ペテン師
27話目です。
どうすればいいのだろうか。
アヤは知らない無愛想な顔をし草むしりをするおばあさんを前にただ、呆然と突っ立ていることしかできない。
もう、何分いや、何十分経っただろうかと時計を確認するも、まだ、二分と経っていない。
自分と何十歳と歳が離れた赤の他人と、どう仲良くなれば良いかなど思いつくはずも無かった。
だが、一度やると決めたからにはもう後には引けない。
背中から全身にかけて変な熱がつたっていく。
(あいさつ…あいさつだけでも出来れば良いよね)
アヤは明暗に見せかけて逃げる口実を作ろうと口を開いた時、向こうに先手をとられた。
「あんた、いつまでそこで見てる気だい。暇なら少しは手伝ってくれても、損にはならんだろう。」
アヤは必死になんて答えようか考えたが、思いつく度に先を越された。
「暇で無駄な時間を、年寄りを助けるっていう有意義な時間にしてやろうってんだ。良いだろう。」
無愛想な顔から無愛想な声で命令された。
アヤは従った方が身の為だろうとおばあさんの横について草むしりをはじめた。
二、三本抜いたあたりでいきなりどなられた。
「違う、もっと根本から抜くんだよ。そうしないとすぐ伸びてきて、また草をむしる事になるだろ。」
びっくりして硬直してしまったが、分かったら手を動かすと言われ恐る恐る草むしりを再開した。
あらかた、抜き終わるとおばあさんは立ち上がって腰をさすりながらアヤの顔をまじまじと見た。
「まぁ、ここの奴らに比べりゃ幾分かマシか。」
ため息混じりにそう言うと着いてこいと、アパート近くの家に案内された。
家の中は線香の匂いがしみついていて、アヤは和室に案内された。
おばあさんはすぐに、座布団に座った。
「何、突っ立てるんだい。早くおすわり。」
アヤは急いでおばあさんの向かいの座布団に座った。
おばあさんはじっくりとアヤを見て、また、ため息をついた。
重苦しい、時間が流れる中、おばあさんはやっと口を開いた。
「あんた、どうせあの"ペテン師"のまわしもんだろ」
「"ペテン師"…」
「ほら、あの白髪の生簀かないガキだよ。カウンセラーとか名乗りながらいつもヘラヘラしてるから、そう呼んでやってんだよ。」
「はぁ」
アヤは一瞬ペテン師というのを否定しようかと思ったが、あまりにもしっくりきすぎてやめた。
「アイツにはホントにまいるよ、部屋は乱暴に扱うし、ゴミ当番はさぼるし、色んなヤツをしょっちゅう家に呼ぶし。でも、一度も家賃を滞納した事が無いのは他の連中と比べてマシか…。」
アヤはどう答えていいか分からず暫くは黙って話を聞いていた。
それからも、おばあさんはカヤの悪口やいつか、本当に犯罪でも犯すんじゃないかハラハラするなど言いたいほうだいだった。
「まぁ、要するにあまりアイツとは関わるんじゃ無い。特にアンタみたいな若いヤツがなんかに巻き込まれても、あたしみたいな老人にゃ責任は取りきれないからね。分かったら早く帰るんだね。」
そう言われてアヤは家を追い出されてしまった。
どうしたものかと、とりあえずアヤは、カヤの所に戻る事にした。
アヤ目線です。




