月光
24話目です。
遡る事、数日前。
アヤは小説を眺めて溜息をついた。
最後のページは何度見返しても落書きが消えてなくなる事はなかった。
どのような解決策が荒波を立てずに済むかを模索して、もう数日は経った。
どのような形であってもアヤには一つ、確信して言えるものがあった。
それは、落書きをしたのはマリで間違えないという事だ。
アヤは小説の落書きを見て何か違和感のような何か懐かしさよりも酷く気持ちの悪い気分がチラついた。
アヤはどうもこの違和感が気になり、落ち着かずにどうケジメをつけようかとしていた時。
母が一冊のメモ帳を渡して来た。
どうやら、リビングの掃除をしていた時に出て来たらしい。
捨てる、と聞かれたがアヤは一応取っておくと受け取った。
懐かしいと思いながら開いてみた。
明日の授業の時間割や読んだ本などが書かれていた。
懐かしさにある高揚感に心が軽くなった気がした。
一ページずつ丁寧にめくっていると、いきなり殴られたような衝撃が走った。
見開きいっぱいに、真っ黒になるぐらいの罵詈雑言が殴り書きされていた。
思わずアヤは手帳を投げ出した。
ジワジワと足元から色々な思い出したくも無い事ばかりが蘇って来た。
そして、その殴り書かれた字を見てやっと小説に書かれた落書きの違和感に気づいた。
マリの字だ。
マリは走り書きや適当に字を書くと字が少し角ばっり繋げて書く癖がある。
アヤは小説の落書きと手帳の落書きを見返した。
多少、字は変わっていても同じような字の癖があった。
アヤに気持ち悪さと脱力感が一気に押し寄せて来た。
アヤは気付けば外に出ていた。
日はもうとっくに沈み、空は真っ暗で街灯の頼りない光が灯った。
アヤはフラフラと行くあても無く歩き続けた。
人気の無い路地は静かでこのまま消えてしまえるようになった。
しばらく歩いていると前から、いかにも遊んでますというような大学生ぐらいの金髪と茶色い髪の男2人が絡んできた。
「ねぇ、今君一人。」
「かわいいじゃん、俺らとこっちで遊ぼうよ。」
二人共ヘラヘラと軽い言葉を並べて始めた。
別に何もしないからと金髪がアヤの肩に手を回そうとした時。
「ねぇ、なんでその子に話しかけて私には話しかけないんだよ。」
金髪が声のした方を振り返ると途端に右ストレートが金髪の顎を撃ち抜いた。
アヤにはそれがまるでスローモーションのようにみえ、まるで映画を見ているようだった。
金髪を殴った人は月明かりに照らされ白い髪が綺麗に見えた。
茶髪は焦って、よくわかりもせず白髪に襲い掛かろうとするも呆気なくかわされて今度は鳩尾に一撃入れた。
アヤはポカンとしてみていると、いきなり白髪がアヤの腕を引っ張って走り、気付けば公園にいた。
「ここまで、くれば大丈夫でしょ。」
アヤは改めて白髪をよく見た。
その姿を見て、アヤは息を呑んだ。
月がここまで似合う人はいないと断言できた。
アヤ目線です。
カナタは…まだその時じゃ無い




