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community communication

16話目です。

一冊一冊丁寧にバーコードを塗り潰しては段ボールに入れていく。

渡辺先生から渡された寄付する本の一覧表にはタイトルだけでなく何処に寄付するかまで書かれていた。

カナタはがっかりしていた。

しかし、それは決して仕事があるからというわけではない。

むしろ仕事ができた事に退屈が紛れるため好都合だった。

では何にがっかりしているか、それはもちろんアヤ先輩がいないからだ。

口にも態度にも示していないが憧れの先輩だ。

二人で作業できれば自ずと距離も近くなるだろうかと期待してみれば肝心のアヤ先輩は学校を休んでいた。

これでは、前と何も変わらないままである。

項垂れて突っ伏したカナタの後頭部に軽い衝撃が走る。

「なぁに、サボってんだカナタ」

慌てて振り返るとそこにはニカっと笑う渡辺先生がいた。

「せっかくの仕事も、期待はずれって感じか?」

「いや、そんな事は…」

カナタは途中まで出かけた社交辞令のような返事を少しどもらせた。

渡辺先生の言っている事はいつも図星だからだ。

故に渡辺先生に社交辞令は通用しない、ここは本音をいた方がいいだろうとカナタは口を開こうとした時。

「そんな、期待はずれもすぐ無くなるぞ。なぜなら、明日からアヤが復帰するからな。」

「え、」

カナタにとってはこれ以上ない朗報だった。

「もう一人いれば作業効率も良いし、人と話せるしな。」

「まぁ、作業効率が良くなるのはそうですけど人と話せるってなんですか。」

「正確には、俺以外と話せるって言った方がいいか。お前、あんまり同学年の奴とか俺以外の先生と話して無いだろ。まぁ、余計なお世話かもしんないけど同じ世代の奴とコミュニケーションの取り方覚えるの今ぐらいしかないしさ。」

渡辺先生はどこまで自分の事を知っているのか時々カナタはゾッとする時があった。

カナタは少しだんまりになってしまった。

「ま、気が向いたらでいいから少し話してみればいいんじゃ無いかなそれじゃ先生はこれで。」

渡辺先生はくるりと回れ右をして図書室から出て行ってしまった。

「コミュニケーションの取り方っか」

カナタにはこの言葉が妙に心を曇らせた。





カナタ目線です。

タイトルに深い意味はございません。

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