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一つの五感

28話目です。

カヤの部屋に戻るとカヤは手土産をつまみにお酒を飲んでいた。

すでに何本かの新しい空き缶がカヤの周りに転がっていてカヤの頬も赤かった。

「おかえり、どうだったかな。うまくいった」

「…まぁ、たぶん、その」

アヤはどう言い表そうか少し戸惑った。

「ふーん。でも、一日であの性悪ババァの家に上がれたのは君くらいだよ。私なんて一度も上がった事ないや。」

「わかるんですか。まさか、付いてきて…」

「まさか、あの婆さんと同じ線香の匂いがしたから憶測で話しただけだよ。」

カヤは不適な笑みを浮かべた。

アヤは少し気味が悪くなり後退りした。

冗談だと笑いながら、カヤはお酒を一気に飲み干した。

「とりあえず、今日の所はこんなもんかな。それにしても、すごい収穫だったな。明日はもっと踏み込んだ事しても面白いかも。」

カヤはそう言ってアヤを家まで送り届けた。

行きとは違って、カヤはまるで自分の庭を歩くように複雑な道をスイスイと歩きあっという間に自宅に着いてしまった。

「変な道だろ、でも、これくらいがおもしろいんだよ。」

道をどんどん進んで行く所々で、少し得意げな顔をしたカヤは、子供の様な純粋さが感じられた。

次の日

「それじゃ、今日は知らない人に注意してみようか。」

アヤは少しポカンとした後にカヤに腕を引っ張られあれよあれよと人通りの多い街中に着いた。

「こんだけ人が居るんだ、トラブルの一つや二つは直ぐにおきるさ。探してみよう。」

カヤはそう言うも、街中は人がごったがえして、一人一人を集中して見るのは困難だった。

一方のカヤと言えば、先ほどから目を閉じて、どっしりとかまえているだけだった。

アヤはその内目が回りそうになり、その場にヘタレ込んだ。

「バカだなぁ、こんなに人が居るのに目なんか使ってたらそりゃ、疲れるよ。」

アヤは、カヤの言った事に矛盾をかんじた。

トラブルを探すのに目を使わないとはどういう事かと少し悩んだ。

すると、カヤは自分の耳を指差した。

「物事を探すのに一つの五感に頼るのは限界がある、その場その場に合ったものを使い分けるんだよ。例えば、今みたいに対象が多く居る場合は耳を使うのが良いかもね。試してみれば。」

アヤはカヤと同じ様に目を閉じて、耳をすませてみたが、やはり、何も分からない。

「見つけた。」

カヤはいきなり閉じていた目を開き、走り出した。




アヤ目線です。

まだまだ、アヤ編は続く。

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