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上司がSNSでバズってる件  作者: KABU.


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29/50

第29話:“公私混同”という名の試練

木曜日。

朝から、空気がピリついていた。


「……会議資料、差し替えです」

「了解」


周りの視線が妙に冷たい。

ざわざわと噂の気配がまた漂い始めていた。


「あの二人、やっぱり付き合ってるらしい」

「会議中も目で会話してるって」

「“信頼と恋の両立”とか、ドラマかよ」


(……また始まった)


柊の声が飛ぶ。

「藤原、例の提案書、昼までに共有頼む」

「はいっ!」

(……いつも通り、仕事中は完全に“課長モード”。

 でも、それが逆にバレバレなんですよ……)



昼休み。

社内チャットに通知。


【臨時会議】

テーマ:業務上の公私混同に関する検討


(うわぁ……タイトルからして地雷!)


成田「おいおい、まさかあの件か?」

美咲「間違いないわね。例の“恋も仕事も両立”発言が議題」

「ひぃぃぃ!」

「まあ、覚悟決めなさい。“理想の上司”は見られる立場なんだから」



午後。

会議室A。

部長、役員、広報チーム――

そして、柊と真由。


部長「柊君。正直に聞く。君と藤原さんの関係は?」

柊「交際しています」

(即答ぉぉぉ!)


会議室が一瞬ざわめく。


「……社内規定に抵触する可能性があるが?」

「把握しています」

「プロジェクト進行に影響は?」

「ありません。仕事と感情は分けています」

(え、さっき“両立”って言ってたじゃないですか!?)


「ただし――」

柊は真っ直ぐに前を向いた。


「“分ける”ことと、“隠す”ことは違うと思います」


部長「……ふむ」


「信頼関係の延長線上に“想い”が生まれた。

 それは否定すべきことではない。

 俺たちは、誠実に業務を果たしています」


沈黙。

そして、隣で真由も口を開いた。


「……私も同じです。

 仕事を疎かにしたことは一度もありません。

 むしろ、誠さんと一緒にいることで、

 “信じる強さ”を知りました」


部屋の空気が少し変わる。

ざわめきが、静寂へと変わっていく。


部長が深く息をついた。


「……わかった。プロジェクトの成果が出ている以上、

 今は見守ろう」


(よ、よかった……!)



会議後。

廊下を出ると、真由はその場にへたり込んだ。


「も、もう心臓もたない……」

「よく頑張った」

「課長こそ即答早すぎですよ!」

「嘘をつく方が不自然だ」

「誠実のバーゲンセールですか!?」


彼が小さく笑う。


「でも、君が隣にいてくれたから言えた」

「……反則です」

「もう何回目だ、それ」

「知らないです!」


成田(遠くから)「おーい、“公私混同ペア”ー!記事になるぞー!」

「やめてくださいぃぃぃ!」



夜。

社外クライアントとのオンライン会議。

画面越しに、代表が笑う。


「いやぁ、あの二人の信頼感、見習いたいよ。

 プロジェクト成功の理由がわかった気がする」


柊「ありがとうございます」

真由「恐縮です……!」


会議が終わると、

柊が小声で言った。


「な? 公私混同って言葉、悪くないだろ」

「どういう意味ですか」

「“公”でも“私”でも、君が必要ってことだ」

「……そういう台詞、ナチュラルに言わないでください」

「自然体だ」

「便利すぎます!」


笑いながら、

真由は画面を閉じる。


(――“混同”じゃなくて、“共有”。

 それが、私たちの関係なのかもしれない)



深夜。

SNS通知。


《@WORK_LIFE_BALANCE》

「“公私混同”とは、信頼を仕事にも恋にも注ぐこと。」


《@mayu_worklife》

「じゃあ、私も全力で“混同”していきます。」


コメント欄には、

“理想の上司、理想の恋人、理想のチーム”

“これが本当のバランスかも”


(――やっぱり、隣にいるって、最強のチームだ)

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