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上司がSNSでバズってる件  作者: KABU.


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15/50

第15話:噂とハッシュタグ

昼下がり。

新プロジェクト「BRIDGE」の準備が進む中、

社内チャットがざわつき始めていた。


「ねぇ見た? “#理想の上司復活”ってタグ、またトレンド入りしてる」

「マジ? 今度は“理想の上司×部下の絆”だって!」

「え、なにそれ! BLみたいなタイトル!」

「ちがうちがう! あの“理想の上司”本人が、また投稿してんの!」


(え……まさか、課長……?)


真由が慌ててスマホを開く。


《@WORK_LIFE_BALANCE》

「“仕事”の相棒は選べないけど、

 一緒に歩く相手は、自分で決めたい。」


(……やっぱり!)



隣の席で、成田がニヤニヤ。


「なぁ真由〜、これ、完全に藤原のことじゃね?」

「な、なんで私!?」

「“相棒”って言ったら、お前しかいないだろ!」

「ち、違うってば! たまたま!」

「ほぉ〜、“たまたま”ね?」

「だから違うって言ってるでしょ!」


そこへ、柊が書類を持って現れた。


「おしゃべりはそこまでだ。午後の会議、準備しろ」

「は、はいっ!」


(……課長、聞こえてた?)


すれ違いざま、彼が一瞬だけ目を向けてきた。

その視線に、ほんの一瞬の“照れ”が混じっていた気がした。



会議中。

広報部と営業部のメンバーが揃う中、

美咲が冗談めかして口を開く。


「ねぇ、“理想の上司”さん。

 またSNSでバズってるわよ?」

「……俺は今、会議中だ」

「“仕事の相棒は選べないけど〜”って、

 あれ、社内ネタだと思われてるみたい」


(わぁ、美咲さん直球すぎる!)


柊は軽く咳払いして、ホワイトボードに向き直った。


「プロジェクトに関係ない話は後にしよう」

「はいはい、“プロジェクト限定の相棒”ね」


(だからそういう言い方やめてぇぇぇ!)



会議が終わり、

廊下に出た真由の背中を柊が呼び止めた。


「藤原」

「はい!」

「……あの投稿、気にしてるか?」

「い、いえ、まぁ……!」

「誤解を生まないように気をつける」

「そんなの、気にしなくていいですよ」

「いや、君が困るだろ」

「困ってません!」


少し沈黙。


「むしろ……嬉しかったです」

「……そうか」


一瞬、彼の目元がやわらかくなった。

けれどすぐに真剣な顔に戻る。


「とはいえ、社内は敏感になってる。

 “理想の上司”関連は当面、控えるように言われた」

「そんな……」


(また、言葉を奪われるの?)


「俺のアカウントは凍結にはならなかったが、

 監視対象にはなった」

「じゃあ……もう、投稿できないんですか?」

「……たぶんな」


(そんな……あの言葉たちが、たくさんの人を救ってたのに)



夜。

オフィスの照明が少しずつ落ちていく。

残業しているのは、柊と真由だけ。


「課長、今の気持ち、SNSに書けないのつらいですか?」

「……正直、少しな」

「ですよね」

「でも、それでも君が隣にいるなら、それでいい」


「っ……」


顔を上げると、彼の目が真っすぐ自分を見ていた。


「“発信”より、“共有”のほうが難しい。

 でも、俺は今、それを学んでる」

「共有……?」

「君と、だ」


(ずるい……またそうやって真面目に言うから)


「……SNS、禁止されても、“言葉”まで止められませんから」

「そうだな」


二人の笑顔が重なる。

それはもう、“上司と部下”ではなく、

“相棒”の笑顔だった。



数日後。

社内でまた噂が流れる。


「見た? “理想の上司”が“いいね”してた投稿」

「“隣にいる人こそ、答え”ってタグ付けてた!」

「誰の投稿に!?」

「“@mayu_worklife”!」


(――ばれた!)


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