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上司がSNSでバズってる件  作者: KABU.


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23/50

第23話:“好き”を認めた日

朝。

社内の自販機前。


「おい真由! 広報誌、見たか!?」

「……まだです。なにか載ってました?」

「“理想の上司と部下”特集、公開されたぞ! トップページだ!」

「えっ、トップ!?」


成田がスマホを見せる。

そこには――


“言葉の距離を超えて――信頼の先にある想い”

柊 誠 × 藤原 真由


笑顔の二人。

記事内にはあの一文。


『信頼の先にあるのは、もはや“好き”という感情かもしれません。』


(……書かれてる。思いっきり“好き”って)


「うわぁぁぁぁ!」

「どうした真由!?」

「いやぁぁぁぁぁ!」

「落ち着けって!」


(誰が編集許可出したの……!? まさか……)


背後から低い声。


「俺だ」

「課長ぉぉぉぉ!?」

「“誠”だ」

「そういう問題じゃないです!」


柊は落ち着いた表情でコーヒーを取る。


「事実を隠すより、伝えた方がいい」

「“好き”って単語を会社の広報誌で伝えるのは違うと思います!」

「そうか?」

「そうです!」

「でも、もうみんな読んでる」

「……ですよね……」


成田「SNSでもトレンド入りしてたぞ。“理想の上司、リアルに恋してた”」

「やめてぇぇぇ!」



昼休み。

カフェテリア。

人の視線が痛い。


「“信頼の先の好き”って、あれ藤原さんのこと?」

「まさか〜、でもお似合いだよね〜」

「絶対そうでしょ、あの二人空気似てるもん」


(……無理、恥ずかしすぎる)


真由はトレイを持ったまま、壁際に逃げ込む。

その背後に――柊。


「逃げても無駄だぞ」

「ストーカーみたいな言い方やめてください!」

「……昼、一緒にどうだ」

「え?」

「目立たない席、確保してある」


(……策士)


二人は隅の席へ。


「……こうやって隠れるの、なんかドラマみたいですね」

「俺は現実主義だ」

「でも、“現実”でこんなに注目されるなんて思わなかったですよ」

「注目されるのは、君が真っ直ぐだからだ」

「またそういう言い方……」


沈黙。

でも、居心地は悪くない。


「……あの記事の“好き”って、どういう意味で言ったんですか」

「そのままだ」

「はっきり言わないとわかりません」

「“君が好き”だ」


「っ……」

息が止まる。

本当に、まっすぐすぎる。


「……仕事上の、ですよね?」

「違う」

「えっ」

「“人として”だ」

「そ、それも違います!」

「じゃあ、“恋愛として”だ」


(ちょっ……本気すぎません!?)


「課長……!」

「誠」

「……誠さんっ!」


その呼び方をした瞬間、

彼の表情がやわらかくなった。


「その呼び方の方が、好きだ」

「……また反則です」

「言われ慣れてきたな」

「慣れないです!」


二人のやり取りに、遠くの席の社員たちがそっとスマホを構える。


(お願い、撮らないで……!)



午後。

広報チームミーティング。


美咲「二人とも、すっごい反響よ。“理想の上司、理想の恋人”って記事依頼が来てる」

真由「ちょ、やめてください! もう十分恥ずかしいです!」

成田「ついに社外デビューか〜!」

「やめてぇぇぇ!」


柊「……断らない」

「課長!?」

「“理想の上司”の定義を変えるなら、

 “恋も働くことも、誠実であっていい”って示したい」

「真面目に言わないでください! 余計に止めづらいです!」


美咲「もう決まりね。社外特集、動かすわ」

「美咲さん!?」


(終わった……この人たち、容赦ない……)



夜。

帰り道。

ビルの夜景が窓に映る。

隣を歩く彼。


「……後悔してませんか?」

「何を?」

「“公の場で、好きって言ったこと”」

「してない」

「どうしてそんなに言い切れるんですか」

「君が笑ったから」


「……」

「俺にとって、“好き”って言葉は、

 人の生き方を決めるくらい大切なものなんだ」


(……私も、そう思う)


「……じゃあ私も」

「ん?」

「“好き”って言っていいですか?」

「聞こう」

「……誠さんが、好きです」


夜風が、優しく吹いた。


「やっと聞けた」

「遅いって言わないでください」

「言わない。むしろ、完璧なタイミングだ」


二人の影が重なって伸びていく。

それはまるで、“信頼”の先に芽生えた光のようだった。

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