら出来過ぎてわりと引いてますからね】


 テレビの画面が切り替わり戦闘時の映像が流れ出す。

 画面の向こうではルイが左手を食い千切られながら別の敵を蹴り飛ばしている。

 四肢を欠損しながらも痛みなり動揺なりで鈍ることもないのも恐ろしいが、


【あなたこれ“わざと”捨てましたよね?】


 画面下のテロップでブラウンが言うようにこれはわざとなのだ。

 ルイは戦闘中、優先順位をつけていた。一番は両足、二番目が利き手。

 機動力を奪われればどうしようもないのでここは厳守と決めていた。


【防げない躱せない。だが別の部分に攻撃を逸らすことは出来る】


 更に付け加えるなら攻撃のチャンスも掴める。

 ルイは戦いの中でぬいぐるみたちが同士討ちにならないよう動いていることに気付いていた。

 だからこそ使えると判断した。自分が腕を捨てる際に生じる敵方の僅かな停滞。

 そこを狙えば敵の数を減らすことが出来ると考えたがゆえの腕を捨てるという判断。


【その判断が下せることも驚きですが特筆すべきはその速さ。一切躊躇がなかったように見えます】


 手練れならばそれぐらいはやってのけるだろう。

 だがここに居るのは繰り返しで無駄に齢を重ねてはいても普通の少年。

 特に直近の六年は只管勉強に励んでいただけ。

 にも関わらず刹那の状況判断を誤らないのは凄いというより普通に引く。


「当然。僕だぞ?」


 そしてこの不遜。何があっても己を疑わない自己肯定の鬼。

 人間としてはさておき自身を取り巻く異常な環境にはこの上ないほど噛み合っていると言えよう。

 いやホント、人間としてはどうかと思うが。


「……それより、だ。聞きたいことがある」

【構いませんよ。答えられるかどうかは別ですが】


 解決に向けほんの僅かでも前進したからだろう。

 相変わらず文字だけではあるがブラウンはどこか機嫌が良さそうに見える。


「――――僕を食ったあのぬいぐるみはどうなった?」

【――――何て?】


 何かのキャラものっぽい巨大なぬいぐるみに頭を丸かじりにされルイは死んだ。

 そうして説教部屋(リザルト)に入ったわけだが何故、そのぬいぐるみのその後を気にしているのか。

 既に終わったこと。ああいや、次周を見据えての戦力分析? だとしても……。

 怪訝そうなブラウンを無視しルイは言う。


「奴はこの僕を食ったんだぞ!?」

【はあ、そうですね】


 ルイが何を言いたいのかを簡潔に説明するなら少年漫画でよくあるアレだ。


「有象無象のぬいぐるみのまま終わって良いわけがなかろうが!!」

【は?】


 俺に勝ったんだから負けるのは許さないとかいうアレ。


「奴には世界を滅ぼす怪物ぐらいにはなってもらわんと困る」

【……】

「ああ、世界の終わりに現れる黒い怪物を押し退けて奴が世界の滅びになるべきだ」

【……】

「欲を言えば宇宙一つを破壊するぐらいはやって欲しいけど僕は謙虚で慈悲深いからな」


 そこまでは求めないとルイは肩を竦める。

 このさも自分が妥協してやった感は何なのか。

 一体何を妥協すればこんな最低な少年漫画のお約束に辿り着くんだ。


「で、どうなんだ?」

【……知りませんよ。あなたが死んだ時点で巻き戻しましたからね】


 文字だけだがブラウンは心底呆れているようだった。

 そりゃそうだ。世界を救うという本筋からはマジで無関係なのだから。

 だがルイの次なる言葉を聞きブラウンは驚愕することになる。


「へえ、じゃあ世界が枝分かれするわけじゃないのか」

【ッ!?】


 ルイは繰り返しの形として二つ、考えていた。

 ある地点で死んだ自分を摘まみ上げて過去に戻す形。

 これだとルイが死んだ後も世界は続きやり直しによって新たな分岐が発生する。

 もう一つは世界を丸ごとリセットする形。こちらであればやり直す度に世界が増えていくことはない。


【……なるほど。ふざけた会話でこちらを探っていわけですか】


 大人しくループを受け入れたとは言え、だ。

 年齢性別どころかそもそも人間かどうかすら怪しい存在に心を許すだろうか?

 あまりにも無関心だったから気にしていないと思っていた。

 しかしそれはブラフ。警戒心を持ったまま探りを入れていたわけだとブラウンは言うが、


「いや別に? 単にそうなんだって思っただけだが?」

【え】

「お前頭悪いだろ。仮にそういう理由ならわざわざ今、それを悟らせるか?」


 胸に秘めたまま次の周回に行けば良い。

 ブラウンを警戒しているのだとすればそれを相手に察知させる理由がどこにあるのか。


「敢えて知らせることで牽制なり別のアクションを引き出すという手もなくはないけどさ」


 だとしても時期尚早。少なくともこのタイミングではない。

 ルイの反論は至極尤もだがそれはそれとして、


【な、何でしょう。あなたに正論を言われると驚くほどにムカつく……】


 やっぱ日頃の言動って大切。マザーテレサもそう言っとる。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

励みになるので気に入って頂けたらブクマ、評価よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
素晴らしい身体能力に優れた頭脳。 それらを台無しにする精神性。 でも、技術がまだ足りない。 これからどうやって克服するのか楽しみです。
こんなカスな性格がブラフな訳ないじゃろ 真のスパダリならともなく自認天上天下僕が独尊やぞ
ルイくんクソ強い。学業より戦闘能力にステ振ってるのかな?
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