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上司がSNSでバズってる件  作者: KABU.


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27/50

第27話:噂の再燃と、初めての“手つなぎ”

月曜の朝。

出社早々、オフィスがざわついていた。


「……おい見たか? SNS!」

「見た見た! “理想の上司ペア、休日デート目撃!?”だって!」

「え、手つないでた写真あったぞ!」


(……うそでしょ!? 昨日の駅前!?)


真由の頭が真っ白になった。

スマホを開くと、タイムラインが“例の二人”で埋まっている。


“この距離感、ただの上司部下じゃない”

“理想の上司シリーズ、リアル恋愛編スタートか!?”


(ちょっと待って……これ、完全に私たちの後ろ姿!)


その瞬間、成田が駆け寄ってきた。


「藤原ぁ! 週末に“理想の上司とデート”って、マジかよ!?」

「ま、待ってください! それ誤解です!」

「手、つないでた写真出てるけど!?」

「そ、それはっ……!」

(“自然体でいい”って言ったの、私だった……!)



「おはよう」

振り返ると、柊。

スーツ姿、いつも通り。


「課長、あの……SNS……!」

「見た」

「どうします!? 削除依頼とか……!」

「放っておこう」

「放っておく!?」

「真実を隠す理由はない」

「そういう問題じゃなくて!」


成田「やっぱり公認カップルだ〜!」

「成田さんまでぇぇぇ!」



昼。

広報部に呼び出される。


美咲「お二人さん、またトレンド取ったわね」

「よくない意味でですよ!?」

「まぁまぁ、“恋も仕事も本気な上司と部下”って、バズってるから」

「タイトルがカジュアル地獄です!」

「で、手つなぎは本当なの?」

「えっと……その……」

柊「本当だ」

「課長ぉぉぉ!?」

「隠す方が不自然だ」

「いや、正直にも限度が……!」


美咲「……いいじゃない。むしろ“信頼が恋に発展する”ってテーマ、社内キャンペーンに使えるかも」

「キャンペーン!?」

「“信頼から始まる関係”って、今の企業が一番求めてるメッセージよ」

柊「悪くない」

「よくないですってぇぇ!」



夕方。

帰り際の廊下。

誰もいない。

沈黙のあと、真由が小さくつぶやく。


「……本当に、放っておいていいんですか?」

「ああ」

「でも、また変な憶測とか……」

「それでもいい。

 俺は、君の隣を歩くことをやめない」


「……」

「俺が守るって、言っただろ」

「……誠さん」

「ん?」

「もう、会社の人前でそういうこと言わないでください……顔が熱くなります」

「なら、耳元で言うか?」

「もっとダメです!」


(……なんでこの人、こんなに自然に言えるんだろう)



外に出ると、夕焼け。

駅までの道。

昨日と同じ交差点。


「……ここ、昨日も通りましたね」

「ああ」

「人、多いですよ」

「問題ない」

「また写真撮られたら……」

「いい」

「えっ」

「もう“隠す”より、“見せて信じてもらう”ほうが早い」

「……そんな、簡単に言わないでください」

「簡単じゃない。

 でも、君と歩くことを“間違い”にしたくない」


(ずるい……その言い方)


「……じゃあ」

真由がそっと、指を伸ばす。

彼の手に触れた。


「今度は、私からつなぎます」

「……」

「これで、おあいこです」


柊が静かに笑った。

「了解した。自然体だな」

「自然体って便利な言葉ですよね」

「君が教えてくれた言葉だ」


夕日の中、二人の手が重なる。

その瞬間、まわりの喧騒が遠のいていくようだった。



夜。

スマホの通知が鳴る。


《@WORK_LIFE_BALANCE》

「“噂”は風だ。吹き抜ける。でも、“想い”は残る。」


《@mayu_worklife》

「なら、私はその“残る想い”を選びます。」


コメント欄は、

“この二人、本気だな”

“理想の上司、ついに恋も仕事も制覇”


真由は画面を見つめて、ふっと笑った。


(もう、噂じゃなくていい。

 ちゃんと、“好き”って言える関係でいたい)

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