時間
カナタ目線です!
やった4話目だ
カチッ カチッ カチッ
ただ、時計の秒針の音が目立つほどに図書室は静まり返っていた。
僕は、本に顔を向けたまま視線だけ横にやった。
そこには、ただ黙々と本の返却作業をするアヤ先輩がいた。
返却ボックスから一冊一冊丁寧にバーコードを読み取り別の箱に移す。
(何時間でも見てられる)
ふと、そんなことが頭をよぎった。
なんでそんなことを思ったかなんて明らかである。
好きだからだ、可愛いからだ。
誰だってそうだろう、愛おしい物や人を見れば心が安らぎ見続けていたいなんて当たり前のことだ。
そして、それは見続ければ自ずともっと近くにいたい話したい触れたいというものえと変わっていく。
(ここ最近見るだけでは足りないことに、もっと話したいもっと近くにいたいって、でも、やっぱりできないや分かってるんだ彼女が僕に興味なんて無いってことぐらい...分かってるんだ)
僕は、心の何処かで諦めをつけるかの如く繰り返し
"彼女は僕に興味なんて無い"と打ち付けた。
「どうかした?」
「え...あーそろそろ変わりますね、先輩本の点検の方お願いします」
「...分かった」
(あーびっくりした!やばい見てたのバレたかな?バレたよね!?しまったー完全に油断してたって言うかちゃんと話せてだよね変に顔ニヤけて無かったよね?あー...やらかした!)
カナタの心は一気にパニックに状態となった。
ちゃんと話せていたか、顔話せてニヤけていなかったなど様々な方向に疑問が焦りで散らばっていきもう収集がつかない。
カナタはただ焦りを落ち着かせようとひたすらに返却作業に打ち込み続けた。
しかし、いくら作業をしても彼の思考に踏ん切りはつかずそのまま、帰宅時間となった。
帰路に向かうカナタはまだぐるぐると同じ疑問の繰り返しをしていた。
いつもは長く感じる帰路も、一瞬に感じた。
「ただいま...」
「おかえりー早く手洗って着替えてきなさ...あんた何かあった?」
母親の勘という物だろうか、その勘は鋭くカナタ
の心をついた。
「なんでも無い」
カナタはそう言うと、さっさと手を洗い二階にある自分の部屋へ入るとすぐベッドにダイブした。
(あぁ、上手く出来ないなぁ)
カナタはただベッドにうずくまることしか出来なかった。
ゆっくり考えるって本当に大事ですね。