46話 進化
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進化?なんで今?
《検索結果:魔力量が一定以上に達することにより行われる進化》
一定以上の魔力?俺は今、魔力量が増えるようなことをしたか?
《検索結果:魔力の引き継ぎ。他生物を殺した場合、その生物が保有している魔力が、その生物を殺した生物に譲渡される》
なるほど、俺の場合は、五万人の人間を殺したことで、大量の魔力を受け取り、その一定以上の量になったってことか。
そして、進化が始まる。
《通常能力『気配感知』『熱源感知』『音源感知』『敵意探知』が、特殊能力『万能感知』へと進化しました》
《通常能力『火炎操作』『液体操作』『反重力』が、特殊能力『法則操作』へと進化しました》
《通常能力『憤怒』『狂気』『殺人』が、通常能力『精神操作』へと進化しました》
《通常能力『魂操作』『精神操作』が、特殊能力『精魂操作』へと進化しました》
《通常能力『結界』が、特殊能力『万能結界』へと進化しました》
《通常能力『分身』が、特殊能力『同一分身』へと進化しました》
《通常能力『清潔化』が、通常能力『聖域構築』へと進化しました》
《通常能力『透視』及び、特殊能力『全方視野』が、特殊能力『空間把握』へと進化しました》
《特殊能力『分解吸収』が、特殊能力『無限吸収』へと進化しました》
《耐性能力『麻痺耐性』『毒無効』が、耐性能力『状態異常無効』へと進化しました》
《耐性能力『物理攻撃耐性』『衝撃耐性』が、耐性能力『物理攻撃無効』へと進化しました》
《耐性能力『精神攻撃無効』を獲得しました》
――そして。
《種族固有能力『情報奉呈』が、固有能力『森羅万象』へと進化しました。尚、階級は古代級です》
タクナに、固有能力が開花する。
《スキルの獲得、及び進化が完了しました。これより、種族進化を開始します》
そして、タクナの体を黒い光が包み込む。
そして、種族進化を――さらなる高みへと。そして、さらなる深みへと。
《種族進化の前準備のため、闇狼の肉体を分解します》
!?
何だこれ!?痛い、熱い!『痛覚無効』が仕事をしていない!
体が、動かない。いや、体が無くなっているようだ。
大丈夫か、これ?このまま死ぬなんてシャレになんねぇぞ……。
《続けて、闇狼の進化先の種族を検索……該当無し》
は?
《続けて、闇狼の上位種を検索……該当無し》
《続けて、闇狼から転換できる別種族を検索……該当無し》
おいおいおい!ちょっと待て!
該当無し!?じゃあ、進化できないってことか!?俺、この痛みを永遠に味わうことになるのか!?
そろそろ、意識も薄れてきた……。
《進化できる種族が見つからなかったため、新たなる種族を構築します》
……?
待って、何を……?
そこで、俺の意識は途切れた。
タクナの意識が途切れようと関係なく、世界は進化を続ける。
そして。
《種族の構築を開始……新たなる種族の参考資料として、個体名:タクナの記憶を読み取ります……》
《続けて、参考資料として、個体名:タクナの行動を検索します……》
《続けて、参考資料として個体名:タクナの魂を読み取ります……》
《完了しました。参考資料を基に、新たなる種族の肉体情報を作成します》
《完了しました。次に、魔力で肉体を形成します……》
そして、タクナの剥き出しになった魂を覆っている、魔力が形を持ち始める。
《完了しました。次に、個体名:タクナの魂を肉体に定着させます……》
《完了しました。次に、個体名:タクナの魔力を肉体に定着させます……》
《完了しました。世界のシステムに、新たなる種族情報を記録します……》
《完了しました。最後に、新たなる種族名を生成します……》
《完了しました。尚、新たなる種族名は光闇混成狼です》
この世に誕生した、新たなる種族、"光闇混成狼"。
光と闇。相反する、混ざり合うことがない二つが混ざった、矛盾。
それが、たった今この世に生を成したのだった。
《光闇混成狼へと進化したことにより、種族固有能力『属性変換』を獲得しました》
――さらに。
《固有能力『混沌神』を獲得しました。尚、階級は神話級です》
二つ目の固有能力が芽生えた。
そして、世界は第二段階へと移行する。
《これにて、進化が完了しました》
《これより、特典を開始します。尚、特典は"願いの成就"です》
《個体名:タクナへ、世界から質問……願いは何ですか?》
本来であれば、ここでタクナが返事をするのだが、今回は意識が無い状態。
だが、タクナからの返事が無くても、特典は進行する。
《個体名:タクナからの返事を認識できませんでした。そのため、世界が代行して特典を実行します》
《個体名:タクナの願いを把握するため、さきほど読み取った個体名:タクナの記憶、行動、魂を再度読み取ります……》
《完了しました。個体名:タクナの願いを把握しました。個体名:タクナの願いは、"個体名:タクナが治める街の死者を、蘇生させる"です》
タクナの望みは、戦争にて死んだ皆を、リナを蘇らせること。
タクナは諦めたつもりだったが、それでも意識の奥底で、そう願っていたのだった。
《個体名:タクナの願いを叶えるための手順を作成します……》
《完了しました。次に、蘇生に必要な物が揃っているかを確認します……》
《死者の肉体……探知しました。肉体の欠損を確認……魔力から、欠損部分を生成します……完了しました》
《死者の魂……特殊能力『無限吸収』の異空間内にあることを確認しました》
本来、肉体が生命活動を停止したら、魂は肉体から剥がされ、そのままどこかへ消えて行ってしまう。
だが、その魂は『生者への祝福』により閉じ込められ、消失しなかった。
そして、タクナが『生者への祝福』を『吸収』した時、同時に魂をも『吸収』していたのだった。
《全て揃っていることを確認。これより、蘇生を開始します》
《問題発生。個体名:タクナから死者まで、魂を移動させることができません》
発生した問題。だが、世界はそれに焦らず、対抗策を考案する。
《対抗策として、特殊能力『空間把握』を特殊能力『空間支配』へと進化させます……完了しました》
《特殊能力『空間支配』を使用し、死者とここを繋ぎます》
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タクナの治める街にて。
突如、街の上空に巨大な魔方陣が現れた。
そして、その魔方陣から、光の玉のような物が飛び出し、街の中を動き始めた。
まるで、何かを探すかのように。
まるで、自分の元の肉体を探すかのように。
そして、数分後。魂は動きを止めた。それぞれ、自分の元の肉体の上で。
《これより、蘇生を開始します》
すると、魂から漏れ出た魔力が肉体に纏わり、肉体の欠損や損傷部分を再生させた。
《次に、肉体に魂を宿らせます……》
そして、魂は肉体へと宿る。自分の体へと。
《完了しました。次に、魂を肉体に定着させます……》
《完了しました。次に、魔力を肉体に定着させます……》
《蘇生が完了しました》
《これにて、特典を終了します》
それを最後に、声は途切れる。
そして、巨大な魔方陣が消え去り、元の薄暗さと静けさを取り戻した。
その静けさの中、簡易遺体安置所の隅で――――リナが、目を開いた。
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ステータス
名前:タクナ
種族:光闇混成狼(固有種族)
称号:光闇を統べる者
固有能力:
『混沌神(階級:神話級)』
『森羅万象(階級:古代級)』
種族固有能力:
『属性変換』
特殊能力:
『万能変化』『超回復』『空間支配』
『思考共有』『無限吸収』『法則操作』
『万能結界』『同一分身』『聖域構築』
『万能感知』『精魂操作』
耐性能力:
『状態異常無効』『寒熱無効』『物理攻撃無効』
『痛覚無効』『精神攻撃無効』
光闇混成狼の名前はちょっと適当です。後で変えるかも。
補足
・一定以上の量とは、最大魔力値の約5
倍です