質疑応答
19話目です。
静寂に包み込まれた図書室、二人は黙々と作業をこなしているがそこは以前よりも空気は軽く感じられた。
アヤから飴を貰ったのをきっかけにここ数日で二人の会話は少しづつ進んでいった。
最近読んだ本や好きな本の話し、そしておすすめの本屋の話しと本についての話しかないがそれでも会話できているという事だけでカナタは十分満足だった。
だが、カナタはこの会話をする関係だけでは終わらせたく無いと考えていた。
遠い存在だった人と会話をするまでにこぎつけた今、それを蔑ろにする訳にはいかなかった。
カナタは、ずっと聞きたかった"ある質問"をしようと考えていた。
だが、それを聞くのは無神経ではないか、もしくはあるいはと悩みに悩んだ末に今日聞いてしまおうと決心がついたのだ。
カナタは心の中で大きく深呼吸をした。
「あ、あの先輩その…。」
アヤは不思議そうな顔をしてこちらを見た。
「先輩、好きな人っていうか…その、好きなタイプってありますか?」
「え…。」
アヤは少し難しい顔をして俯いた。
これはまずい事をしたかと内心焦り出し、すぐ訂正をしようとした。
「清井君にはそういうタイプってある?」
訂正しようとしたところまさか想定していない返答が返ってきた。
「それは、その。」
口が裂けても「先輩みたいな人」とは言えない何か当たり障りのない答えはないかと考えた。
「よく、分からないですかね。すみません変な事聞いて。」
結局出た答えはなんの面白味もない答えしか出なかった。
カナタはつくづく失敗したと心の中で連呼した。
「ううん、私も同じかな今までそんなことも無かったし。」
こうも優しく返してくれるアヤはカナタには女神かのように眩しかった。
それからは、なんとかいつものように本の話に切り替えてなんとか今日を乗り越えた。
カナタは心の蟠りが少し取れたように感じその日はすぐに寝付けた。
カナタ目線です。
こんな質問されたことないや。




